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[事件]ニュース トピック:エネルギー
【放射能漏れ】作業員死亡で浮かび上がる過酷で劣悪な作業環境、高まる疲労
事故収束に向けて作業が続く福島第1原発では、作業員の過酷な環境が問題となっている。放射性物質(放射能)を防ぐ防護服などの重装備に加え、高温多湿な現場の状況、貧弱な生活環境が疲労度を高める。東電は改善を進めてきたが、事故後初めて作業員が死亡したことに、改めて作業員の健康管理の把握や、作業環境の見直しが求められそうだ。
防護服「サウナ状態」
同原発で作業にあたっているのは、東電社員335人と協力会社の1604人で計1939人。1日の作業時間は現場の放射線量などによって変わるが、原則4、5日勤務して2日休みを取るローテーションだ。
作業内容は、機器や配管などの運搬や設置、瓦礫(がれき)の撤去などさまざま。作業員は作業服の上にポリエチレン製の防護服を着用し、放射性物質を吸い込まないためのフィルター付き全面マスクを付ける。放射線量が特に高い原子炉建屋内では空気ボンベ(約13キロ)も背負わなくてはならない。
防護服は密閉性が高く、「まさにサウナ状態」(東電)といい、高温多湿の作業現場では熱中症も心配される。2号機の原子炉建屋内をロボットで調査したところ、気温は34~41度、湿度は94~99%で、カメラが曇って調査を断念せざるを得ないほどだった。
医務室に医師不在
作業員の主な生活拠点は同原発敷地内にある免震重要棟と呼ばれる施設や、福島第2原発の体育館、サッカートレーニングセンター「Jヴィレッジ」など。
免震重要棟には約200人が寝泊まりしている。就寝は寝袋や毛布をかぶった雑魚寝で、物資補給が不十分なため食事はレトルト食品など保存食が中心だ。
「生活環境の改善は1日も早い事態解決に有効」。こう話す東電は、体育館などでのシャワー使用や弁当提供、ベッドの設置といった改善を進めている。
だが、今回、死亡した作業員が運び込まれた免震重要棟の医務室には、常勤医師がいないことも判明。医療面のサポートが求められるのは必至だ。
福岡大の朔(さく)啓二郎教授(循環器内科学)は「作業環境はあまりに過酷。多くの人員でローテーションを回して一人一人の負担を軽減するべきだ。生活面も改善しなければ、作業員に疲労が蓄積し、思わぬ人為ミスを生みかねない」とする。(原子力取材班)
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