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東日本大震災:台湾の実業家3人、大田区に医療用発電機50台寄付 /東京

 ◇「在宅介護の実態把握して」 介護ベッド開発を行う野村さんが橋渡し

 東日本大震災による夏の電力不足に備え、台湾の実業家3人が大田区に医療機器用の小型発電機50台(約800万円相当)を寄付した。橋渡しをしたのは同区で介護用ベッドの開発を行う野村恭三さん(57)。今後、都内で再び計画停電が実施されれば、在宅で医療機器用の発電機を必要とする人も増える。野村さんは「行政は一日も早く在宅介護の実態把握をして、2次災害を防いでほしい」と訴えている。【黒田阿紗子】

 震災翌日の3月12日。野村さんのもとにベッドを利用する男性(64)の家族から電話が入った。「停電になったら命にかかわるかもしれない。発電機を探してもらえないだろうか」。男性は難病のシャイドレガー症候群を患う。24時間体制ではないものの、人工呼吸器とたん吸引機が手放せない。

 当時は東電や区に相談しても医療機器用の発電機は入手できなかった。野村さんは、直接メーカーの工場に出向いて探したが、在庫はゼロ。結果的に23区のほどんどは3月の計画停電の対象から外れたが、「いざ停電になれば大変なことになる」と危機感が募った。

 仕事で縁のあった台湾の実業家、林惟瑞さん(55)から「何か支援がしたい」と国際電話が入ったのは、そんなころだった。野村さんは「お金よりも、発電機を入手してもらえないか」と依頼。林さんは仲間と協力し、台湾でも品薄だったインバーター付きの小型発電機を1カ月以上かけてかき集めた。今月2日、同区に50台が届いた。

 区高齢事業課の担当者は「区には貸し出せる発電機がなく、寄付がなければ相談されても対応できなかった。本当にありがたい」と話す。区内に35カ所ある民間訪問介護ステーションに配り、必要とする人に貸し出す予定という。ただ、在宅で人工呼吸器などの医療機器を使う区民の数は「数百人規模」に上る。予備バッテリーを所持していたり、数時間なら停電の影響を受けない人も多いとみられるが、個別の状況は調査中だ。

 林さんと、共に発電機を寄付した同じグループ会社の役員、李錦珠さん(57)は13日に来日。松原忠義区長と面会し、同区から感謝状が贈られた。林さんは「台湾は日本と同じように地震が多い国。力になれることがうれしい」と話した。

〔都内版〕

毎日新聞 2011年5月14日 地方版

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