ソニー情報流出:ネットサービス再開 利用者には不信感

2011年5月15日 21時22分

 ソニーの約1億人の個人情報流出問題で、同社は15日、停止していたインターネット配信サービスなどサービスの一部を、欧米で同日(米国時間14日)から順次再開すると発表した。日本やアジア地域でも近日中に再開し、5月中の全面復旧を目指す。利用者からは再開を歓迎する声が上がったが、同社の情報管理への不信感から利用者離れが進む懸念もあり、信頼回復には時間がかかりそうだ。【竹地広憲】

 再開するのは、ゲームの配信などをする「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」と、テレビなどへの映像・音楽配信サービス「キュリオシティ」。米子会社が運営するパソコン向けのオンラインゲームは、全世界で同日から再開する。利用者はこれまでのパスワードを変更しなければならない。

 ソニーは新たに情報管理の責任者を置いたほか、セキュリティー会社と連携してネットワークへの不正侵入を監視したり、ソフトを変更するなど再発防止体制を強化した。再開に合わせ、利用者へのおわびとして、一部サービスの無料提供などを行う。

 ソニーの平井一夫副社長は「サービスが利用できなかったことを大変申し訳なく思う。十分な安全管理措置を講じた上で再開させていただく」とのコメントを発表した。

 昨秋からPSNでゲームを購入していた東京都板橋区の男性会社員(32)は「ネット上の個人情報のやりとりは安全ではないと感じた。ただ、友人と再開の時期が話題になっていた。再発防止策を講じてくれると思うので、再開したらすぐ利用したい」と話していた。

 しかし、ソニーは今回の情報流出問題を受け、海外の複数の利用者から損害賠償請求訴訟を起こされるなど経営面で新たなリスクを抱えた。

 サービス停止期間の販売減少やクレジットカード再発行手数料の肩代わりなど、業績への影響も免れない。

 ソニーのブランド全体への悪影響を心配する声もあり、信頼の回復が急務となる。

 同社はソフト配信事業を重点戦略に掲げ、「赤字だったプレステ関連事業は収益が改善しつつあった」(ソニー幹部)。それだけに、「再度、トラブルを起こせば利用者離れは避けられない」(別のソニー幹部)との危機感は強まっている。

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