「いい加減に起きなさい!風雷慧!」
その声で無理矢理起きてしまった
一瞬の自分の喪失
そのあやふやさを心地よく思う
数秒でようやく自分を取り戻す
しかし今度は今の状況の理解が遅れている
頭の理解の遅さを五感が自動的に補正する。便利な頭だ
視覚は風景を
嗅覚は人がいる証を嗅ぎ取り
聴覚は人のざわめきを
触覚は堅い木の感触を
味覚は別に何も
それらの情報を頭の中で整理してようやく今の状況を理解する
ここは聖祥小学校一年の教室
時間は外を見る限り放課後だろう
じゃあ周りのざわめきはクラスメイトが帰ろうとしているからでであろう
昨今の若いやつらは落ち着きが足りないなぁと自分も昨今の若者だということはとりあえず棚に上げる
そしてようやく本題?
俺を睡眠という名の安楽地獄から目を覚まさせた諸悪の根源の方を見る
目の前にいるのは平均身長ぐらいのロングヘアな少女である
しかしこの少女。他の子供と違って違う所がある
それは金髪でつり目なところだ
もう一度言う
金髪でつり目なのだ
サーヴィスにもう一度
金髪でつり目なのだ
自分のサーヴィス精神の大きさに自分でもびっくりだね
後五回ぐらい続けたいが話が進まないので仕方なく断念しようではないか
世界の修正に感謝するがいい
アリサ・
「バーニング」
「そうそう、燃え上がる魂、熱き鼓動、進は紅蓮の道。その名はアリサ・バーニング!!ってアホか!」
素晴らしい。ここまで自爆してくれるといじめ甲斐があるというものだ
では続けようか。悪魔の加護の下で
「すまない、故意だ」
「そう、それなら仕方ないわね。じゃあ私は寛容な心で貴方を滅殺するのが人として正しい判断かな」
おおっと、意外とアグレッシブな
「すまない、恋だ」
「「そう、それなら仕方ないわね。恋とはまさしく燃え上がるような想いだものね。それならバーニングと間違えてもってんなわけあるかい!」
しかし二度ネタは減点だな
まだまだツッコミの経験が足りんな
「で、何の用だ。用がないなら帰らさせてもらうぞ」
「あんたのその一瞬の切り替えには私もついていけんわ。はぁ、一応の義務だから聞くけど一緒にかー」
「だが断る」
「なんで一瞬で断るの!」
「あ、アハハ」
いきなり声が増えた
まさか
「バニングス!ついに影分身の術を覚えたかっ。流石人外!」
「あんたの中での私は一体何に分類されてんのよ!しばき倒すわよ!」
「ははは、何に分類されているかなんて鏡を見給え。一瞬で理解できぐわっ」
「アリサちゃん!ダメだよ、ただでさえおかしい風雷君の頭を叩いたら更におかしくなっちゃうよ!」
「なのはちゃん、本音が漏れているよ」
仕方がないのでそちらを見る
そこにはまぁ、バニングスと並ぶ美少女と呼んでいいだろう少女が二人立っていた
一人は高町なのは
身長は三人の中で一番小さく髪の毛は栗色でツインテールで束ねている。語尾になのをつける可哀想な人類だ
もう一人は月村すずか
身長はアリサと同じくらいの身長で髪の毛はカラスの濡れ羽色でストレートに下している。清純というのがよく似合っている女の子だ
そして個人的だが俺は高町が苦手だ
何故かというと
「さぁっ、今日こそ名前で呼んで!」と強制してくるのだ
もはやストーカーと呼んでもいいレベルだ
なるほど
「高町は変態だったのか……。まぁ、特別驚くような事ではないか」
「いきなり自己完結しないでなの!ていうかどうしてそんな結論に!」
「ああ、確かになのはのそれはもう呪いレベルだものねぇ……」
「ごめんね、なのはちゃん。フォローできないよ」
「いじめだよ!」
「「「Yes,correct!」」」
「ふぇーん!」
これが俺
風雷慧の日常
あの地獄から戻ってきた日常だ
大切なものは地獄(あそこ)で失くしたが