2011年5月15日23時37分
東京電力は15日、東電福島第一原子力発電所1号機が、東日本大震災による津波到達後5時間半で、原子炉内の核燃料が冷却水からすべて露出し、燃料溶融に至ったとの暫定的な解析結果を発表した。これまで燃料が溶融したのは3月12日だとしてきた。事故対策の前提となる現状把握が大幅に狂っていたことになる。今後の対策検証にも影響を与えそうだ。
福島第一原発は、3月11日午後2時46分の震災発生直後に原子炉が自動停止。地震で外部から電力を得る設備も被害を受け停電した。さらに同3時30分ごろに津波をかぶり、非常用発電機なども被害を受け、炉心を冷やすために必要な電源をすべて失った。
このため炉心では核燃料からの熱(崩壊熱)によって冷却水が徐々に失われていく事態に陥った。
東電の発表によると、午後6時ごろに核燃料の頭頂部まで水位が下がり「燃料の一部露出」が始まった。同時に炉心の温度は急激に上昇した。
午後7時半ごろには、全長約4メートルの燃料棒の水につかっている部分が完全になくなるまで水位は低下し、「全露出」状態となった。核燃料を包む金属の筒(被覆管)は、炉心の中央下にあるものから融点の1800度を超えて溶け始め、20分ほどで炉心中央上部が溶けて崩落。ほぼ円筒形に束ねられた核燃料にドーナツのように空洞ができた。午後9時には燃料ペレットが溶け始める2800度に達したと思われる。
翌12日午前6時50分には、核燃料を束ねた燃料集合体がすべて原子炉圧力容器の底に崩れ落ちた。
東電はこれまで、1号機の炉心水位の低下傾向を確認したのは11日午後9時半ごろで、12日午前9時前に炉心が「一時冷却水から全部露出した」としてきた。ところが、解析結果によると、その時点では炉心は完全に溶融(メルトダウン)していたことになる。