子どもと一緒に夢を追う
子どもと一緒に夢を追う 05/05 20:09

塾や習い事など、いまの子ども達は本当に忙しいといわれています。

これからある家庭教師の話題を紹介しますが、教えるのは勉強ではありません。

こんな家庭教師がいることをみなさんご存知でしたか?

宗像市に住む中学3年の田畑翔太朗くん。

この日は週に一度、家庭教師が自宅を訪れる日です。

●家庭教師の訪問
「ピンポーン」
「ガチャ」
「よろしくお願いしまーす」

田畑くんが家庭教師に教えてもらうのは勉強ではなく、野球です。

田畑くんはシニアリーグに所属していて、チームではクリーンアップを任されている中心打者です。

大会を間近に控えていることもあり、この日はバッティングフォームをチェックしてもらいました。

●家庭教師の指導
「目線が動いてしまう。ある程度さげといて、足だけこの動きをできるように」
「ブン(スイング音)」
「おお、いいじゃん」

家庭教師は、一ノ瀬賢一郎さん。

高校時代は大分の強豪・柳ヶ浦高校で4番を務め、甲子園にも出場。

強打者として名を馳せました。

ホークスの松田選手や、本多選手は高校時代のよきライバルだったといいます。

福岡市在住の一ノ瀬さんは建築関係の仕事のかたわら、2年前に野球の「家庭教師」を始めました。

●野球専門家庭教師・一ノ瀬賢一郎さん
「監督やコーチの目が届かない選手たちの場所を作ってあげたいと思って。どうしてもうまくならない、野球が好きだけど上達できないとか、そういう結果が出ないで悩んでいる選手って結構いるんで」

月謝は、週1回で1万1000円(小学校低学年)から1万9000円(大学生以上)。

1回の指導時間は決まっていません。

教える側教えられる側、双方が納得するまで指導が続くこともあるそうです。

●一ノ瀬賢一郎さん
「ほとんどボランティアの延長っていうか、これだけでは厳しいと思います。ただ、自分もちゃんと職がありますんで、空いた時間で、単純に子どもたちのためだけですね」

少しでも上達したい、ライバルに差をつけたい、という気持ちは子ども自身も親も変わりないようです。

●田畑くんの父・田畑浩樹さん
「野球に対して家庭教師が必要かどうかって思ったんですけど、私も素人なもんですから、専門の方に週一回でもチェックをしていただけたら、と、どうせやるんだったら上達してほしいっていうところです」

●田畑翔太朗くん
「一年生のときはバットが波打ってたけど、今はちゃんとスイングスピードも速くなったから、習ってよかったなあって」

●Q.田畑うまくなったな、なんて言われる?
「父兄とか監督・コーチから言われます」

●一ノ瀬賢一郎さん
「嬉しい限りです」

一ノ瀬さんは去年、自宅近くに自分で室内練習場を作りました。

最近はボールの使用を禁止している公園も多く、マンションなどの場合、「家庭教師」として訪問しても練習場所を確保することが難しいからです。

いま、一ノ瀬さんが指導している生徒はおよそ70人います。

この日は小学校低学年の女の子から、プロを目指す中学生まであわせて15人が練習場に訪れました。

●指導を受けている女の子Qどんな選手になりたい?
「カッコいい選手」

●Q好きな選手は?
「宗リン」

●生徒の父親
「自分的にはホークスの選手が好きなんで、和田投手であったりとか、そこら辺をを目指していただいたらなと思います」

生徒のひとり青�棒�潔くんは高校3年生。

青�砲�んはかつて私立の強豪高で、甲子園を目指していましたがある事情で退学しました。

しかし、その後編入した現在の高校に野球部はありませんでした。

●生徒・青�棒�潔くん
「(他の高校生の)みんなはやれてるのに自分はやれてないというか。辞めたんで自分のせいなんですけど、やっぱり後悔っていうものがあるんで、やっぱり野球があっての自分なんで、そこはきついとか思わず、楽しくやってます」

青�砲�んは、いまこの練習場のスタッフとして一ノ瀬さんを手伝いながら毎日、トレーニングを続けています。

●青�棒�潔くん
「(将来の目標は)プロ野球選手ですね。自分、打点王になりたいですね。やっぱり、チャンスで打てる選手になりたいんで」

青�砲�んは夢を諦めることができず、一ノ瀬さんを頼ってきたのです。

実は一ノ瀬さんも似たような経歴を持っています。

特待生として大学に進みましたが、ケガに悩まされ、退学。

プロになるという夢は叶いませんでした。

自分と似た境遇の選手に手を貸してあげたい。

野球の家庭教師を始めた一番の理由です。

●一ノ瀬賢一郎さん
「一度、脱落したという気持ちも自分は分かるから、自分が果たせなかったプロ野球選手というのを、夢を実現できるような後押しっていうか、応援は、ずっとしていきたいと思いますね」

野球の家庭教師一ノ瀬賢一郎さん、それぞれの事情を抱える生徒の思いを受け止めながら、ほぼ毎日野球の指導を行っています。