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発生少ないO111、なぜ死者が…菌の「強毒化」原因か

産経新聞 5月15日(日)20時15分配信

 焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件では、食中毒患者の腸内から腸管出血性大腸菌「O(オー)111」が検出され、4人が死亡した。過去の国内の腸管出血性大腸菌による食中毒は、菌の成分が異なるO157が中心で、死に至る重症化は少なかった。専門家の間では、海外で事例が報告され研究が進められている「菌の強毒化」の可能性も指摘されている。(豊吉広英)

 ■なぜO111?

 厚生労働省によると、腸管出血性大腸菌による食中毒患者は平成8年に1万人以上が確認されたが、その後は年間数十〜数百人で推移。死者は15年に、O111の食中毒患者は12年に出て以降確認されていない。

 もっとも、O111の感染者がいないわけではない。国立感染症研究所によると、食中毒と特定できないものを含めた腸管出血性大腸菌の感染者総数は年間3千〜4千人。20年の調査では、うちO157が65%、O26が24%、O111は4%の割合で存在した。

 岩手大の重茂克彦教授(獣医公衆衛生学)は「O111の毒性が低いわけではなく、母数が少ないから目立たなかったと考えた方がいい」と指摘する。

 ■目立つ重症者

 今回の集団食中毒で特徴的なのは、重症化した患者が多い点にある。

 腸管出血性大腸菌は毒素を出すことで、乳幼児や高齢者を中心に、急性腎不全などにつながる溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすことがある。

 食品安全委員会などによると、腸管出血性大腸菌による食中毒患者でHUS発症など重症化するのは約3%。今回の食中毒では症状が確認された137人のうち重症者は最大24人で、2割近くが重症化している。

 なぜか。考えられるのは、今回のO111が通常より毒性が強いことだ。

 感染研細菌第一部の大西真部長によると、研究者の間では、同じO157でも、特に高い病原性を持つ菌が存在する可能性が研究されているという。

 2006(平成18)年に米国の複数州にまたがり発生したO157の集団食中毒では、発症者の15%がHUSに罹患(りかん)。これが「重症化しやすい菌」だったという指摘がある。

 O111も08年に米国で発症者の17%がHUSに罹患した例があり、大西部長は「O111についても、多数の重症例を引き起こす食中毒が起きる可能性はある」と話す。

 重茂教授も「大腸菌は菌株同士で遺伝子を交換するが、どのような遺伝子を取り込むかによって病原性が違ってくる。その過程で強毒化したO111の出現はあり得る」と説明。一方で「食肉に大量の菌が繁殖していたことで症状が悪化した可能性もある」との見方も示している。

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最終更新:5月15日(日)21時36分

産経新聞

 

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