ここから本文エリア

現在位置:asahi.comマイタウン福島> 記事

「警戒区域」一時帰宅に備え予行演習 「防護服暑い」

2011年5月4日

写真

一時帰宅の予行演習を終え、警戒区域外の川内村村民体育センターで持ち帰った荷物とともにスクリーニングを受ける自治体の職員=3日午後、川内村、安冨良弘撮影

 福島第一原発から半径20キロ圏内の「警戒区域」内の住民の一時帰宅に備え、3日に行われた予行演習(トライアル)。参加した自治体職員らから、率直な感想や実施に向けた課題が聞かれた。準備を進める住民は何を思ったか。

 大熊町企画調整課の成田康郎さん(35)は避難指示が出て以降、20キロ圏内に初めて入り、町役場から書類の持ち出しと車の動作確認をした。「大熊の町がまた見られてうれしかった」と率直な感想を語った。

 庁舎内での作業は、最低限は必要とされる書類を段ボール1箱に詰めるだけだった。建物は安全性を気にするような傷みもなく、通常であればすぐ終わる単純な作業だったが、防護服の暑さとゴーグルが曇るせいで「かなり作業は大変だった」という。

 一方、車の動作確認は、当初から決められていた場所に行き、車のエンジンがかかるかどうかチェック。計10台試し、3台がかからなかったという。町中を歩いたが、危険な場所はなく、放し飼いにされた犬や牛などは見なかった。

 課題として感じたのは、高齢者が作業する際に、どの程度の負担になるかだ。負担は天候や気温によっても変わるため、想像しにくいという。2時間という作業時間も短く感じた。

 防護服の暑さは多くの職員が口をそろえた。

 楢葉町の幹部職員は「換気を防ぐため、バスの中でエアコンをつけなかったので辛かった」と話した。さらに「トイレ休憩がないのが辛い。高齢者には負担ではないか」。身につけていた線量計は0から22マイクロシーベルトに上がったという。

 富岡町の滝沢一美・災害対策本部事務局長も「(防護服が)いやだという人が出るかもしれない」として、トイレが近い住民への対応を課題に挙げた。

 川内町の井出寿一総務課長はこの日のバスのルートで、「橋の切れ目が少し段差になっていた」と指摘。役場の様子はこれまでと変わりないように見えたという。防護服については「汗びっしょりになった。高齢の方は気温が高い時は難しいと思う」とした。

 国の原子力災害現地対策本部の上田英志審議官は演習後、「通信には衛星電話と無線を使い、衛星電話を使うのに時間がかかるところがあったため、技術的に改善できる点があれば改善したい」と話した。2時間という滞在時間の延長については、「今は延ばすことは検討していない」とした。

PR情報

朝日新聞購読のご案内
新聞購読のご案内 事業・サービス紹介

広告終わり