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3.11大震災
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石巻市渡波小(宮城)/掃除、片付け 児童も一緒

がれきの片付けを手伝う子どもたち=29日午後1時ごろ、石巻市の渡波小

<住所>石巻市渡波町1丁目5の22
<避難者数>約800人(29日午前10時現在)
<避難地区>石巻市の渡波、松原町、長浜町など

 大人に交じって子どもたちが、校庭のがれきの片付けや水くみを手伝っていた。
 屋外のプールからトイレ用の水を運んでいた渡波小6年の丹野夕佳さん(12)は「わたしたちも何か手伝わないといけない。みんなで協力してやっているから、楽しい」と笑う。
 校舎内でも子どもたちが、津波で泥だらけになった積み木を見つけて運び出したり、掃除をしたりしていた。
 全国各地から駆け付けたボランティアが、がれきの撤去作業に汗を流す。茨城県土浦市の渡辺昇平さん(25)は「家や家族を失うという傷を負っても、また立ち上がろうとする姿はすごい」と避難住民を敬う。
 家族で身を寄せている山田葉子さん(43)は、避難所のリーダー的存在だ。「特別なことはしていない。ただ、みんなが自分にできることをしているだけです」と静かに話した。

  ◇  ◇

●松川淳一さん(35)=石巻市渡波町1丁目
 食べ物の配給は毎日3回あるが、ご飯やパンなど主食が不足している。体力がつく食事ではなく、風邪をひく人が多い。
●阿部美栄子さん(63)=石巻市松原町
 こんな形で母校に戻るとは思わなかった。夜に目を閉じるのが恐ろしい。一緒に避難する人との明るい会話が救いだ。
●菊地由理さん(43)=石巻市長浜町
 1週間に1回でいいからお風呂に入りたい。足の具合が悪く、寝起きしている校舎の3階までの上り下りがつらい。
●佐藤菜々さん(16)=石巻市長浜町
 震災から2日後に妹と再会できた。携帯電話で韓国のミュージシャンの音楽を聴いて、気分転換をしている。
●高橋由樹君(13)=石巻市幸町
 弟や友達と遊んで、なるべく楽しく過ごそうとしている。おにぎり1個で満足するほど、胃が縮んじゃった。
●菅原克彦さん(57)=石巻市後生橋
 仕事に行きたいのはやまやまだが、物資搬入やトイレの水くみなど避難所の手伝いを放棄することになるので気が引ける。
●土井智加さん(30)=石巻市渡波町1丁目
 4歳の長女の体格に合った服がなかなか見つからない。体育館は、毎日2回の換気をしても空気がよどむ気がする。
●吉田清志さん(47)=石巻市松原町
 プラスチックの食器を洗う代わりに、ティッシュで拭いて再利用している。周囲の迷惑になるので衛生面には気を使う。
●内海吉浩さん(45)=石巻市長浜町
 菅直人首相の心配りが一番足りない。福島の原子力発電所問題に比べ、避難住民は忘れられている気がする。
●阿部みどりさん(85)=石巻市渡波大宮町
 板張りの体育館は冷えるので、毛布をたくさん掛けている。津波に巻き込まれて左膝を痛め、トイレに立つのがつらい。
●須田明希さん(12)=石巻市三和町
 水が出ないなど避難所生活は大変。でも、友達が一緒だから楽しい。みんなで頑張れば、絶対にまた立ち上がれる。
●土井雄一郎さん(36)=石巻市長浜町
 津波で壊れた車の処分方法、仮設住宅の入居見通しの情報が欲しい。いつまで避難所にいられるのか知りたい。
●馬場恵子さん(75)=石巻市三和町
 一緒に避難した飼い犬が18日、死んでしまった。ストレスが原因だと思う。眠れない夜に思い出して、つらい。
●菊地翔斗君(11)=石巻市長浜町
 昼は校庭で友達と遊んでいる。食べ物や毛布はたくさんあるので一安心。今は、温かいお風呂に入りたい。
●斎藤美代子さん(74)=石巻市渡波黄金浜
 避難所でもらえる服は、自分に合うサイズがなかなかない。自分で用意しようにも、車がないから買いに行けない。


2011年03月30日水曜日