小沢地元岩手で期待されず、県連会長「もともと貢献するような人では」

2011.05.14


被災地の地元からも厳しい批判にさらされている小沢一郎氏【拡大】

 民主党の小沢一郎元代表(68)に対し、東日本大震災で被災した地元・岩手県でも期待感が失われつつあるという。大物政治家なのに政府を動かすような働きかけもなく、自ら悲惨な被災地入りすることもない。現地に張り付いて復興の手伝いをし、被災者の気持ちをよく知る自民党岩手県連会長の鈴木俊一元環境相(58)は「もともと、地元に貢献するような人ではないから…」と語り始めた。

 津波で甚大な被害を受けた岩手県の太平洋側。三陸沖を中心とする豊かな水産資源の恩恵を受けていた主要産業の漁業は壊滅状態となった。

 鈴木氏は「漁港は何もない更地になった。漁師らは、この先仕事を続けたくても、安全な出港機能を持つ漁港がないし、船や漁具をどうやって確保するか頭を悩ませている」と現況を語った。

 そんな今月6日、小沢氏が千葉県沖の太平洋で趣味でもある海釣りをしている様子が報じられた。福島第1原発事故による風評被害を抑えようというアピールだったが、鈴木氏は「ふるさとの漁師らが苦しんでいるときに、のんびり釣りに行っていた。(自分も被災者も)ピンとこない」と疑問を投げかけた。

 かつて三陸の漁港が整備された背景には、岩手県山田町の網元の家に生まれた父・鈴木善幸元首相の尽力があった。鈴木氏はいう。

 「父が病気で帰京していた1933年に昭和三陸地震があり、大きな津波があった。経済恐慌、冷害による凶作、これに津波が重なり地元経済は壊滅的になった。『政治の力でふるさとを立て直そう』というのが、父が政治家になったきっかけだと聞かされた。政治家になってからは、水産の振興、とりわけ漁港の整備をやってきた」

 県民が小沢氏にも「地元の復興」を掲げて活躍してほしいと願っていることは想像に難くない。

 だが、小沢氏が岩手県入りしたのは3月28日のわずか1回。それも盛岡市の県庁で達増拓也県知事と会談しただけで、中選挙区時代の地盤で、津波で大きな被害を受けた陸前高田市などには立ち寄らず、帰京した。

 民主党幹部は「昔の小沢一郎なら何度も地元入りしていた」と首をかしげ、地元の党関係者からは「被災者が本当に困っていたとき、小沢氏がガソリン1滴でも手配してくれたという話は聞かない。もう、恥ずかしくて地元に入れないのでは」と恨み節が出る。

 弱り目にたたり目。政治資金規正法違反事件の公判では、小沢氏側が裏金1億円を受け取ったとの爆弾証言が飛び出し、政界の小沢アレルギーはさらに増している。

 鈴木氏は「小沢氏はもともと、天下国家を論ずる政治家で、地元・岩手の開発に貢献してきた人ではない。県民もそう思っているから、文句も聞かない。一方で『菅首相よりはマシ』と思っている人はいるかもしれないが、『小沢氏でないとダメだ』と思っているもいない」と話す。

 天下国家の基本は、国民1人ひとりの生活を守ることではないのか。

 

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