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偽りの求人 4日間線量計なし…原発作業男性「被曝しているか不安」

 大阪市西成区・あいりん地区の男性労働者2人が求人内容と異なり、福島県の福島第一原子力発電所敷地内などで就労した問題で、5、6号機近くで給水作業にあたった男性(62)が読売新聞の取材に応じた。男性は最初の4日間は線量計もないまま防護服を着て作業、当初示された日当も他の作業員よりかなり少なかったといい、「だまされた気分だ」と憤った。

 男性によると、「宮城県女川町で10トンダンプの運転手」とする岐阜県大垣市の建設会社「北陸工機」の求人に応募。愛知県愛西市の元請け建設会社「日起建設」の案内で3月20日朝、原発事故に対応する作業員の活動拠点「Jヴィレッジ」(福島県広野町、楢葉町)に到着した。すぐ原発敷地内に連れて行かれ、防護服で作業準備などを始めた。

 「女川じゃない。話が違う」と日起の社員に訴えたところ、「帰ってくれていいぞ」と言われたが、車もなく、帰りようがないため、働くことにしたという。

 日当は、下請けの北陸工機側から支給額1万円を2000円増額すると持ちかけられた。日当の交渉を続けながら、北海道や秋田県から来た作業員3人と停止中の5、6号機付近で、タンクローリーの水を貯水タンク内に注入する作業を続けた。2人1組となり、6時間交代で発電機を回すなどしたという。作業中は食事をとれず、トイレに行くことも出来なかった。危険性の説明もなかった。同24日に線量計を渡されたが、「どれだけ被曝(ひばく)しているのか不安で仕方なかった」と話す。

 4月4日まで敷地内で、その後21日までは敷地外で働き、結局、募集時の倍の約60万円支払われたが、男性は「福島県での仕事と聞けば、もう少し考えた。不安な中で作業させられ、だまされた気分」と語った。

「行き違いだった」元請け代理人

 元請けの日起建設の代理人弁護士は読売新聞の取材に対し、「北陸工機には、原発近くで働く作業員を確保してほしいと依頼した」と説明。日起本社から出発する際、作業員には「Jヴィレッジに向かう」と伝えたといい、「福島原発と明言しなかったかもしれないが、作業内容は了解済みだと思っていた。だましたわけではなく、行き違いだった」としている。

2011年5月10日  読売新聞)
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