東京電力福島第1原発事故による土壌汚染を受け、政府は22日、福島県内の12市町村に対し、コメの作付け制限を発動した。放射性物質に汚染されたコメの流通を防ぐためで、対象地域の今年産米の生産は約5万トン減る見通し。農林水産省は「コメ不足の心配はない」としているが、作付けできない状態が長期化する可能性もあり、産地再生への道のりは険しそうだ。
作付けが制限されるのは、原発から半径20キロ以内で立ち入りを禁止された「警戒区域」▽20キロ圏外で1カ月後をめどに避難する「計画的避難区域」▽避難や屋内退避をできるよう準備しておく「緊急時避難準備区域」--のいずれかに指定された浪江町など9町村と南相馬市、田村市、川俣町の一部。対象農家は約7000戸で、水田面積は約1万ヘクタールに上る。
ただ、福島県は既に原発事故の影響を織り込み、県内で消化しきれないコメ生産枠を県外に譲り渡すことを決定。津波被害の大きい宮城県分を含め、約3万トンを他の17道府県が引き受ける。それでも約1万5000トンが不足する計算だが、政府と民間で計約300万トンの備蓄があるため、全国的なコメ需給への影響は軽微だ。
一方、原発事故の状況次第では土壌汚染が更に進みかねない。そのため、農水省は作付けを認めた地域についても収穫後のコメを検査し、規制値(放射性セシウムで1キロ当たり500ベクレル)を超えれば出荷を停止させる方針。
さらに、土壌から検出された放射性セシウムの半減期は30年と長いことから、作付け制限が来年以降も続く恐れがある。鹿野道彦農相は22日の会見で「農家に申し訳ない。補償には万全を期す」と表明。農水省は、汚染された農地を作付け可能な状態に戻すため、土壌の入れ替え▽放射性物質を吸収するナタネやヒマワリの栽培▽特殊な樹脂でセシウムを吸着--などの検討に入った。だが、効果やコストの検証はこれから。除去後の土壌や作物の処分も難しく、全国4位のコメ産地「福島」の負った傷は深い。【行友弥、佐藤浩】
毎日新聞 2011年4月23日 東京朝刊