シャッターテスター


幕速測定

外観

受光センサーを2つ使い、フォーカルプレーンシャッターの 幕速を測定する機能を実現しました。部品点数が多くなったので 基板を2階建てにしてあります。

原理

2つのセンサーに入ってくる光の時間差を検出して、先幕・後幕の走行時間を求めます。

ここで問題になるのは、2つのセンサーからの信号がかならずしも上の図のような関係にはならないことです。 すなわち、上の図は先幕と後幕が作るスリットがフィルム面を走る状態であり、別のことばでは シンクロ可能な速度よりもシャッター速度が速いときの信号です。シンクロ可能な速度で(スローガバナーが 効いている速度)ではつぎの図のような信号が得られます。

いずれの場合にも正しく動作する検出回路をつくるためにはいろいろな方法が考えられると思いますが、 今回は、RSフリップフロップを用いて先幕通過から後幕通過までの状態を記憶させることにしました。

回路図のS1, S2にセンサーからの信号を入力すると、O1, O2にそれぞれ先幕・後幕の走行中にHIになる出力が得られます。この信号を利用して、基準発振からのパルスをゲートすることで、走行時間を0.1msの分解能で表示することができました。

また、回路図のRESET端子は何かの都合でフリップフロップがONになってしまったときに強制的に元に戻すために必要です。

(2007.3.4)


受光部スリットの幅

フォーカルプレーンシャッターの場合、幕の通過を検出するときにスリットの幅のぶんだけ余分に 受光部に光がはいってしまいます。以下に、ここからくる誤差を計算してみました。

幕の速度をv, 受光部スリットの幅をw, シャッター速度をtとします。スリットを通過するのに 必要な時間t'はt'=w/vとして求められるので、受光部がonになっている時間はt+t'となります。 具体的な数値を入れてみると、v=20mm/10ms=2m/s, w=0.2mmの場合t'=0.2mm/2 m/s = 0.1 msと 見積もることができます。この程度であれば1/1000sの測定に対して気にならない程度の誤差と いえるでしょう。

(2007.3.7)


高感度センサ

フォーカルプレーンシャッターの測定のためにスリットの幅を狭くすると、それに比例して センサに入る光の量が減少します。したがって、センサの感度をあげてやる必要が出てきます。 そこで、フォトダイオードとOPアンプを用いたI-V変換回路を内臓した高感度センサ を作りました。

ここで、C1は位相補償のために必要です。また、応答速度はダイオードの出力容量Cと フィードバックの抵抗Rの積t=2πCRによって決まります。TPS708の出力容量は カタログによると50pFということなので、2πCR=0.3msとなります。

I-V変換回路の出力をさらに6倍にしてロジック回路に送ります。

(2007.3.17)


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