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原発 緊急情報(19) 食品の汚染と放射線物質の半減期




ほうれん草についた放射能をもつヨウ素は半減期が短いので、実際には害にならないとの考えもあります。

ここで「半減期」というのは、放射線を持つものは壊れていきますので、それが、半分壊れる時間のことです。

例えば、放射性のヨウ素ですと、半減期が8日ですから8日で2分の1、16日で4分の1と急激に減っていきます。

だからほうれん草を16日ぐらい置いておけば安全になるのは確かです

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ただ、わたくしが半減期のことをあまり言ってないのは、読者の人の危険を煽ろうというのではありません。

実は、放射線物質の規制値にはすでに、半減期のことも考慮されているからです。

放射線物質を含むものを扱ったり、食べたりする人はいろいろな場合があります。極端なことを言えば、ほうれん草を買ってから1万年も貯蔵しておけば、あらゆる放射性物質は「安全」という事になります。

そのようなことを言っても意味が無いので、標準的な被曝を考え、半減期も考慮に入れて放射性物質の規制が決まっています。発表されたほうれん草の放射線の値は、現在、決まっている規制値を超えています

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それでも半減期が短いから安全だというためには、規制の値がどのように決まっているかを詳細に知らなければなりません。それも膨大な数の核種毎(放射線をもつ物質毎)に知る必要があります。

わたくしのスタンスは、原子力の一つ一つのことを完全に理解しなければ自分を防御できないというのでは安全は保てません

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また、事故が起こってから、専門家が集まって何回も検討した国の規制値を変えるよりも、現在のような緊急の時には、これまでの国の規制値をそのまま使った方が良いと考えているからです。

なお、原子炉から出る有害な放射性物質の半減期は、ヨウ素が8日、バリウムとストロンチュームがともに30日、そしてプルトニウム241が14年です。

でも同じ半減期を持つバリウムに比べてストロンチュームは骨に蓄積しやすいので、その分を考えなければなりません。

このように、規制値は色々考えて決められているので、今、変更しない方が良いと思います。むしろ細かいことを考えずに規制値をただ半減期だけを考えて楽観的に判断するのは危険と思います

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その意味で「規制値を超えているけれど、食べても安全だ」というのは不適切でしょう

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(平成23320日20時 執筆)


武田邦彦



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