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東海道新幹線など巨大インフラに電力を供給する浜岡原子力発電所(御前崎市)〔PHOTO〕夏目健司
東南海地震('44年)の被害状況(三重県大紀町錦周辺。同町にある『津波避難タワー』の資料写真から)

 この瞬間にもプレートは不気味に沈んでいる! 震動域が連動すれば、駿河湾から高知まで1000km沿岸が壊滅。発生までに残された時間はどれぐらいあるのか!

30年以内に87%の確率で

「いつか来る」と頭では分かっていながら、東北や北関東の惨状を目の当たりにするまで、「まだ大丈夫」と油断していた方も多いだろう。

 〝想定外〟という言葉が繰り返される東日本大震災とは異なり、東海地震は「明日来てもおかしくない」と警鐘が鳴らされ続けていたのに。

「内閣府の『中央防災会議』(会長・菅直人首相)が弾き出した87%という数字があります。これは '06年1月1日時点で、『今後30年以内に東海地震(M8.0)が発生する確率』を示したものです。中央防災会議の被害想定によると、静岡県、山梨県南部、愛知県東部にかけて激震し、7900人~9200人が死亡します(朝5時発生の場合)。

 激甚な被害を出した東日本大震災より小さく見積もられていますが、地震の被害はマグニチュードや津波の高さで決まるものではありません。その土地に住む人の防災意識が大きく影響してくるのです。東海地域に住む人は、大震災の危険を指摘されているため、防災意識は高い。しかし、それは今回たくさんの死者が出てしまった宮城県でも同じでした」(東京大学地震研究所・大木聖子氏)

 だからこそ、私たちは東海地震と、その背後にある〝核の脅威〟に備えて一層気を引き締める必要がある---。まずは東海地震のメカニズムを理解しておこう。ご存知の通り、日本列島は互いに影響しあう4つのプレートの上に乗っている。

「日本の南海にあるフィリピン海プレートは年間3~6cmのスピードでユーラシアプレート(陸のプレート)に潜り込み、地面を引きずり込んでいます。そして、引きずり込まれたユーラシアプレートはある程度まで沈むと、摩擦に耐えきれなくなってバネのように反発する。これが東海地震のメカニズムです。

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