ライフ【産経抄】5月15日2011.5.15 03:02

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【産経抄】
5月15日

2011.5.15 03:02

 永六輔さんの『藝 その世界』によれば、歌手の故淡谷のり子さんがかつてこんなことを言っていたそうだ。「舞台に上がる時はドレスもさることながら、最高にゴージャスなパンティをつけて、天下の美女って気持ちで歌うのよ」。

 ▼戦争中の公演ではモンペをはくのを拒否し、何度も始末書を書かされたというのは有名な話だ。強制されることへの反発心もあったのだろう。だがそれよりも自らの「歌」という仕事への誇りが、服装へのこだわりとなっていたような気がする。

 ▼今年は職場でのクールビズが例年より早く始まっている。原発事故で夏場の電力不足が予想されるためだ。冷房の設定温度をさらに上げ、涼しい服装で仕事しようというのである。中でも環境省は他省庁や民間に先がけ、これまでより大胆な省内の「基準」を発表したそうである。

 ▼昨年まで認められていなかったポロシャツやアロハシャツでの勤務はOKとなる。スニーカーも大丈夫だが、短パンやランニング、穴のあいたジーンズはダメ、無地のTシャツやサンダルは執務室に限り認めるという。よくまあこれだけ細かく決めたものだ。

 ▼高温多湿の日本だから遅きに失したとの声もあるだろう。だが淡谷さんではないが、服装は機能ばかりではない。暑くてもピシッと着ていないと仕事にならないという人もいるはずだ。役所やオフィスがアロハやスニーカーだらけになることに対し抵抗も強いかもしれない。

 ▼それに環境省は中学校や高校ではない。いくら節電のためとはいえ、短パンや穴あきジーンズで出勤する人がいるのだろうか。そこまで「基準」を示さなければならないのだとすれば、日本人の「常識」もかなり危うい。

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