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日中韓首脳会談:「再生可能エネルギー重視」首相表明へ

菅直人首相
菅直人首相

 菅直人首相が、今月21、22日に東京で開かれる日中韓首脳会談で、東京電力福島第1原発事故を受け、太陽光や風力など再生可能エネルギーを重視する方針を表明することが14日、分かった。首相がこうした方針を国際会議で表明するのは初めて。3カ国での技術協力などを確認する。原子力安全・防災協力も主要議題となり3カ国政府は、夏にもソウルに共同事務局を新設して災害支援などの連絡調整を行う拠点にする方針だ。

 会談には、中国の温家宝首相、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領が出席し、4回目となる今年は菅首相が議長を務める。

 3カ国共同事務局の創設は、そもそも昨年5月の第3回日中韓首脳会談で合意された。経済・文化協力を目指していたが、災害協力機能を強化する。3カ国で事務局運営費を出し合い、事務局長は韓国、次長は日中から出す。会談では、このほか3カ国の救助隊や支援物資の受け入れを迅速化する態勢構築についても協議する。

 原発安全管理についての3カ国の政府間協議を活性化して次回会合を年内早期に開催することも合意する。

 菅首相は今月10日の会見で、2030年までに原発の総電力に占める割合を50%以上にすることを目指したエネルギー政策を見直し、再生可能エネルギーを「基幹エネルギー」に加える考えを示した。政府高官によると、菅首相は会談で、再生可能エネルギーに「シフト(移行)」する考えを表明したい考えだ。しかし、国際社会に「日本は脱原発の姿勢だ」との誤解を招きかねず、26、27日にフランスで開かれる主要8カ国(G8)首脳会議などでも同様の表現で説明することを考慮して、「重視する」との内容に落ち着く方向だ。

 菅首相は会談で、原発事故の情報を「最大限の透明性」で提供することを約束したうえで、日本の農産物などへの輸入規制緩和も要請。中韓両国での風評被害に歯止めをかける転機にしたい考えだ。【犬飼直幸】

毎日新聞 2011年5月15日 10時24分(最終更新 5月15日 14時27分)

 

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