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原発事故の影響下での農作物の作付に関するQ&A~稲の作付制限等~

平成23年4月29日現在

※ このQ&Aは、現場からの質問や今後の検討に合わせて、随時更新します。

【稲の作付制限】 

 Q.稲の作付制限地域はどこですか。

A.稲の作付制限は、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う「避難区域」、「計画的避難区域」、「緊急時避難準備区域」を対象地域とします。これらの地域では、平成23年産の稲の作付けを控えるようお願いします。

 

 Q.稲の作付制限地域内で、稲以外の農作物の作付をしてもよいですか。

A1.稲以外の作物については、作付制限は行いません。

2 ただし、計画的避難区域では、概ね1ヶ月を目途に計画的避難を実行するとされており、実態として、作物の作付は困難になると考えられます。

3 また、緊急時避難準備区域でも、自主的避難や区域に立ち入る際に常に緊急時に屋内避難等ができるようにすることが求められていることから、稲以外の作物を作付ける場合にも、一定の制約を受けることがあるのではないかと考えられます。

 

【作付制限地域以外の地域】  

 Q.稲の作付制限地域以外の地域では農作物の作付はできますか。

A.稲の作付制限地域以外の地域では、稲を含む全ての農作物の作付を行って差し支えありません。作付段階では制限しませんが、放射性物質の放出はまだ収まっていないこと等から、収穫後に分析を行い、食品衛生法上の暫定規制値を超える場合には出荷制限を行うこととなります。

 

 Q.作付制限されなかった地域で生産されるコメは安全ですか。

A1.作付制限されなかった地域では、水田土壌の放射性セシウム濃度と米への移行の指標からみて、食品衛生法上の暫定規制値を超える可能性は低いと考えられます。

2 一方で、放射性物質の放出はまだ収まっていないことなどから、今後、水田土壌中の放射性セシウム濃度が高くなる可能性もあります。このため、作付制限されなかった地域でも、収穫後に米の分析を行います。

 

【放射性物質対策】  

 Q.原発の周辺地域で農作業を安全に行うためにはどのような点に留意したらよいですか。

A1.避難区域、計画的避難区域、緊急時避難準備区域以外では農作業に制約はありませんが、原子力安全委員会の緊急技術助言組織の助言によると、福島第一原子力発電所の周辺地域では、耕うん等の農作業を行う際に、放射性物質が含まれる可能性のある粉じんの吸入や土壌・水との接触をできるだけ避けるよう注意することが望ましいと考えられます。

2 このため、原発の周辺地域では、以下のような点に注意して作業するようにしてください。

[1] マスク、ゴム手袋、ゴム長靴等を着用すること、
[2] 農作業後に手足・顔等の露出部分の洗浄を励行すること。
[3] 屋外作業の後、屋内作業を行う場合には、服を着替えるなど、ちり、ほこり等を持ち込まないようにすること。

 

 Q.周辺環境への影響も考えると、代かき等を行う際にどのような点を留意すべきでしょうか。

A1.福島第一原子力発電所の周辺地域では、土壌に放射性物質が含まれる可能性があるため、代かき等を行う場合、以下のような点に配慮することが望まれます。

[1] 代かきは浅水で行い、極力、強制落水は行わないようにします(できるだけ地下浸透で水を抜くようにします)。
[2] やむを得ず強制落水する場合でも、少なくとも数日間放置し、濁りが十分なくなってから行います。
[3] 田植え後も、用水の掛け流しは極力行わないようにします。

2 農業側としても、周辺環境や水道水源等の保全にも配慮する観点から、作物の生育に支障を来さない範囲で、できるかぎり協力いただくようお願いします。

 

 Q.稲等の作付が可能な地域で、収穫物への放射性物質の移行を抑えるために、現時点で農家が実施可能な技術としてはどのようなものがありますか。

A.取組可能な技術の1つとして、カリ肥料を慣行より多く投入することが考えられます。例えば、水稲では、過剰害の出ない、基肥・追肥合計で20 kg/10 a程度を目安にして施用することが考えられます。

【解説】カリ肥料の施用について

1 効果

カリウムは、放射性セシウムの作物による吸収を抑制する効果が報告されています。どの程度移行を減らせるかは、土壌条件等により異なり、今後さらに調査が必要ですが、過剰害の出ない範囲で慣行より多く投入することが対策として考えられます。

2 肥料の種類

カリ肥料の施用に当たっては、アンモニア態窒素が放射性セシウムの吸収を促進させるとの報告もあることから、窒素肥料の施用量が増えないよう、塩化カリ、硫酸カリ等の単肥を施用するか、カリウム含量の多い化成肥料を使用して下さい。
なお、水稲の場合は、秋落ちを避けるために硫酸カリより塩化カリの方が望ましいと考えます。

3 施用上の注意

作土層に均等に混ぜる方がより大きな効果が期待できるので、基肥での施用が基本となりますが、追肥による施用でも一定の効果が期待されます。
カリ肥料は、基本的に過剰害が出にくいものですが、多量に施用するとマグネシウム(苦土)やカルシウムの欠乏が出る場合があるので、葉の黄化等の症状などには気をつけてください。

 

【賠償】  

 Q.作付制限により被った損害は賠償の対象となりますか。

A.4月8日に政府の原子力災害対策本部で決定した「稲の作付けに関する考え方」において、稲の作付制限を行う場合は、適切な補償が行われるよう万全を期すこととされています。

 

 Q.賠償を受けるためにはどのような準備が必要でしょうか。

A1.今回の賠償の範囲については、原子力損害の賠償に関する法律に基づき、今後、原子力損害賠償紛争審査会が定める原子力損害の範囲の判定の指針に基づいて判断されることとなります。

2 このような指針が明らかになるまで一定期間を要するため、現段階で農家が前もって準備するものとして、

[1]今年度の売上見込み額
[2]今年度に既に生じた経費、今後必要な経費、負担金等
[3]運転資金等を借りざる得ない場合の金利相当額

などが明らかになるような証拠書類を保管しておくことが必要です。

3 具体的には、

[1]各種資材等の購入に係る領収書や購入伝票
[2]農畜産物に係る過去の生産量の記録、出荷伝票、回収・処分した場合の領収書
[3]補助金・交付金等の申請・交付書類
[4]納税関係書類
[5]営農計画書

などを保管しておく必要があります。

 

 Q.計画的避難区域及び緊急時避難準備区域で米以外の作物の作付ができない場合賠償の対象となりますか。

A.区域の性格上、計画的避難区域では、作物の作付が困難になるほか、緊急時避難準備区域でも、作物の作付には一定の制約がかかることが想定されます。原子力損害賠償紛争審査会で提示された1次指針では、政府の避難等の指示があったことにより、農業等の事業の継続に支障が生じた場合は、こうした営業損害は損害と認められるとされており、区域の設定により作付ができない場合については、適切な賠償が行われるものと考えています。

 

【収穫時の検査】  

 Q.米の収穫時の検査はどのように行うのですか。

A1.稲の作付を制限しない地域については、水田土壌中の放射性物質や大気中の放射線の量などからみて必要な地域については、収穫後に米(玄米)の分析を実施します。

2 どこで、どのようにサンプルを検査するかは、今後、関係県等と相談しながら、検討していくこととなります。 

【作付制限対象区域の今後の取扱い】  

 Q.24年産以降の稲の作付の可否はどのように判断するのですか。

A.放射性物質の放出はまだ収まっていないことから、来年産の取扱いについては、今年作付制限の対象となった地域に限らず、今後の推移を見守りながら、土壌中の放射性物質濃度などを調査して判断します。

 

【その他】  

 Q.コメ以外の作物についても移行の指標を示すべきではないでしょうか。

A1.稲以外の作物については、放射性セシウムが作物にどの程度移行するかの知見は十分ではないことから、コメと同様の移行の指標を示すことは現時点では困難です。

2 しかしながら、今後の作物作付の判断のほか、検査が特に必要な地域の目処を立てるためには、稲以外の作物についても、移行の指標を示すことは重要な課題と考えています。

3 このため、今後、国及び県等の試験研究機関において、作物毎に放射性セシウムの移行の指標を示すための試験を実施し、必要なデータを積み上げていくことが必要ですので、県等ともよく相談・協力して取り組んでいく考えです。

 

 

お問い合わせ先

生産局農業生産支援課
担当者:別所、安岡
代表:03-3502-8111(内線4824)
ダイヤルイン:03-3502-5959

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