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 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月25日(土)02時27分3秒
  ローレシアの魔力が、ぐんぐん回復していくのが分かる。
我が子ながら勇者の血を継ぐ力に、驚きを禁じ得ない。
ローレシアは我が子に希望を、未来をたくすと決心した。
「聞こえるか!
冥・竜王!私は降伏する。おまえの城に案内しなさい!」
上空の岩盤にまたたく輝石の星空は、静かにたたずむ。
「グワッワッワ。冥・竜王か? きゃつは死によったわ。
わしがアレフガルドの王となるのだ~。グワ~ワッワッワ~。
そして。
おまえは死ぬ。」
管を王女に向けながらにじり寄る。
「下がれ 下郎!
冥・竜王。これが答えなのか!?」剣を構える。
「このわしを下郎だとォォ!グワア~!人間ごときガァ!跡形も無く溶かしてくれるわ~!」
巨体が押し寄せる。
≪グボォォォ-≫大地から火炎が吹き出し、両者を割る。
「ヘドロ。下がるのだ。」天より、重厚な声がひびく。
「(冥・竜王・・生きておったか~)ヌゥゥ~・・。
・・。冥・竜王様、ご無事でしたか。所在も分からず、御身をあんじておりましたぞ」
「ヘドロ・・
・・・・。
御苦労であった。例の捜索を続けよ」
「ハハァッ 我が君が世を!」
ルーラで、男が降り立つ。
「お目にかかるのは始めてですな、王女様。私は冥・竜王が1子、竜王4世。竜王とお呼び下さい。
(ヘドロをチラリと見つつ)
我が君の城、哭竜城(こくりゅう城)へご案内いたしまする。」
「(竜王・・)」ロダから話には聞いていた。思ったより若く見える。
竜に還化せずとも、人の様の時ですら、その”竜闘気”には、さんざん苦汁を飲まされたと聞く。
二人はルーラで飛んで行き、ヘドロはそれを見上げ
「(本当に冥・竜王なのか?あのエネルギーの渦の中、生き延びたと言うのか。
捜索など後で良いわっ確かめねばなるまい・・っ)」黒い霧へと変化していく。

哭竜城
ローレシアは観察しながら歩く「(飛行中は海上だった。孤島。周囲は霧に覆われている。
城塞大国のベラヌールやデルコンダルが滅ぼされた時、霧に包まれたと聞いている。
移動要塞か。いくら探しても、この城を見つけ出すことは出来なかった。
てっきり、地下にあるものとばかり思っていたのに・・)」多大な犠牲を払ってのロンダルキア攻略は
かろうじて勝利したが、城に大物の姿は無く、目的は果せなかった。戦いには勝ったが、勝負には負けたのだ。
 この城(哭竜城)は、実に文化的な作りをしている。至る所に芸術的な装飾が施されていて、緑や噴水など
自然との調和が見事だ。ローレシアには城の一角にある部屋が与えられた。
広い応接室と寝室。南洋風の温泉と庭園。その先にはテラス。
竜王は言う「冥・竜王様は、明後日お会いになられるそうです。なにか用のあるおりは
使いの者に申し付けて下さい。それでは、ごゆるりと」微笑み、後にした。
「(なんと屈託のない笑みなの・・余裕から? 彼には微塵の迷いも邪気も感じられないわ)」
ヒョコッと3体の魔物が前に出てきた。気恥ずかしそうに自己紹介を始める
ももんじゃ「はじめまして。モモンと言います。
王女様の御身周りのお世話を仰せつかりましてございます」
トロル「トロリコよ、よろしく。今日は大宴会!飲むわよォ。王女さん、あたしと飲比べしましょ」
花まどう「トロリコさん、王女様もお一人になりたかろう。後日になさいな。もりじいと呼んで下され」
「アラ、そ~お?ン~じゃぁ、そうしましょ。そのかわり、あの40年物おろしなさいよォ」
「やれやれ、それが狙いでしたか」「ぬふふふ。まぁ~ネ」
モモン「お食事、お口に合わないかもしれませんが、熱いうちにお召し下さいネ。
御用の際は呼び鈴を鳴らして下さい。では失礼いたします」3体とも退室していった。
ただっ広い応接室に静寂が戻り、ローレシアは立ち尽くす―――

竜王は、幾重にも曲り組むループダンジョンの石廊を、ひたすら下りて行く。
おもむろに立ち止まると、かき消えた。
黒い霧は実体化する「・・リレミトか?上がった瞬間、奴と出くわすのもまずいのぉ」
竜王は、高くそびえる扉の前に立っている。竜のサイズで作られているのだろう。
≪ゴゴン。ゴゴン。ゴゴン≫ゆっくりと開く扉の中に入ると、天井の高い幅広い廊下が先まで伸びている。
中ほどまで進むと床が輝き始め、まばゆいばかりの光の中を進み、次の扉を開く。
その奥は、巨大なドームになっている。一方、黒い霧(ヘドロ)は扉の隙間を入って行き、長い廊下を進む。
竜王は石段を登る。
≪ズバババ≫背後の扉の向こうから音が。
「ネズミ。いや、カエルか」ちらりと扉を見る。
魔法実験室内で、ペドロ本体は閉じていた眼を開く「消えた。トラマナは効かぬか。扉は王族しか通すまい
し・・」

ローレシアのテーブル上には、敵に与えるには贅沢すぎる料理が並んでいる。
材料が何か分からないスープにサジを入れ、臭いを嗅いでみる。一口含む。悪くない味だ。
ローレシアは食べ始めた。
窓の外には暗い霧しか見えない。決戦敗北の夜がふける―――
 

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月25日(土)00時15分58秒
  ≪ゴゴゴゴゴゴ≫実験室の石扉が開き、影が数体飛び込んできた。
≪シュオッ≫≪シュオッ≫≪シュオッ≫
さらに群集が、ヘドロを取り囲む。
「シラヌイの忍(しのび)どもか。アバカムでも破れぬワシの結界錠。よう破りおったわ、ほめてやる」
「ヘッドがお呼びだ。来てもらおうか」シラヌイの手下が言う。
玉座の間。冥・竜王の玉座にシラヌイが座っている。
ヘドロは、取り押さえている手下を振りほどき
「なんの真似ダ。」
「それは、こっちの台詞だぁジジイ!なめた真似してくれるジャァねえか、ア~?
今ぶっ殺してもいいんだゼェ」
しばし、にらみ合う両者。
シラヌイのまがまがしい兜の奥で、血走った眼が見据え、手下達が身構える。
「グゥグワワワワワ・・。
うざいわ~!ザコどもがァ~!」全身の管から体液が撃ち出る。
「ハァァ」シラヌイの周囲に発生した闘気の力場が、体液弾をはばむ。
≪バシュ≫≪ビシャ≫
「ギャアー」「グボワァァ」頭や腕など、手下の体に命中した部位が溶け落ち、血が吹き出している。
シラヌイは背の魔導ランチャーを撃つ。1発。2発。イオナズンが炸裂する。
≪ズガーン≫≪ズガーン≫ヘドロの上体が吹き飛ぶ。
肉片からヘドロの分身が生まれ「グワグワ。ランチャーなぞオモチャよ」マホカンタをまとう。
≪ガシャ≫ランチャーを開き「テメェ用のとっておきだ(弾を込めつつ)
喰らえヤ」≪ボシュッ≫
≪プシュ≫≪プシュ≫ヘドロの体に散弾がくい込む。
「? ? ヌゥ(か、体が動かん) 何を使った~」
「さてな。頭いいんだろ?」
夢見るルビーで作った散弾は対魔法障壁呪文ではなく、対弾障壁呪文でなければ防げない。
「(霧に変化できぬ。直情馬鹿と思っておったが、ぬかったわ~
(シラヌイの部下がヘドロを囲む)アレを・・いや時期ではない。全員倒せても、わしも動けぬではナ)」
ヘドロはおとなしく結界牢に幽閉されてやる事にした。
「神官を呼んで、あいつらを回復させろ。竜王はまだ見つかんねェか?」
「へイ。探しちゃぁいるんですが。あの時一緒に消し飛んじまったんじゃあ・・」
「いや、俺が空にいた時、奴が城にいたのは確かダ(討伐の手筈でも整えてたら、面倒ィゼ)
野郎ォ、どこ隠れやがったァ!」≪ガシャ――ン≫

ローレシアは自室の温泉につかっている。
「(地下の娘達は、逃げ延びれたろうか・・私だけが、おめおめと生き延びてしまった。
ロロ(ロダの弟・智将)はペルポイ(地下都市。王家最高機密の一つ)を根城に、ゲリラ戦を展開してくれる。
絶望はしない。ロダも死んだと決まったわけじゃないわ・・。
ヘドロという魔物は何を探しているのだろう。」
寝室のベッドに座り、窓の外を見る。暗い霧しか見えない。
「(城の位置をロロに伝えられれば・・)」

明け方の樹海を進む人影。
≪ザザッ≫突如、葉陰から兵が現れて男の喉笛にナイフを当てる。
「う・・」一行は身動きすら出来ない。
「おいっ」一人が指図し
「はっ」兵が一行を“ラーの鏡”越しに覗く「大丈夫です」
兵達は武器をしまい、整列して敬礼する。訓練された見事な敬礼だ。
すると、威風堂々とした、重装備の男―――
その横に立つ温和な小男が敬礼する「ご苦労さま」
一同敬礼を解き「おかえりなさいロロ様」
重装備の男がこぼす「ったくヨオ。心臓に悪いぜ。」勘弁してくれとでも言いたそうに肩をすくめる。
もう一人の兵はホイミスライムに還化しつつ「よく言うよ。鋼の心臓のくせに」
「るせいっ」
ロロ「あはははは。そうこぼすなよ。皆、今のままセキュリティには手をぬかずにね。持場に戻ってくれ」
「はいっ」一同は散った。
ロロ達一行はさらに樹海を進み
「二人ともここで待っていてくれ」言い残してロロは進み、ほこらの前に立つ
ロロの小声による詠唱で、二人の場所に階段が現れた。
ロロが駆け戻り、三名は階段奥へと消え、階段はもと通りの地面に戻る。

円卓を取り囲む椅子に掛けているロロ。
重装備を外して兵に渡す”鋼の心臓”の男。渡された兵士は、装備の重さによろめいている。
男が席に着くのを待って、ロロは立ち上がって口を開く
「皆、すまない・・。」一同の前、円卓に手を着いてグッと頭を下げるロロ。
「待って下さいっロロ様のせいじゃ無いですっ」ホイミスライムのホイミンがかばう。
「そうですゼ。法王庁議会の決定だ。アデル王の助けがなければ、殺されてたかもしれないんだっ」
「二人とも待ってくれ。民意をつかめないで作戦を組んだのは僕だ。読みが甘かった」
円卓の一人がつぶやく「奴ら、我々ヤダナ人を劣等人種と呼んで、切り捨てたんだな」
「あいつら、ヤダナのロト伝説が恐いのさ。それが、ねたみになって・・」
ロロは割って入る「僕はどんな処分でも受ける。もっとも、僕の命程度で帳尻が合うとは考えてない」
抵抗軍の主力は拠点ともども壊滅し、もはや冥・竜王のアレフガルド統一は時間の問題だった。
円卓は沈黙し、重い空気が部屋を包む。
 

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月25日(土)00時12分25秒
  海原に日が沈む夕刻の哭竜城。玉座の間では、夜通し盛大な宴がもよおされていた。
玉座の下にソファーを持ち込んで、女をはべらせているシラヌイ。
兜の下から肉を突っ込んで食べている。
「祭りもそろそろ飽きてきたぜ。おい、抵抗軍の王女とかいうのァ何処居るんだ?」肉骨で指す。
「ああ、6層南端しの部屋とか聞いてるぜ」
「そいつから締め上げてみるか」
全員飲んだり食べたりしているのをピタリと止め
目で示し合わし
「グヒヒヒヒヒ」「ゲヘヘヘヘヘ」一斉に卑しい笑いを始めた「ギャァハハハハァ!」「イヤッホウ!」

宴の騒ぎがローレシアの部屋まで届く。
「あ~腹立つ~っ。あいつら、今じゃ城主気取りなのよ!」トロリコはさかずきをガバッと飲み干す。
「まったくじゃ、ここは天地戦争で使われた由緒ある城じゃ。地上のどこから来たとも知れん奴らの
いいように出来る物ではないんじゃ。」もりじいも相づちを打つ。
「大丈夫レすわラよ。あたいの竜王様ら、必ズ。ブッ殺して・・ムにゃ~」
「あらら、酔いつぶれて眠っちゃったわよ」
「風邪ひかんように、床に移してあげよう。三人じゃ麻雀もつまらんし、今日はお開きじゃな」
「(片付けつつ)いい役来てたけど、いつでも出来るしね。さってと終了。じゃ、ローレシアさん
おやすみなさい」≪バタン≫部屋を後にする。
「(皮肉なものね・・人を滅ぼしアレフガルドを統一する魔物の城が、人に掌握されているなんて。
しかも、それが人の勝利では無いと言うのだから・・)」
ローレシアは小ビンに歯ブラシを浸けて歯を磨く。
≪ドガァンン!≫石扉の晶石錠を爆破して、シラヌイ一党が入って来た。
王女は慌てもせずに口をゆすいで「ノックも知らないとは、育ちが知れるわね」
「ぬぁにィ!?」ザコがいきり立つ。
別の男が言う「見下した口利けるのも今だけよ」
≪ジャラ、ジャラ≫≪ガシャ、ガシャ≫鎖の装飾を施した、まがまがしい鎧兜の男が歩み寄る。
「クックックック。王家といえども、しょせんは負け犬。俺はてめェらとは違うぜ。
卑しい身分の俺様が、今やここの支配者よ。」つかもうと右手を伸ばす
ローレシアはその手首を獲って投げにいく。
食卓に向けてシラヌイの体が宙に飛んだ。
テーブルに叩き付けられる刹那≪ギュルルル≫体を捻って
≪ストッ≫椅子背もたれの縁にしゃがみ立つ。
「ほぉう。女だてらに体術か。だが、俺には通じぬと・・分かるだろう?」兜の中の眼に狂気が光る。
反射速度、平行感覚。常軌を逸していた。シラヌイは続ける
「竜王の居場所を言え」
「さあ。明日、冥・竜王に謁見する予定だわ。それ以外は知らない。
向こうにしてみれば、教えとく必要もないでしょう。」
「(なにぃ!? 冥・竜王が生きているだと)・・。」
No.2らしき男が「おいっ冥・竜王は生きてるのか!?」シラヌイに聞きただす。
シラヌイ「はったりだッあんな中で生きてられる物なんか、ありゃあしねェ。
(もしもって事もある。一刻も早く竜王を探し出し、冥・竜王が生きているなら回復する前に仕留める)
クックックックック。い~い考えがあるぜ。おい、悪魔の目玉を集めろっ」
モモン達も部屋に引き出されて来た「なんてことじゃ。おまえたち許さんぞ」もりじい。
「黙ってろっ」≪バシッ≫「ギャッ」
「あんた達、年寄りに何て事を」もりじいをかばうトロリコ。
「ヘッド。言われた通り配置しました」
「クックックックック。城内ライブ中継と行くか。(悪魔の目玉の前に立って)
うぉらぁ!竜王!テメエェ、今すぐ出て来ネェと、この女を犯して殺す!
テメエのせいで関係ねェ女が死ぬ様を、とくと楽しみナ!! ギャァハハハハァ!!」
「ヘッドォかっくイ~!」「ヘッドォ~俺俺に犯らせてクレェ~」「ヒュ~ヒュ~」
「王女を犯れるのかァたまんネェ!」
居ても立っても居られず、部屋を荒しまくる部下ども。
「な、なんて奴らじゃ。人ほど邪悪なものは無いと思うとったが・・見るに耐えん・・。」
「目的の為には、いかなる犠牲も手段もいとわない。そうやって、アレフガルドを侵略してきたのですわ」

城内のいたる所で、悪魔の目玉から壁に映し出された映像が響く。
≪放せェェ!!おのれェ殺してやるゥゥ!≫ローレシアは8~9人で床に押え込まれ
≪ビリビリ~≫衣服が破かれ、美しい胸があらわになる。

もりじいが小声でトロリコに問う「どうすんじゃ。このまま見とるのか」
トロリコ「相手は”邪将”だよっ将軍相手にどうしろって~のよォ」
モモンは考える「(捕虜具ロザリーの腕輪を外せば王女は魔法を使える・・。でもそれは出来ないわ)」
≪イヤァァァァ!ヤメテ!ヤメテェお願イィ≫≪さっきの威勢はどうしたよっ≫≪楽しませてくれヨォ≫
城内放送が響く中、中庭上空を巨大な翼の影が過ぎる≪ズオォォォ≫
≪ガガンン≫テラスに着地の振動が走る。
立ちのぼった土煙の中に立つ影。
「下衆どもガ。その手を放せ・・。」それは押し殺した声でしゃべる。
 

10

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月25日(土)00時06分2秒
  「ヘッ来やがったか、七光り」ランチャーを仲間に渡し歩み寄るシラヌイ
堂々たるドラゴンの勇姿が現れる。
「・・来ナ」クイッと手首で招くシラヌイ
「シラヌイ~っ」竜王は殺る気だ。そのアギトを大きく開き火炎弾を吐く
≪グボォォ≫シラヌイは火炎に包まれた。その炎はローレシアを押え込んでいる連中にまで達する。
「ゲェ」「おぁっちぃっ」「ひぇぇ」連中がひるみ
モモン「今ですわ!」丸まり体当たりで反撃。もりじいもラリホーマを唱える。
トロリコのラリアットで3人が吹っ飛び、壁にめり込む。
ローレシアは両脇2人の頭をガツンとぶつけ合わせ、両脚を回転、蹴り払いながら反動で飛び起きる。
トロリコがローレシアを抱えて竜王へと走り、モモン、もりじいも続く。シラヌイが気づいた。
竜王「貴様の相手は私だろう。場所をコロシアムに移す。」
シラヌイ「いいだろう。この城の主が誰なのか、兵達の前でハッキリさせるまでよ」

魔物達が客席にひしめくコロシアムの中央で、両者は対峙する。悪魔の目玉が城内中継している。
草薙一族が継承する皇技(すめらぎ)は、対オロチの封技(ほうぎ)・九鎖凪(くさなぎ)が源流の兵法。
シラヌイ「(300年以上を生きたヒドラ、さらに格上のオロチと殺りあいながら完成された闘技だぜ。
100年程度の貴様がどう勝つってんだ?バカが。
うざってェ・・勝負は付いてんだよ)」
戦闘の幕を切ったのはシラヌイだ。
「竜の時代は、とうに終わってる事を教えてやるぁ!」手刀から撃ち出た闘気の刃が走る。(皇技・斬鬼)
≪ズバッ≫竜王のウロコは深々と裂け、左腕がだらりと垂れる。
「腱を断つ・・!」シラヌイは威圧する。
「ギシャー」≪ボォォォォ≫火炎がシラヌイを包む。しかし、動じない。
闘気の鎧が、皮膚まで炎を近づけさせない。
「(てめェの炎は恐かねェッ)」大きく空中にジャンプして回転しながら、竜王の背に両膝で落ちる。
≪ズドォム≫
竜王「(笑止な。その程度の、しかも生身の攻撃なぞ・・!?
!? い、息が出来ないっ)」竜王はとまどっている。(皇技・絞打)
「クックックック。呼吸できねェか?炎吐いてみな(弱ェぜ。終わらせる)」にじり寄る。
≪ズオオォ≫竜王の尾がうなる。跳び退いて避けるシラヌイ。
尾を大きな動きで返し、自らの背を打つ
≪ドシン≫
「ゴホ、ゴホ」血を吐き、呼吸を取り戻した。
シラヌイ「(尾の攻撃は、呼吸回復のフェイントだったか。だが、絞打で片肺は潰した)」
竜王「(地上ジェハン(旧ジパング)に、オロチを倒すための闘技があると聞いた事がある。
さっきの闘気は、まるで”竜闘気”。一体これは・・
ならば―――)」気合いため。
シラヌイも気合をためる。
竜王が仕掛ける「グゥギャァァ―――ォォ――」≪グバァァァ-≫
竜王のアギトから、全てを焼き尽くさんとするが如き炎が、あふれ出す!
シラヌイの影さえも炎の中に見えない。
「ハァッ」シラヌイは闘気の鎧”奥義・玄武”をまとう。
が、防げない「う・・ぅ・・」
「(ためた闘気で相殺するっ)」
シラヌイの周囲を球状に闘気の力場が形成される。
炎は止まない。
シラヌイ「(息が続かねェ。今、呼吸すれば肺が焼かれちまう・・!)」
炎が止み、シラヌイはかろうじて、しのぎきった。
「ハァッ。ハァッ。ハァッ。ハァッ」肩で息をするシラヌイ。
足場の円を残して、地表はマグマ化している。
「(この、火炎バカがぁっ俺には利かねェんだよォッ野郎ォォ心臓えぐったるぜ~)」
≪バガァン≫「!? う、うぉぉ!」シラヌイの両腿が黒い墨となって崩れ落ち、倒れる。
「(なんだと~っ)」
竜王は言う「正統王家のあかし”煉獄炎(れんごくほのお)”。
オロチ”八射火(やしゃび)”の3倍強だ。おまえは、オロチ止まりだよ、シラヌイ。
覚悟はよいな。」左腕を特技で回復再生し、
再び、気合をため始める。
「(やべぇ。出し惜しみしてる場合じゃねェっ)
ふぅぅぅぅ。」
シラヌイの体から立ち昇る湯気のような闘気は、竜王の体へと延びて絡み付く
竜王「灰と消えよ!シラヌイ!――
!? !? (何故だっまたも体が動かぬっ)」
シラヌイ「(へへっ掛かりやがったぜ。
そ~お、そおだ~動くなよ~。こっちは奥義・制龍まで出してんだ、頼むぜ~)」
「(何故だ!呪文でも特殊攻撃や特技の兆候さえも見えなかったっ)」
シラヌイの脚が徐々に再生していく。皇技は呪文を一切否定するかわりに、魔力を自然に回復力へと変換
していく。
「(・・奴は竜闘気に似た力を持っている。闘気の・・術――
竜闘気を放射して術をかきけすのみッ)」
≪カァァァ!≫竜王の体が白色に輝く。
しかし、指一本動かせはしない。
脚が再生したシラヌイは竜王から目をそらさぬよう慎重に立ち上がり、少しずつにじり寄る。
 

11

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月25日(土)00時03分47秒
  脚が回復したシラヌイは竜王から目をそらさぬよう慎重に立ち上がり、少しずつにじり寄る。
「(そのままサンドバッグになってろよォ。心臓えぐって終わりだぜェ~)」
「(駄目だ何が違うと言うのだ。っこ、このままでは殺られるっ)」
地味ではあるが、高度な力の駆け引きが展開している。未熟な者達には何が起きているのか理解できずに
いた。客席「竜王様――っ。あと一発――っ」「竜王様――っ。人間なんてブッ殺せ――っ」
竜王の危機に気付く者はいない。
その時、竜王の脳裏に異界が浮かび、
彼は突如、光輝く王宮の中に立っている「(な・・これは。)」
光の中のシルエットが・・声ではないが、語りかけて来る
「(風に乗る海鳥のように、闘気の流れをつかむのです)」
「(闘気の流れ・・)」
「死ィィねェ――」シラヌイが空中から狂気の貫手を繰り出す
≪ズバァ≫竜王の左胸が大きく裂かれ
≪ブワァァ――≫血しぶきが立ち上る。
竜王はよろめき、四肢を着き
その姿は急激に縮小して、人型へと変化していった。
シラヌイ「(心臓は外したか。だが、肉弾戦こそ皇技(すめらぎ)の真髄よ。)
おい、人型になれば活路が開けるかァ?涙ぐましいなァ。クックックックック」
シラヌイはマグマ化した地表に、素足で平然と立っている。
竜王は目を凝らす「(素足で立っている様に見えるが、闘気の膜に守られて浮いている
やはり闘気を鎧としてまとえるのだ。いいだろう。闘気と闘気の戦いか)」
「ギャ――ハハ。ハァッ(竜王に向け突進。ジャンプして)」
≪ズドォム≫右浴びせ蹴り(体を投げ出すように用いる跳び後ろ廻し蹴り)。
竜王は十字受け(両腕を頭上で交叉しての受け)で止める。
シラヌイの追撃・左貫手の闘気が竜王の左胸を裂く
≪バシュッ≫竜王は飛び退き
「~っ」竜王は十字傷を右手で押さえつつ炎を吐き、さらに跳び退いて距離をとり
両腕をシラヌイに向けて平行に構える。両腕間に集めた闘気をプラズマと共に射出
≪ズババババッ≫プラズマ闘気はシラヌイをとらえ
頭部を両腕で守るシラヌイの体は、血を噴きながら宙に飛ばされた
空中で体を捻り、≪ズザザザ≫両足を広げて着地
シラヌイは右掌に闘気弾を作り、竜王前方の地面に打ち込む
≪ドシャッ≫竜王の眼前でマグマ化した地表が壁となって立ち昇る
壁の消えた向こう、シラヌイはいない
空中から軸転・加速し、地表の竜王を蹴りつらぬく!!
≪ズシャ――≫
≪ズガガガガ≫蹴りは地表を削りとばして止まった。
竜王の右胸から先が削り飛ばされて、肋骨が見えている。
≪ババッ≫翼を展開し空中に上がる竜王。
シラヌイは右脇腹に食込んだ竜王の右腕を抜き、それを闘気で肉片に砕く。
「(宙が安全と思うのは甘いぜ)」シラヌイは両足から闘気を放射し、竜王めがけて飛ぶ!(奥義・朱雀)
「とどめダ――ッ」シラヌイが突っ込んで来る
その前面には暗黒闘気の渦が出来て、あたかも黒い彗星のようだ。
「ハァッ」竜王の無数のウロコが、光りの尾を引き、超速ではじけ飛んで行く
幾つかが、火花を散らして弾かれる≪チュィィンン≫≪ヂィィィンン≫
竜王「(退かぬ!)
ウォォォォ――」竜王の左爪が光り輝く
≪ズドン≫
シラヌイの右腕が竜王の胸板をつらぬき、その背から突き出ている。
竜王の左爪も、シラヌイの右脇腹に深々と食込む。
力を失い、きりもみしながら墜落していき
≪ズダダン≫地面に叩き付けられた。
両者ともピクリともしない。
「う・・むぅ・・」シラヌイの指が動く
ヨロヨロと立ち上がる。
竜王のもとに行って、トドメを刺すつもりだ。
気絶している竜王の脇に立つ
「(勝ったッ
脳を潰し、確実に殺す・・)」
左手で竜王の頭を地に押さえ込み、右正拳突きの気を溜める
「(――っ死ね!)」
≪ズバババッ≫
!!
シラヌイの背中に数本の刃が突き出ている。
その1枚は、心臓をかすめていた。
「がァ・・ァ・・」≪シュゥ――≫勢いよく血が吹き出す
シラヌイは両膝を着き、己の胸から吹き出る血しぶきを見ながら、叫びにならない叫びを上げている。
貫通型メイル・アタック(ウロコが竜のサイズに還化する時、一方向にだけ瞬時に伸長する。
現代兵器では対人地雷が近い)。
シラヌイの視野に、コロシアムに降り立つ光球が映る
「(冥・竜王。生き延びたというのか・・
反逆者の最後を見届けに・・)」
シラヌイの視野はせばまり、暗闇へと閉ざされる。
冥・竜王の念動が、シラヌイの刃を抜き
ホイミをほどこす冥・竜王。
「(・・。)」
竜王にもベホマをかける。
消失していた右腕が見る見る再生し、傷は跡形も無く消え去ってゆく。

目覚めた竜王に、冥・竜王は言う
「まだ未熟だ。」
 

12

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月25日(土)00時02分7秒
  トロリコ「ローレシアさん、身体の力を抜いて。そうそう、いい感じよ~
はい、いきんで~」
≪おぎゃ~おぎゃ~おぎゃ~≫――

もりじい「玉のような赤子じゃ。うん。うん。」
モモン「赤ちゃんの頃は、こんなに可愛いのにねぇ。」赤子のホッペタをプニプニと指で押している。
トロリコ「お乳、幸せそうに吸ってる。この喜びと幸せは、どんな生き物も同じだねぇ――。
見ているあたし達も幸せな気持ちになるよ。」
ローレシア「みんな。ありがとう。」目尻の涙をぬぐう。
てれながら顔を見合う3体。
ローレシア「(あの時、メガンテが発動していたら、この幸せは無かった。
生きてよかった。
本当に、本当によかった・・!)」
そっとローレシアの部屋を出て、扉を閉める3体。
モモン「あの子、これからどう扱われるのかしら・・。」心配そうにつぶやく。
もりじい「うむ。順風満帆とは行くまいて・・。」

ローレシア城・診療室。
女医「おめでとう。ローラ姉さん。」
ロダ王は「? ? なんだ?具合悪いから来たのに、おめでとうって? ?」なんとも鈍い。
ローレシア王女はロダ王に、暖かい微笑みを返す。
目をパチクリさせていたロダの表情は、みるみる明るくなって
「あはははっそうか!出来たか!そうかっ」両腕でローレシアを高くかかえ上げる。
女医リリア「あっ義兄さん。」
ロダ「ん?あ、あぁ。安静に安静にだな。」ゆっくりローレシアを床に下し
見つめ合い、抱きしめる。

ラダトーム城。鎧兜の兵士達が行き交う中庭。
ローレシアはロダの見送りに来ている。
ロダ王「ロロからの連絡が遅れているけど、作戦は可決されたんだから心配はいらないよ。」
ローレシアの頬に手を添えるロダ。
ローレシア「男の子ならロア。女の子ならヴァレリー。
ロダ・・。
待ってる。」
そして、最後のキス―――

いつのまにか腕の中で、すやすやと眠りについた命のぬくもりを受ける。
「(何があっても、守りぬくよ。
生きて、生きて、生きぬく・・あなたは、私の全てなの。)」その、無垢な寝顔を見つめていると、
自分はこの命を守る為に生きてきたのだとさえ思えてくる。
力強く沸き上がる気持ち。
「(希望というのは、こういうものなのかもしれない。)」
信頼して身を任せ、幸せそうに眠るロアの寝顔に、罪無き者の在る事を認めざるを得ない。

1ヶ月後。魔法実験室。
加速・成長魔法陣。
一人の人間が、魔法陣に浮かぶ子供を観察しながら言う
「1ヶ月で6年相当の成長。通常の70倍だ。上出来だろう?」話かける、魔法医ダークシュタイン(人間)。
「グワ 夢見るルビーの散弾いらいの秀作だわい。」魔学者ヘドロ(魔物)。
「キャハハハ。ま~だ言ってる。執念深いナ~」魔法石をチェックしている、錬金士キルメデス(人間)。
散弾は、キルメデスとダークシュタインの合作なのだった。
ダークシュタイン「彼(ロア)は、どうしたら魔法を使えるようになるのか・・。
契約は終えているのだが・・加速成長のひずみなのか。」
ヘドロ「生理機能。骨格。筋力。脳。全て異常はない。それは魔法医である、おまえが一番分かっている
はず。精神、情操に問題があるのだ。わしは、こ奴を人間界に放そうと思っておる」
キルメデス「それじゃ、場合によっちゃ、ボクらの敵になっちゃうかもよ?」
ヘドロ「むろん足かせは付ける。(浮かんでいるロアを見つつ)だぁが、こ奴は人間には付かぬわ・・。
まあ見ておれ グゥ、グワワワワワヮ。」
 

エピソード(挿話)「外道勇者バンジー」(1-1)

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月24日(金)23時59分59秒
  地上。
卵殻の様な構造のために数百年で地理が変わり、それに伴う隆起で山岳ができる。
渓流沿いの森を歩く青年・バンジー。
「あ~っ。ついてネェ~」(・o・)
昨夜の大雨で村唯一の橋が落ちたため、山上にある崖の渡りまで迂回している。
「(泳げねェし、荷も濡らせねェし、水の魔物も増えてるし、やっぱ上行った方が無難だぜ。
君子危うきに近寄らずってか♪)かっかっかっ」(^.^)そうこう思いつつ歩いていると、崖が見えてきた。
「(ん?)」(゚-゚)岩に男が腰掛けている。
≪ギロッ≫男はバンジーに、にらみをきかせる。
バンジー「(なんかヤバそう。目合わさないで通り過~ぎよ――)」(-_-;)
男「おいコラ。
てめェ、こんな山奥で何してんだ?ア?」からみ口調で近づいてくる男。
バンジー「(う・・も、もしかして山賊(鼻水垂れつつ)ヒィィィっ誰かお助け~)あ、あの
向う岸の村が家なもんで、ナハ、ナハ、ハ」(~_~;)
「荷をよこしな」
「(ダ~やっぱり山賊――っ。今日は厄日か~っ)なっ
なんでもしますっ命だけはお助けを~っ」(T_T)差し出す。
男は荷を調べる「どれ、薬草、毒消し草、満月草、福引券、ナイト一発(ファイト一発姉妹品)・・
歴代ミス・パフパフ図鑑、バニーのレオタード・・(こ、こいつ何考えてんだ?妙な趣味しやがって)
キメラの翼。?? なんで使わねえんだ?」
「それ、村で急患が出たら使うんっす」(傷ではなく、病)
「フン。
聖水、黒胡椒、消えさり草、キノコ?これ、禁じられてる“怪しいキノコ(媚薬の原料)”・・
てめェっ何か怪しい事考えてねェかっ!なんでこんなキノコがいるんだよっ」
「ダ~すみませんっ決して使いませんん~っ
ついワルぶって買っちゃいました~(クソ~っミーシャに使おうと、苦労して手に入れたのに~っ)
よかったら、どおぞ――っ」(>_<)
「カジノのコイン・・(おっ、小さなメダルがある。こいつには無用だな。いただきっと)
こんなとこウロウロしてっと、化けた魔物と勘違いして殺しちまうゾ、ホラ」荷を返す。
「(へ?山賊じゃないの?)すみませんでした~っ二度とウロチョロいたしませんんっ
(やったっ俺のキノコちゅわん♪♪ミーシャはいただきやネ~。ウケケケケ)」(~o~)
「(ウッ。何、不気味な笑い浮かべてやがんだ。こいつは)」
≪ガサガサガサ≫木陰から、がっしりした体格の男が現れた。

二人の男はバンジーをはさみ、けわしい顔でにらみ合っている。
バンジーはビビりながら、腰を抜かしている「う、ううッ(きょ、恐い――っっ
私はだ~れっ、ここはドコ~っっ)」(T_T)
 

エピソード(挿話)「外道勇者バンジー」(1-2)

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月24日(金)23時56分34秒
  二人の男はバンジーをはさみ、けわしい顔でにらみ合っている。
がっしりした体格の男は、良く見ると僧侶の装備だ。
あまりに乱れた着こなしなので、ひと目では分からない。
「調子わりいけど、ましになったわ。(腹を押さえている)
ジャロ。その茶坊主、ナニよ」
ジャロと呼ばれた例の男は「ああ、怪しい野郎だから調べてたとこだ。
向う岸の村に住んでんだと」
僧侶「なんだ、知らないのか?あの村は、とっくにモ抜けの殻だぜ。
最近、強力な魔物がひんぱんに現れるようになってから、村人は移り出て行ったんだ。
それにおまえ、そんな装備で行く気か?死ぬぞ。」
バンジー「嘘ォ~?。ふもとの街では、何も言って無かったよォ。ナハハハハ」崖の渡りへと進む。
下を見下ろす。目もくらむ高さだ。激流が音を立てている。
「あ~ぁ、行っちまった」
ジャロ「放っとけ。馬鹿は死ななきゃ分かんねェってよ」

バンジーは四つ這いで渡っている「なんちゅう高さ。落ちたら死ぬぜ、こりゃあ
(見下ろしている顔を上げ)
!!」(@_@)
魔物の足が数本・・。
オックスベア。コング。殺人鬼2人。
「(なんですとォ――!!)
アワワワワ」腰を抜かしている。

ジャロ「おい。」僧侶に目配せする。
「へ、待ちくたびれたぜ。お仕置きだな」大金槌(改)を左右に各1装備。
ジャロ「(茶坊主に気を取られている隙に、先手必勝っ)ヒャダイン!!(強大冷気呪文)」
≪ヒュオオオ――≫バンジーの頭上を吹雪と氷の矢が飛んで行き
≪ザシュッ≫≪ザシュッ≫≪ドシュッ≫魔物達にツララが突き刺さる
「グァ――」「ゴワァァ」「ぎゃー」殺人鬼が吹っ飛んだ。
殺人鬼の装備していた鉄の斧が宙を飛んで≪クルクルクル≫
≪ズドッ≫バンジーの股間ギリギリに突き刺さった
「ヒィィィ。アヒ、アヒ」(@_@)
魔物達がマホカンタ(強大・魔法反射障壁)に包まれる。魔道士は背後にいて見えなかったのだ。
ジャロ「チッ」僧侶にバイキルト(応用・攻撃増幅呪文)を掛ける。
土煙を上げて魔物達に突進していく僧侶「うおぉぉぉ――」≪ドドドドドド≫
≪ドガッ≫バンジーが弾かれ、斧にぶら下がりもがいている
「嫌ァァ!死んじゃうゥゥ!死んじゃう~!」(T_T)
僧侶「喰らえャ――ッ 正義の舞ィィっ(単なる”みなごろし”)」
≪ドガン≫≪ズガッ≫≪バゴッ≫
オックスベアとコングは吹っ飛んだ。
僧侶「てめェら!俺は愛と正義の修道士(僧兵)、ワーレンハイト様だ!
神の命においてっっ手前ェらを解体する!」
敵の魔道士「ワ、ワーレンハイトっ。すると向こうは”邪法呪文”の使い手(邪法使い)ジャロっ」
コングが胸板を叩いて雄叫びを上げ、仲間を呼ぶ
「ゴアァァ――」≪ズドズドズド≫
ワーレンハイト「そこの殺人鬼!人間のくせに魔物に付きやがってっ
許せん!死んで贖罪せいぃぃっ」
「あひぃぃ~」恐怖で動けない
≪ドガッ≫頭がもげ飛び、宙を舞う。
「お前も解体処分だ!」もう一人の殺人鬼にも
≪ガッ≫≪ズドッ≫両腕に2槌を喰らい、右腕は地に転がり、左腕は皮一枚でぶら下がっている。
「だじげで~だじげで~」両腕から血を吹き出しながら、ふら付いている。
背後に大きなシルエットがヌッと現われ、目は赤く光り
「そう命請いをする奴を、なぶり殺して来たんだろォ~?」
≪ドガッ≫≪ガッ≫両足がもげ飛ぶ
「人間ダルマ落し~なんちって
いいかテメェはもう直、死ぬ。懺悔しろ。魔界は嫌だろ~」
肉ダルマとなった殺人鬼はうわ言のように
「神よ、お許し下さい。神よ、お許し下さい。2度と殺しません。誓います。
どうか、あなたの元にお召しください・・」
≪ザッ≫ 靴が、顔の横に下り
ワーレンハイトの顔が上から逆さまに現れる。
「イヤ、だ。」
靴底が視界を覆い
≪グシャ≫頭蓋がつぶれる。
ワーレンハイト「くぅぅ。たまんねェな、悪を倒した時の快感はっ。
正義は勝つ!そして、強い!」拳をグッと握り締め、その場でウルウル涙を流している。

ジャロ「コラぁっひたってんじゃねェ!」理力の杖(改)で戦っている。
ジャロは飛び退き、爆弾石を投げつけ
爆弾石に向けてメラゾーマ(強大火炎呪文)を放った。
≪ズガーン≫イオラ規模の爆発。メラゾーマの炎が魔物達を包む。
この場合、メラゾーマは爆弾石に向けられたので魔物達のマホカンタは反応しない。
≪ボボボボォ≫炎に焼かれている。
「マホカンタ対策は万全よ。」
「俺の出番は要らなかったな。」歩いて来るワーレンハイト
!!≪ドサッ≫
2体のコングがジャロに跳び付く。
≪ズザザ≫「う、う・・」ジャロは地に押さえ付けられ
「動くなぁっ」魔道士はジャロに毒針を突付ける
コングは仲間を呼んで戦う習性がある。
 

エピソード(挿話)「外道勇者バンジー」(1-3)

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月24日(金)23時53分53秒
  「キヒッキヒ、ヒヒ(先に邪法使いを殺ったら、この馬鹿を止められんからナァ)」
ワーレンハイト「て、てめェ。人間の皮かぶったケダモノめっ俺はお前を人とは認めねえっ」
歯ぎしりしながら、指さす。
魔道士「結構だね。神などという特権を振りかざす輩に認められても――
嬉かねェんだよ!」バギマを放つ
≪ゴゴォオォォ≫強力な竜巻が襲い、ワーレンハイトは目を守ってつぶる。
≪ズバッ≫≪ズバッ≫真空の鎌イタチ現象が全身をきざみ
≪ドゴッ≫≪ドガッ≫巻き上げられた拳大の石つぶてが全身にめり込む。
なんとかしのいだが、アザと傷だらけだ。傷は静脈を切断している。
魔道士「崖に落ちるか、削られて死ぬか。
おい、聖職者。俺の家族はな、人に殺された・・。
皆、俺も含めて病に懸り、パデキアの根を求めて街から街へと這いずり回った。
高価で買えず、終いにゃ、病が移るからと追い出された。
体力のない妹が死に、やがて親も・・教会、店、城、医者。人に慈悲など在るものか!
神?上等だ!ぶっ殺してやるよ、神なんざ。救ってくれたのは魔物側だ!」再びバギマを放つ
≪ゴゴォオォォ≫
「グウ・・ゥ・・」崖側に引きずられて行く。

バンジーにも乱気流が及び、つかまっていた斧ごと落ちる。
「ア~レ~っ」落ちて行く。
≪ブワァ≫突如、バンジーのマントが大きく広がった
「なっ??」昔、少年の頃。いじめられっ子だった彼の理解者であった、隠者からもらった想い出のマント。
汚れていてボロ布の様だが、風のマントだったのだ。
バンジーは吹き上がる上昇気流に乗った。
「(ウヒョ――凄ェェ飛んでる――!!)」滑空し、大きくループを描き――
その先にはコング達が
「ダメっっイヤっっ そっちイ――ヤァ――」(@_@)

≪ドガッ≫
コングの後頭部に、鉄の斧で急所への一撃!!
≪ズズン≫倒れるコング。
もう1体と魔道士は、バンジーの荷から出た黒胡椒に目鼻をやられている。
ワーレンハイト「喰らえェ必殺っツインパージ!!(Purge)」
≪ジャッ≫≪ジャッ≫大金槌が分離して飛んで行く
改造により、モーニングスターや鎖分銅としての機能を備えている。
コングと魔道士にヒット。
ジャロは理力の杖の柄をコングの体内に突き込み
「メラミ」(応用火炎呪文)
魔物の眼や口から炎が溢れ出し内臓を焼く。やがて全身が燃え上がり炎に包まれた。
理力の杖は魔力を衝撃エネルギーに変換する武器。魔力と引換えに、非力な者でも大打撃を与えられる。
その特性上、魔力伝導率が高く、その利点を応用した改造だ。

魔道士はジャロとワーレンハイトにはさまれた。勝目は無い。
「バギ≪ズガッ≫≪ドシュ≫・・マ・・」杖と槌を受けて、倒れる。
ワーレンハイト「俺の家族ァ生きてるし、故郷も守る。俺は愛するものの為に戦う。
魔物にゃ渡さねェ。(バンジーを見て)
ありがとうございます。助かりました。
見事な奇襲と急所攻撃。高名な戦士様とおみを受けしますが?」
バンジー「(なんか知らんけど、合わせちまおう♪)あ、あぁ。
名乗る程の者じゃないサ。フッ」(^。^)髪をかき上げる
ワーレンハイトはジャロを見て「ジャロ、礼くらい言えよ」
ジャロ「助けが無くとも、何とかなったんだよっ余計な真似しやがって」唾を吐き捨てる。
ワーレンハイトは、あきれた表情で「何て呼べばいいっスか?」
バンジー「バンジー。よろしくナ」(^_-)
「バンジーさん、よろしく。ワーレンハイトっス」
腕を組み「にゃはははは。さん付けなんて他人行儀な。バンジー君と呼びなさい」(^O^)
「じゃ、じゃあ (-_-;) バンジー君。俺らも村にお供しますよ」
バンジー「(よぉっし。いいぞ、俺のしもべよ!)なんか、悪ィなぁ。ワーレンがいいなら、俺ァ構わないゼ」
「そおっスか!じゃあ行きましょうっ」
ジャロは後ろから着いてくる「(ヤロウ。必ず化けの皮剥いでやるゼ)」
 

13

 投稿者:出尾 龍児  投稿日:2000年 3月24日(金)23時51分29秒
  魔法実験室。
「ヘドロ様。準備できました」ブラックマージ(冠被らず)が晶石から報告する。
「うむ。」
ロアを浮き寝台へと移し、搬送しながら部屋を出る。

別の魔法実験室。
暗い室内をかすかに照らす立体魔法陣の中に、魂が閉じ込められている。
波打つように形が変わる魂は、その輪郭から人の霊魂であることが分かる。
石扉が開き、ヘドロ、浮き寝台のロア、キルメデス、ダークシュタインが入って来た。
ヘドロ「(魂の状態は・・良好・・)よし、始めるとしよう」
ダークシュタイン「(人間の魂・・。何が始まるというのだ。)」
静まり緊張した部屋の中、ヘドロは呪文の詠唱を始め、横たわるロアの真上に同様の立体魔法陣が形成される。
そしてロアへと歩み寄り、彼のひたいを両手で包み
「ザキ」
基礎魂分離呪文をかける。
昏睡状態にあるロアの幽体は容易に分離して、立体魔法陣に吸い込まれた。
空中に浮かぶ2つの魔法陣は接近して重なり
≪シュバッ≫≪シュバッバッバッ≫≪シャキン!≫≪シャキン!≫より複雑な立体魔法陣へと変化する。
ヘドロは暗示をかけるように「さァァ哀しみを背負うのダァァ~宿命のシモべよッ」
詠唱を始め、プラズマと共に中の魂が融合し始める。
≪カッ≫ロアの瞳は大きく見開かれ
その、瞳の中――

ロアは深い霧の中に立っている。
ロア「(何処だろう・・)」でも、自分の居る所が何処なのか分かっているような気もする・・
空の雨雲がヘドロの巨大な顔を形作っているが、ロアは気付かない。
≪ズォォ≫霧の中、背後からいきなりロアの喉笛を掴む手
大人の男が現れて言う「何、さぼってんだッ。キッチェ
とっとと水を汲まねェかッ」≪バシッ≫頬をはたく。
思わず倒れ込むロア。石畳の向こうに井戸が見え、気付くと右手には水桶が握られている。
「(ああ、僕の名前はキッチェだよ。そうさ、キッチェだ)」
キッチェは起き上がり、尻を払って井戸へ向かった。
滑車式の古井戸から桶をはずして、天秤棒で持ち上げると、2つの水桶は容赦無くのしかかる。
キッチェは毎朝これを20回繰り返す。
曲がり角まで来た時、人がぶつかって来た。
≪ドンッ≫≪バシャ、バシャッ≫
キッチェ「うわぁ。ごめんなさい。ごめんなさい」
男「イヤイヤ、悪いのは僕の方さ、せっかく運んできたのにゴメン」
男はポケットから銀貨を1枚出してキッチェに握らせ
「急いでるんだ、これで勘弁してくれ」
「え?あの」
「すまんなっ今度あったら、飯でもおごらせてくれ。じゃッ」そそくさと、立ち去り
あっけに取られて見送っていると、後ろから複数の足音が駆けて来る。
「おい、おまえっ黒髪を後ろで縛った、眼鏡の男が来ただろ!?どっち行った!ええっ!」
銀貨の男をかばう気はなかったが、この男達の態度には、とても協力する気持ちにはなれなかった。
キッチェが反対方向を指差すと、男達は駆け去って行く。

8才~16才位の少女達が食卓を囲み食事している。
固いパンと薄いスープだけの粗末な食事だ。
通路をキッチェがヨロヨロと水桶を運びながら、一人の少女と目で挨拶を交わす
「(ナナ、おはよう)」
少女も小さく微笑む
「(おはよう、キッチェ)」
隣の少女がいたずらっぽく肘で小突き、ナナも照れながら小突き返す。
「こら、おまえ達。さっさと喰って身支度しろッ風呂は沸いてんだッ
キッチェ、水汲みが終わったら食事をすませろッ今日は金持ち引いて来いよッ」
宿主はがなりたてる。ここは・・少女の売春宿ピクシーナ。
5年前の断罪戦争(デスピサロ本体がオロチを吸収した粛正の魔神)で、キッチェは親を失い戦災孤児となる。
5歳のキッチェは奴隷商人に育てられ、2年前8歳でピクシーナの主人の元へ売られて来た。
雑用と客引きが役割だ。
地上は“卵殻構造”のために、数百年で地理が変わり、それに伴う隆起で山岳ができる。
チェンマ。バハラタの東にある町。
これといった特産もなく、売春街の観光収入が町の財政を支えている。
この時期は、バハラタの謝肉祭の為に客足が増えて忙しく
少女達は連日、深夜まで客を取らされ、多い時は1日5~6人の相手をさせられていた。
後半は性感が麻痺して何も感じなくなるが、無表情で横たわっていると宿主にどやされるので演技する。

深夜1時。
最後の客を見送ったナナは、疲れを感じながらもゴキゲンだった。
その客はナナを気に入って、通常の倍のチップをくれたから。
「(もう少し・・
もう少し貯まったら、逃げ出そう。カボチ村に、家に帰れる!)」
自分の部屋へと戻ると、さっきまで性行為を営んでいた乱れたシーツに、宿主が腰掛けている。
その手には、客のくれたチップが・・
 

以上は、新着順11番目から20番目までの記事です。 1  2  3  |  《前のページ |  次のページ》 
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