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[27707] 【習作】リリカルなのは――灰色の軌跡―― (女オリ主 再構成)
Name: 葉月◆a0f9a01a ID:053caef7
Date: 2011/05/10 19:21

 おはようございます。こんにちは。こんばんわ。

 初めまして。葉月といいます。

 みなさんのSSに影響されまして、自分も書いてみたいと思い投稿しました。

 小説自体は少し書いた事があるのですが、SSは初めて書きます。

 今回は、リリカルなのはを書かせていただきます。が、自分は原作のとらいあんぐるハートをやったことがないので、そっちのネタを入れることができません。

 なのはwikiとアニメを参考にしながら書いてこうと思っています。

 なのは達の口調に違和感があるかと思いますが、そこは遠慮なく指摘してください。修正していこうと思います。あと、語彙が少ないですが、なんとかしようと思っています。

 オリ主中心で進めていこうと思っていますが、

 ①主人公の強さは、なのはやフェイトより少し弱い程度(原作主人公は大事)
 ②百合っぽいなにかを追加予定
 ③ハーレムなし(オリキャラと原作キャラはくっつきません)
 ④できるだけ、原作(アニメ)を尊重
 ⑤予定では、STSまで

 以上を基本にしていきたいと思います。

 拙い文章ですが、よろしくお願いします。


5月10日 チラシの裏に投稿



[27707] 無印 第1話
Name: 葉月◆a0f9a01a ID:053caef7
Date: 2011/05/10 18:00

『誰か……僕の声を聞いて。力を貸して……。魔法の力を……』





「ん……」

 緑色の布団の山が小さく震える。

「むー、変な夢……」

 夢見が悪かったのか、呟きとともに少女がベッドから起き上がった。少女は、癖のある肩まで伸びた灰色の髪を手櫛で整えながら、洗面所に向かう。

「にゃ~う」

 洗面所で癖のついた髪をドライヤーと櫛で整えていると、甘えるような鳴き声が聞こえた。

「おはよう。ニア」

 少女の足下には、黒猫が座っていた。彼女のペットで、大事な家族である。

「ご飯はちょっと待ってね」

 少女は、ニアにそう声を掛けて水で顔を洗い身支度を整える。

「お待たせ、ニア」

「にゃう」

 少女は黒猫に声を掛け、洗面所からリビングに向かう。ニアは、鳴き声で応じて彼女の後についていく。
 リビングへの扉を開けるが、そこには誰も居なかった。

(お父さんもお母さんも、またお仕事か……)

 少女の両親は仕事で忙しく、殆ど家にいない。たまに帰ってくるとしても、疲労がたまっているのか、部屋で寝ている。
 そんな生活に、少女は寂しい思いをしている。彼女は、両親にどういう仕事をしているか聞いた事があったが、『人々を守る仕事をしているんだよ』と返され、具体的に何をしているかはっきりしなかった。

「にゃ~」

「あっ、ごめんね。すぐにご飯用意するからね」

 少女は、リビングで両親について考え事をしていたが、ニアのせがむ鳴き声で現実に戻る。
 ニアに謝罪し、エプロンを取り出して台所でニアの朝食を作り始める。といっても、猫用の缶詰を皿に移すだけであるが……。

「はい、お待たせ」

 少女は、朝食のはいった皿と水のはいった皿を持って、ニアが寝転がっているリビングにやってきた。

「召し上がれ」

 ニアの前に朝食を置くと、微笑みながら頭を撫でる。

「自分のも作らないと学校に間に合わないや」

 少女は台所に戻り、パンとジャムを用意し、テーブルに並べようとした時に気がついた。テーブルに置かれた手紙と弁当箱に。

 ――アリア。忙しい事を言い訳にして構って挙げられずごめんなさい。お昼のお弁当を用意しました。こんな母親でごめんね。 今とりかかっているお仕事が終わったら、何処か遊びに行きましょうね。           駄目な母親より――

「……お母さんのばか」

 少女――アリアは母親の手紙を読み終わると、誰にも聞こえないくらい小さな声でそう呟いた。





あとがき

 短いですが、以上で第1話終了です。

 本当は0話としたいのですが、話の展開的に微妙なので1話にしました。

 なのは達は次話からになります。

 できるだけ、文章を長く、内容を濃くしていきますので(努力します)。




[27707] 無印 第2話
Name: 葉月◆a0f9a01a ID:5872df84
Date: 2011/05/12 11:57


「アリアちゃん、一緒に帰ろう?」

 放課後。アリアは教科書類を鞄の中に入れ、帰る準備をしていた時、3人組の少女達が彼女と一緒に帰ろうと誘ってきた。

「あっ! 高町さんにバニングスさん、月村さん」

「『高町さん』じゃなくて、『なのは』だよ~」

「なのは……。名前で呼んでもらうのはもう諦めなさい」

「なのはちゃん……」

 アリサが振り向いた先には、『高町さん』と呼ばれ頬を膨らませて抗議している高町なのは、そんな彼女に呆れているアリサ・バニングス、2人の様子を見て微笑んでいる月村すずかがいた。

「あっ……うん、ごめん」

「アリア、いちいち謝らなくてもいいわよ? 呼び方なんて個人の自由なんだから……」

 アリアは、なのはの言葉につい謝ってしまう。そんな彼女に、アリサは苦笑いで注意する。

「アリサちゃんもそのぐらいにしないと。アリアちゃん、また謝るよ?」

 すずかはそんな3人のやり取りが面白いのか、笑みを浮かべて会話に加わる。

「う……、わかったわよ。それよりアリア、一緒に帰りましょう!」

「……うん」

 アリサの逃がさないと言わんばかりの誘いに、アリアは気圧される様に頷いた。

    ●

 アリア、アリサ、なのは、すずかの4人組は、今日の授業やそれぞれの興味のあることなど色々な事を話しながら歩いていた。

「?」

 アリアは、公園の脇にある林が続く小道が気になり立ち止まった。

「アリアちゃん……どうしたの?」

「なのは、どうしたの?」

 そんなアリアの行動を、同じ歩幅で歩いていたなのはが気づいた。
 なのはの言葉に他の2人も気がつき、足を止める。言葉を発した本人は、アリサとすずかに分からないという風に首を横にふる。

「…………」

 アリアはしばらくじっと小道を見ていたが、導かれる様に小道に入って行く。

「ちょっと、アリア!」

「アリアちゃん!!」

 そんなアリアを見て、なのは達3人も彼女を追う様に小道に入って行った。

    ●

 公園の脇にある林に囲まれた小道を導かれる様に歩いていたアリアは、この道の事を考えていた。

(なんだろ? この風景……見たことある。赤い空……、擦れ合う木々……、マントに変わった服を着た金髪の少年……。黒く丸い体に赤い瞳の獣――――)

「アリア、アリア!! しっかりしなさい!!」

 アリアが頭に次々と浮かぶ映像を思い出していると、彼女の名前を必死に叫ぶ声で空想の世界から現実の世界に帰ってきた。

「バニングスさん……。どうしたの?」

「『どうしたの?』じゃないわよ!足を止めてこの道をじっと見ているかと思えば、ふらふらっと入って行くし! いくら声を掛けても反応ないし!!」

「大丈夫?」

 アリアの目の前には、彼女の行動に怒っているアリサと心配そうに見つめているすずかの姿があった。
 なのはの姿が見当たらないので左右を見渡して探していると、背後から「夢で見た景色だ」という呟きが聴こえた。
 振り返ると呆然としたなのはがおり、アリサとすずかが心配そうになのはに声を掛けようとした時――――、

【助けて……】

 アリアの頭にそんな声が聴こえた。

「今、何か聴こえなかった?」

 なのはも聴こえたらしく、自分以外にも聴こえたか疑問の声を放つ。

「別に……」

「聴こえなかった……かな?」

「私は聴こえたよ……」

 なのはの質問に、アリサとすずかの2人は首を横に振り、アリアは聴こえたと答えると――

【助けて……】

「アリア、なのは!!」

「アリアちゃん、なのはちゃん」

 アリアとなのはは走り出し、すずかとアリサは2人の後を追うように走る。

「アリアちゃん、たぶんこっちの方から……」

「高町さん、あれ!!」

 2人が走る先に小動物が踞まっていた。小動物の前に屈み、様子を窺う。

「どうしたの? アリア、なのは。急に走り出して――」

「あっ、見て。動物? 怪我してるみたい……」

 アリアとなのはに追いついたアリサとすずかは、なのはが抱き上げた小動物に気づく。

「うん……。ど、どうしよう……」

「どうしようって……。とりあえず病院?」

「獣医さんだよ……」

「えっと、この近くに獣医さんってあったっけ!?」

「えっと……、この近くだと確か……」

「待って、家に電話してみる」

「月村さん、この近くだと槙原動物病院だよ!」

「ナイスよ! アリア。場所分かる?」

「ええ!!」

 アリア達は小動物の怪我に慌てふためき、病院もとい獣医の所に連れていく事になった。その場所はアリアが知っており、彼女を先頭にその動物病院に向かった。


あとがき

 さて、今回の話しは、アニメ1話のAパートです。物語はAパートで1話目、Bパート2話目と分割して、投稿していこうと考えています。


 なのは達の口調は大丈夫でしょうか? アニメを見直しながら書きましたが、全く自信がない……。
 あと、主人公の口調が安定しない……。このままでは、フェイトとかぶっていまいそうです。



[27707] 無印 第3話
Name: 葉月◆a0f9a01a ID:359a3cff
Date: 2011/05/12 11:57


 アリアの案内で、なのは達は怪我をした小動物を治療するために、槙原動物病院にやってきた。
 アリアはそこの獣医さんと顔馴染みの様で、彼女が事情を説明するとすぐに小動物の治療を行なった。

「まあ、怪我はそんなに深くないけど、ずいぶん衰弱しているみたいね。ずっと1人ぼっちじゃないかなー」

「先生、ありがとうございます」

『ありがとうございます!』

 女性の獣医は、後片付けをしながら治療の結果をアリア達に報告する。
 アリアは、予約もなしに治療をしてくれたお礼を言うと、なのは達も続いてお礼を言った。

「これって、フェレットですよね? どこかのペットなんでしょうか?」

 アリサは、胴体に包帯を巻いて眠っている小動物――フェレットの様子を見ながら、片付けを終えた女性の獣医に質問する。
 女性の獣医は、「フェレットなのかな?」と答えた。フェレットにしては、珍しい種類らしい。
 アリアは、フェレットを撫でようと手を差し出そうとしたところ、そのフェレットは目を覚ました。

「あっ、起きた……」

 フェレットが起き上がると、すずかが感激の声を上げる。
 フェレットは、アリア・すずか・アリサ・なのは・女性の獣医の順に顔を動かす。そして、なのはをじっと碧の瞳で見つめた。

「なのは、見られてる」

「えっと……、えっと……」

 アリサは、なのはに小さな声でフェレットに見られてる事を告げる。
 なのはは、戸惑いながら右手をフェレットの前に差し出す。

「わぁ……」

 フェレットは、なのはの手の匂いを嗅ぎ、ぺろっとなのはの指を舐めた。
 なのは達はその姿に感激していたが、フェレットは気絶するように身体を横にした。
 獣医は、しばらく安静にした方が良いとアドバイスし、明日まで動物病院で預かることになった。

「すみません。また明日きます」

『ありがとうございました』

 アリア達は、明日引き取る約束を獣医として、動物病院を後にした。

    ●

「あのフェレット……、どうしよう……」

 帰り道。アリアの呟きにみんなは「う~ん」と唸りながら、頭を悩ませた。

「うちには、庭にも部屋にも犬がいるし……」

「こっちもネコがいるから……」

「うちは食べ物商売だから、原則としてペットの飼育はだめだし……」

「私の家も月村さんと同じで、ネコがいるし……」

 バニングス家には犬が、月村家とリヒテンシュタイン家には猫がいるため、フェレットを飼うのが難しい。飼育することになれば、フェレットは確実に餌にな
る。
 ペットを飼っていない高町家だが、駅前で有名な喫茶翠屋を経営しているため、こちらも厳しかった。

「やっぱり、みんな無理だよね……」

 望み薄とわかっていたのか、アリアの落胆は少ない。
 またみんなで頭を悩ませていると、駅前の大通りに出た。
 ここで解散となるが、フェレットの問題が片付いてないので、解散できない。
 しばらく、みんなはそれぞれ意見を述べたが、根本的な解決策は出てこなかった。

「う~ん……とりあえず、みんなに相談してみる」

 いい考えが浮かばないからか、高町家で一時的に預かるという形で相談してみると、なのはが提案した事でとりあえず解散となった。

    ●

「ただいま~」

 アリアは、なのは達と別れた後にスーパーで晩御飯の買い物を終わらせて帰宅した。
 『ただいま』という挨拶をしても、帰ってくる声はない。アリアが住む部屋は静寂が支配するのみである。

「ニアは寝てるのかな?」

 アリアは買い物袋を持って、ニアの住処となっているリビングに足を向けた。

 リビングに入ったアリアは、ニアがいつも寝転がっているソファーを確認したが、黒い身体は見当たらなかった。

「あれ? じゃあ、私の部屋かな~」

 ニアはリビングにいなければ、いつもアリアの部屋のベッドで丸くなっている。

「ニアのご飯を早く作って、今日1日のスキンシップをしよ」

 アリアの1日の楽しみは、ニアとたくさんじゃれあう事であった。彼女は、ニアと何して遊ぶかを色々考えながら、自分とニアの分の夕食を作り始める。

    ●

 ――アリサちゃん、すずかちゃん、アリアちゃん。
 あの子はうちで預かれることになりました。
 明日、学校の帰りにいっしょに迎えにいこうね。
                       なのは――

 フェレットを引き取れる許可が下りたなのはのメールに気がついたのは、ニアと遊んだ後であった。

「ふぁ……。遊びすぎちゃった……。今日はもう寝よ」

 時計を見ると時刻は午後10時。ほとんどの小学3年生は既に寝ている時間。
 アリアは、欠伸を噛み殺して部屋の戸締まりを始めた。まずは、自分の部屋の窓の鍵を閉める。続いて、あまり使用してないいくつかの部屋の鍵を閉め、リビングにやってきた。
 リビングで戸締まりのチェックを済ませると、今度はキッチンで火の元と水まわりのチェック。最後に玄関の鍵を閉めて、戸締まりは終了となるはずだった。
 しかし、玄関にやってきた時、キンという金属音を耳にした。
 この金属音は、ニアと遊んでいる間も聴こえた。耳障りな音に顔をしかめて気にしないようにしていた。

「うぅ……。不愉快な音」

 改めて耳障りな音に顔をしかめるアリア。耳をふさいでも金属音は頭に響き、どうしようもなかった。

「ああ、もう! うるさい!!」

 アリアはこの不愉快な音の正体を突き止めるために防犯用の木刀を手に取り、家を出た。

    ●

「でも……、この音はどこで鳴ってるんだろ?」

 勢いよく家を出てきたが、肝心の音の出所がわからず、近くの十字路で途方にくれていた。

「くっ……、また? ……えっ?」

 再びキィンという金属音に、アリアは頭を押さえるが音はすぐにおさまった。
 音が止むのと同時にアリアの市街地の方角から、ピンク色の光の柱が立ち上った。

「あれは……なに?」

 巨大な光の奔流に、アリアの頭は疑問符でいっぱいになった。それから、頻繁に聴こえていた金属音は一切鳴り響いていなかった。
 アリアは、音と関係あるか確認するために、光の柱のもとへと駆け出した。





あとがき

 第3話をお届けします。本編はアニメ1話のBパートをアリア視点でお送りしました。
 なのはさんのハレの舞台なはずなのですが……、間に合うかどうかはアリア次第です。足が速ければ活躍が見れますし、足が遅ければ活躍が見れず大変なことになります(笑)。

 なのはwikiを見ているとサウンドステージの存在を忘れていました(おい)。どうにかしてサウンドステージのお話を物語に組み込んでいけたらな~と思ったり。無理なら抜きで進めていきたいと思います。



[27707] 無印 第4話
Name: 葉月◆a0f9a01a ID:359a3cff
Date: 2011/05/14 19:59


 ピンク色の柱はもうすでに見えなくなっており、アリアは柱があったであろう方角を思い出しながら、髪が舞う速度で駆けていた。家を出るときに持ち出した木刀は、柄頭を上に刃を下にして左手で鍔にあたる部分を持っていた。

(次の道を右に曲がれば、槙原動物病院まですぐだったはず……)

 アリアは槙原動物病院への道を思い出しながら、十字路を右に曲がったとき、誰かに思いっきり衝突した。

「きゃっ!!」

「――――!!」

 アリアと衝突した相手は、ぶつかった衝撃に尻餅をついた。

「いたた……。すみません! 急いでいたので……?」

「こちらこそ……すみま……せん?」

 アリアとぶつかった相手は、互いの姿を認識すると言葉に詰まった。

「えっと……。アリアちゃん?」

「た……高町さん?」

 アリアとなのははお互い驚きを隠せず、戸惑いの表情を浮かべ固まった。

    ●

 なのはは、青いラインが肩や袖口に入り、胸元に赤いリボン、スカートの裾にフリルがついた聖祥大附属小学校のような服装、左手に赤い宝石がついた杖、右手にはフェレットを抱えていた。

「早く起きてください! 来ます!!」

 フェレットの叫びに、アリアは喋るフェレットに驚き、なのはは慌てて立ち上がって振り返る。

「えっと……えっと……。どうすればいいの!?」

「さっき言った封印をするには、呪文が必要なんです。心を澄ませて。心の中に貴女の呪文が浮かぶはずです」

 なのはは、呪文という言葉に疑問を抱きながら、心を澄ますために目を瞑った。

 唸り声が轟くと黒く丸い身体を持つ生き物が、なのはを目指して跳び跳ねてむかってきた。
 なのはは目を見開いて、持っていた杖を構える。

『protection.』

 杖から女性の声が聞こえたと思うと、なのはの前にピンク色のバリアが出現する。
 そのバリアは黒い獣から伸びた触手を防ぎ、掻き消す。

「リリカルマジカル」

「封印すべきは忌まわしき器。ジュエルシード!」

「ジュエルシードを封印!」

『sealing mode.set up.』

 なのはが呪文を唱えると、杖の柄の部分からピンク色の羽根が出現する。赤い宝石からピンク色の帯が伸びて、黒い獣を拘束した。黒い獣の額に、ローマ数字の21が浮かび上がる。

『stand by ready.』

「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21。封印!」

『sealing.』

 再び、帯が伸びて黒い獣に突き刺さる。
 黒い獣は、苦しいのかうめき声を上げ、消滅した。

「あっ……」

 なのはは、獣がいた場所に光る物を見つけた。

「これがジュエルシードです。レイジングハートで触れて……」

 なのはは、フェレットに言われた通りに、レイジングハートを菱形の水色の宝石――ジュエルシードに近づける。
 ジュエルシードは、レイジングハートの宝石の部分に吸い込まれた。

『receipt number XXI.』

 ジュエルシードが吸い込まれると、なのはの服装がもとのオレンジのパーカーとスカートに、杖は小さい丸い宝石に戻った。

「あ、あれ? 終わった……の?」

「はい……。貴女のおかげで……。ありがとう……」

 なのはの戸惑った呟きに、フェレットは限界だったのか、お礼を言った後に気絶した。

    ●

(高町さん……すごい……)

 なのはが黒い獣を消滅させる一部始終を見たアリアは、驚愕の表情を浮かべていた。彼女は怯える事なく果敢に立ち向かい、消滅させたなのはを羨望の眼差しで見ていた。

(この音は……サイレン?)

 遠くから、パトカーのサイレンが響いていた。誰がこの騒ぎを警察に通報したようであった。
 アリアはこの場所にいると、厄介な事に巻き込まれると思い、慌てて立ち上がった。

「アリアちゃん!!」

「高町さん。早く逃げないと……とてもまずいことになるかも……」

 なのはもフェレットを抱えて、アリアと合流した。

「そうだよね……」

 なのはもまずい事はわかっているのか、冷や汗を額に浮かべていた。

『とりあえず……ごめんなさ~い』

 2人は塀や電柱が壊れ、道路も抉れた現場を慌てて離れた。

    ●

「ハア……ハア……」

「……疲れた……」

 アリアとなのはは、公園で一休みしていた。黒い獣と戦闘のあった現場から一目散に逃げたため、息が切れていた。休憩のため、ベンチに座って体力の回復に努めていた。

「……すみません」

「あっ、起こしちゃった? ごめんね、乱暴で。怪我いたくない?」

小さく謝る声が聞こえた。走った事で怪我が酷くなってないか心配になったなのはは、フェレットを案じた。
 フェレットは、怪我はほとんど完治したから心配いらないと答え、身体を震わせて巻いている包帯をほどいた。

「助けてくれたおかげで、残った魔力を治療にまわせました」

「よくわかんないけど、そうなんだ……。ねぇ、自己紹介していい?」

「あっ、うん」

 なのははフェレットが頷くと、咳払いをして……、

「私、高町なのは。小学校3年生。家族とか仲良しの友達は『なのは』って呼ぶよ」

「…………」

「アリアちゃん? 次、アリアちゃんの番だよ?」

「えっ!?」

「大丈夫?」

「う、うん……」

 呆けているアリアをなのはは、心配そうに見つめていたが、彼女の返答に笑顔になる。

「えっと……、アリア・リヒテンシュタインです。高町さんと同じ小学校3年生で、クラスメートです。みんなは『アリア』って呼んでます」

「僕はユーノ・スクライア。スクライアは部族名だから、ユーノが名前です」

「ユーノ君か……。可愛い名前だね」

 なのはとアリア、フェレットは自己紹介をしてお互いの名前を知った。なのはは、ユーノの名前を聞き『可愛い名前だね』という呟きに、アリアは可愛い?と首をかしげる。

「すみません……。貴女達を巻き込んでしまいました」

 ユーノは、なのはとアリアを交互に見ると頭を下げて謝罪した。
 アリアは、ユーノのセリフに先ほどの場面を思い出し、謎の金属音と光の柱を追った結果があれとは憂鬱な気分になった。

(あ~、色々あって頭が痛いよ~)

「あっ、そうだ。ユーノ君怪我してるんだし、此処じゃ落ち着かないよね? とりあえず私の家にいきましょ? あとはそれから」

 なのはの提案に、ユーノは頷く。

「ねぇ……、高町さん。私も高町さんの家にお邪魔していい? 色々説明して欲しいんだけど……」

「あー、そうだよね……。ユーノ君いい?」

「はい……。巻き込んでしまいましたから」

 時間も遅いので、とりあえずなのはの家に向かう事になのはとユーノに、今回の出来事を説明してもらうために、アリアも付いて行く事を提案した。




あとがき

 以上で、4話をお届けいたします。アニメ2話のAパートとなります。

 アリアはよくがんばった。家からなのはがいる場所まで、“まあまあ”離れていますが「どんな速度を出せば間に合うねん」、作者は突っ込みたいです。

 とらハでは、夜の一族ってのが出るみたいですが、彼女は違いますよ? 月村家がその一族らしいですが。

 こうハイペースで更新していると、内容が薄い・面白味がない・誤字脱字が多いという負の連鎖がががが。
 
 てか、アニメにちょろっとオリキャラが入ったという現状にどうなんかな~と思っていたりしてます。次からもっとオリジナリティを出していきます。では~。


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