シャッターテスター


シャッターテスター

ジャンクで手に入れたり自分で分解してしまったカメラは、多くの場合そのままでは使えません。しかし、ちゃんと調整して魂を吹き込んでやれば立派に現役復帰してくれます。そのために、シャッターやシャッター幕の速度を測定する簡単な装置を作りました。

回路図

動作原理

シャッターが開いているとき、光センサー(SD5600)の出力がHになります。この時間を測定するために基準発振器から10kHzの矩形波をカウンタモジュール(Trumeter 7000)に入力します。カウンタの数字1に対して0.1msの時間に対応した出力が表示されます。

基準信号はセラロック640kHzの発振出力をカウンタ(74HC393)で1/64にすることで得られます。カウンタの動作を光センサーの出力によって制御して、光が入っているときだけ信号がカウンタモジュールに流れるようになっています。

ロジックIC、カウンタモジュール、光センサ電源電圧がそれぞれ違うので、電源(乾電池1.5V×3)からの電圧をロジックICと光センサに直接入力し、カウンタモジュールには定電圧ダイオードで電圧を落として供給しています。

製作

まだ試作段階なので、万能基板で作ってみました。写真でセンサーが2つあるのは幕速測定用の準備です。

部品はすべてRSオンライン(http://rswww.co.jp/)の通信販売で購入しました。特殊なパーツとしてはLCDカウンタモジュール (Trumeter 7000)くらいで、あとは適当な代替品があると思います。カウンタの仕様についてはTrumeter社のウェブサイト(http://www.trumeter.com/)で入手できます。

結果

この装置を使って、BESSA-Rのシャッター速度を測定してみました。

BESSA-R

ダイアル 1回目 2回目 3回目
1/2000 s 0.9 ms 1.0 ms 1.0 ms
1/1000 s 1.6 ms 1.6 ms 1.6 ms
1/500 s 2.4 ms 2.4 ms 2.4 ms
1/250 s 4.4 ms 4.4 ms 4.3 ms
1/125 s 9.5 ms 9.4 ms 9.4 ms
1/60 s 18.5 ms 18.8 ms 18.6 ms
1/30 s 33.6 ms 36.5 ms 35.8 ms
1/15 s 65.6 ms 64.7 ms 65.4 ms
1/8 s 126.1 ms 125.6 ms 125.9 ms
1/4 s 268.5 ms 245.8 ms 248.3 ms
1/2 s 471.5 ms 471.8 ms 476.9 ms
1 s 980.2 ms 994.9 ms 979.2 ms

高速シャッターの値から考察すると.5msほど大目に表示されているようです。これはセンサーの受光面積の問題だと考えています。

(2006.4.16記) Khi


シャッターテスター2号機

1号機から次の点を改善しました。

回路図


(2006.12.9修正)

解説

センサー部をフォトIC(SD5600)からフォトトランジスタとシュミットトリガ回路に変更しました。これはセンサー用フォトICの定格電圧が4.5-6Vだったので、3V動作させることができなかったからです。適当なフォトICがあればその方が簡単でしょう。

U3のモノテーブルマルチバイブレータは、光がON→OFFになるエッジに反応して数秒のパルスを作ります。この出力をカウンタのリセットに入れることで多重露光を禁止し、カウンタの表示がホールドされます。その後、50ms程度のパルスを作ってカウンタをリセットしています。

電源がすべて3Vになったので、カウンタモジュールに入っていた定電圧ダイオード等は不要になりました。その他は1号機と同様です。

製作

前回よりも一回り大きい万能基板を使って、一枚にすべての回路を組み上げました。まだ箱は作っていません。

(2006.5.3記) KhI


受光部

第1号機を大改造して2号機と同じ回路にしました。ただし、フォトトランジスタの負荷抵抗は10kΩに増やしました。

フォーカルプレーンシャッターの場合、幕の開口部の影響で本来のシャッター速度より大きめに測定されてしまいます。これを避けるためには受光部の幅を幕の開口部の幅に比べて十分狭くする必要があります。

受光部の開口は、幅0.2mm程度のスリットになりました。ドリルで直径1.5mmの穴をあけ、その上からアルミテープを貼っています。横走りフォーカルプレーンを前提として上のようなスリットを作りましたが、もちろん縦走りのカメラが主のときはそれに応じたスリットを作ることができます。

測定時の注意として、光源はできるだけ並行光に近いものを使う必要があります。指向性の高い懐中電灯をできるだけ遠くに置くのが現実的だと思います。試作中に1msもの誤差を生じることが多々あり、原因を追究するのに少々時間がかかりました。

(2006.5.20)


パーツリスト

電子パーツ店で部品をそろえるときの参考に、パーツリストを作りました。「2号機」の回路を基に作成しています。

部品番号仕様備考
U174HCU04APUなしは不可
U274HC393AP
U374HC123AP
U4Trumeter 7000/RSRSコンポーネンツで取り扱い(品番343-442)
X1セラロック 640kHz
R11kΩ1/4Wカーボン
R21MΩ1/4Wカーボン
R310kΩ1/4Wカーボン回路図では1kΩになっている
R46.3kΩ6.8kΩ1/4Wカーボン
R5100kΩ1/4Wカーボン
R6100kΩ1/4W金属皮膜カーボンでも可
R8330Ω1/4Wカーボン
VR150kΩ半固定巻線が望ましい
C1150pF25Vスチロールセラミックでも可
C2150pF25Vスチロールセラミックでも可
C3100μF25Vアルミ電解タンタルでも可
C41μF25Vアルミ電解タンタルでも可
C50.01μF50Vセラミックス積層セラミックスでも可
Q1TPS615TPS607A(東芝)可視光用フォトトランジスタならなんでもよい。(Kodenshi ST23Gなど)
D1LED 赤色(型番不明)

このほか、回路図に載っていない部品として、プリント基板、ねじ、電池ボックス、ケース等が必要になります。できればICソケットを用いるほうがいいでしょう。

(2006.10.16)


実装例

2号機のプリント配線面を恥をしのんでお見せします。画像をクリックすると拡大します。

サンハヤト製ICB-293Uという万能基板を使って作りました。あらかじめ電源とGND用の配線が印刷されているので 便利です。74HCU04,74HC393は7と14ピン、74HC123は8と16ピンがそれぞれ電源、GNDの配線になっています。 (回路図には記載してありません) また、電源とGNDの間に0.01μFのコンデンサが接続されています(これも回路図には記載してありません)。 こちらはなくても大丈夫だとは思います。

部品表ではR4に6.3kΩ6.8kΩと書いてありますが、ここでは5.6kΩが刺さっていました。この程度の違いが あっても動作には問題ありません。

(2006.11.12)(2006.12.9修正)


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