県立福岡高(博多区)で14日、東日本大震災についての講演会があり、発生直後に東北地方で取材した毎日新聞福岡報道部の近松仁太郎記者(34)と県警の警察医、大木實さん(63)が講師として登壇。被災地での経験を高校生に語った。
同校の文化祭の一環で、実行委の生徒が中心となり、「自分たちに何が出来るのか考える契機にしたい」と企画。全校生徒約1200人が聴講した。
近松記者は地震発生の3月11日に東北に向かったが、交通網が寸断されていたため、ようやく3日後に岩手県入りできた。その後は主に同県大船渡市や陸前高田市で取材し、被災地の状況を伝えた。
講演で近松記者は、就職先の企業が被災し内定を取り消された高校生の話を紹介し「人の死に目が向かいがちだが、震災が奪ったものは人それぞれ違う。被災者がどんな被害を受けたかを考え、行動することだ」と話した。また福岡市医師会から宮城県に派遣され、遺体の検視にあたった大木さんは「遺体からは、もう少し生きたかった、という無念をありありと感じた。何かしたいという気持ちは大切だが、まずは普通の生活を送れることに感謝して」とアドバイスした。【川島紘一】
〔福岡都市圏版〕
毎日新聞 2011年5月15日 地方版