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[事件]ニュース
【東日本大震災】震災で東北の郷土芸能がピンチ 人的被害、道具類も失う…
2011.5.15 00:21
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東日本大震災で損壊したのは、歴史的建造物や美術工芸品といった有形文化財だけではない。東北には昔から数多くの民俗芸能が息づき、人々をつないできた。そうした無形の文化財も危機にひんしている。 (黒澤綾子)
「1千年余の文化をどう守っていけばいいのか」。関係者が頭を抱えるのは、福島県相馬地方で毎年7月に開催される国の重要無形民俗文化財「相馬野(の)馬(ま)追(おい)」。起源は平安中期の武将、平将門の軍事演習とされ、約500の騎馬武者が駆け回る神旗争奪戦は大きな見どころだ。
南相馬市観光交流課によると、震災で地元の馬約200頭のうち約80頭が死んだ。主会場の南相馬市は一部、東京電力福島第1原発から半径20キロ圏の警戒区域にあたり、神事の「野(の)馬(ま)懸(がけ)」が行われる相馬小高神社は立ち入りが規制。域内に取り残されていた馬28頭は今月初めに移動させたが、開催の見通しはたっていないという。
国指定重要無形民俗文化財では、宮城県石巻市の「雄勝(おがつ)法印神楽」も甚大な被害を受けた。伝承の要である新山神社は流され、保存団体の会長は行方不明だ。
全日本郷土芸能協会(東京都港区)によると、東北ではほぼ集落ごとに神楽や舞など民俗芸能が存在する。事務局の小岩秀太郎さん(34)は「過疎と高齢化で存続が難しい中、大震災が追い打ちをかけそうだ。人的被害に加え、面や装束などの道具類を失ったケースも多い」と懸念する。
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