◇技量審査場所(8日目)
魁聖(右)がすくい投げで臥牙丸を破る=両国国技館で
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(15日・両国国技館)
新入幕の魁聖(24)=友綱=が臥牙丸を破って勝ち越しを決めた。新入幕の全勝ターンは、1980年九州場所の佐田の海以来。横綱白鵬(26)=宮城野=も厳しい攻めで初顔の隠岐の海を退け8連勝。把瑠都は豪風を圧倒し、栃ノ心とともに1敗を堅持。魁皇は6勝目、琴欧洲は3勝目を挙げたが、日馬富士は鶴竜に敗れて4敗。
ひょっとしたら、ひょっとするんじゃないか。そんな胸騒ぎすら漂い始める魁聖の勢い。自分より20キロ近く重たい臥牙丸を一気に土俵際まで攻め立て、右からすくい投げで破って無傷の8連勝。もし新入幕優勝となれば1914年夏場所の両国(前頭14枚目)以来なんと97年ぶりの快挙だ。
こう笑顔で首を横に振る24歳の若者は気負いやプレッシャーとは無縁。あくまで自然体だ。
「土俵の上ではほとんど緊張しないんです」という強心臓が身上。生まれはブラジルのサンパウロ。治安は不安定で「寝ていて銃声が聞こえることも珍しくない」。14、15歳のころ「街で銃口を向けられたこともある」と話し、度胸満点の由縁はこんな生い立ちにもあるかもしれない。
新入幕のストレート勝ち越しは1980年九州場所の佐田の海以来、31年ぶり。場所が始まってから母国には一度も連絡してないというが「うれしいですね。やっぱ、名前が残るから。きょうはお父さん、お母さんに電話しようと思う」と声を弾ませた。
リラックスの方法は、大好きなゲーム。「プレイステーションのオンラインゲームがきょうから復活するんです。帰ってちゃんこを食べたらゲームします。ゲームの種類? それは秘密」
全く物おじしない、この現代っ子なら今場所、とんでもない大仕事を成し遂げても不思議ない。 (竹尾和久)
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