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上関住民「推進への一歩」「致し方ない」浜岡原発停止

2011年5月10日

 静岡県の浜岡原子力発電所が全炉停止されることになった。「すべての原発を停止すべきだ」「上関の計画がなくなることはない」。中国電力が上関原発の建設を計画している山口県上関町周辺では9日、様々な声が聞かれた。

 上関町祝島で豚を放牧する氏本長一さんは「廃炉じゃなくて一時的に止めるだけ。『対策をとれば安全です』と、ほかの原発を再開させるアリバイ工作みたいなものだろう。原発を推進する第一歩で、上関もそのうち準備工事再開へ動くんじゃないか」と、かえって危機感を強めた。

 「上関原発を建てさせない祝島島民の会」事務局の山戸孝さん(33)は「福島第一原発の事故で『万が一』があり得ると証明された。危険と分かっているものを止めるのは当然」。

 幼い子を持つ母親らのグループ「未来につながる生命(いのち)を育てる会」は先日、上関原発計画の白紙撤回を県に申し入れた。共同代表の原真紀さん(34)=周南市=は「放射能の影響を考えると安心して子育てできない。他の原発も順次止めて自然エネルギーに替えてほしい」と話した。

 一方、推進派の上関町まちづくり連絡協議会の事務局、古泉直紀さんは「今の状況を考えれば致し方ない。ただ、首相の停止要請は浜岡原発だけ。上関の計画がなくなることはない。中電がより安全安心な原発を建ててくれると思う」と話す。「ただ上関は当分、先だろう。覚悟して頑張らねば」とも話した。

 中国電力は9日夜、「中部電力が判断されたことで、コメントする立場にない」としたうえで「引き続き安全確保に万全を期す」とするコメントを出した。(渡辺純子)

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