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追跡2011ひろしま:広島・松井市長就任1カ月 政策「脱・秋葉」色鮮明に /広島

 ◇「無色透明で頑張る」

 ◇「市政変革」職員に意識改革を

 広島市の松井一実・新市長(58)の誕生から10日で1カ月。3期務めた秋葉忠利・前市長(68)が情熱を燃やした20年夏季五輪(ヒロシマ五輪)招致構想の撤回を表明するなど、政策面では「脱・秋葉」色を鮮明にしつつある。しかし、予算案や職員人事は前市政を引き継いだだけに、「松井カラー」が出てくるのはこれからだ。

 松井市長は初登庁した4月12日の就任式で、「12年間の市政を変革する」と宣言。「前例がないから駄目というのではなく、それが合っていないなら直す。そういった議論をしてほしい」と述べ、職員に意識改革を求めた。

 政策課題では、さっそく秋葉前市政からの転換に乗り出した。ヒロシマ五輪構想では、当選10日後の同20日、上京して日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長と面会し、断念の意向を伝えた。平和記念公園の「原爆の子の像」にささげられる折り鶴を長期間保存する「折り鶴ミュージアム(仮称)」構想では、折り鶴を再生紙にして活用する案を示した。

 県営広島西飛行場(西区)の市営化問題は決着していない。就任前の3月議会で市営化関連条例案が否決され、「廃港」が既定路線だったが、松井市長は「経緯や理由を聞いて自分自身が納得したい」として態度を保留した。秋葉前市長が湯崎英彦知事当選後に復活させた「トップ会談」は継続で合意。00年度から止まっていた県市間の人事交流の再開も検討している。

 記者会見では目に見える変化があった。市長席の背景にあった「オバマジョリティー・キャンペーン」のボードを取り外した。「オバマジョリティー」は、オバマ米大統領への支持を唱えた秋葉前市長の造語。松井市長は「無色透明で頑張りたい」と意図を語った。

 職員はどう受け止めているのか。課長級の男性職員は「現場レベルでは、まだ変化は感じられない」。別の職員は「秋葉前市長は自分の頭の中に答えがあり、それを推し進める印象があったが、そういうタイプではないように感じる」と言う。

 秋葉前市政時代、市議会との対立が常態化していたが、市長選では多数派を占める自民系市議が松井市長を応援。ある中堅市議は「五輪断念など、選挙戦での公約に矛盾するようなことはしていない。6月議会を通じて松井カラーが見えてくるのでは」と語った。【寺岡俊】

毎日新聞 2011年5月10日 地方版

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