「大相撲技量審査場所6日目」(13日、両国国技館)
野球賭博に関与し2場所出場停止処分を受けて十両から陥落した西幕下4枚目の松谷(27)=松ケ根=が、無傷4連勝で勝ち越しを決めた。八百長問題の処分による欠員補充で、名古屋場所(7月10日初日、愛知県体育館)では幕下力士が大量昇進するため、十両返り咲きを確実なものとした。幕内では大関琴欧洲が豪風に突き落とされ、2日目から元気なく5連敗。全勝は横綱白鵬と新入幕の魁聖の2人だけ。
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“八百長特需”の第1号は、“野球賭博力士”だった。松谷が十両玉飛鳥を豪快な下手投げで破り、幕下上位での勝ち越し一番乗りを果たした。八百長関与処分で関取17人が角界を去り、幕下から少なくとも13人が来場所で昇進する。異例の大チャンスをものにし、十両返り咲きを決めた。
「応援してくれたみんなに、十両に戻って初めて恩返しができる」。目を潤ませ、喜びをかみしめた。松谷は野球賭博に関与しながら自己申告せず、昨年の秋場所から2場所出場停止処分を受けた。引退を考えたことも「結構ありました」。新たな就職先を探すなどしたが、「ここでやめたらお世話になった方の顔に泥を塗ることになる」と踏みとどまった。
今年の初場所で復帰し、番付は昨年名古屋場所の東十両8枚目から西幕下51枚目まで落ちた。「みんなから『(出場停止処分の)2場所の借りは2場所で返せ』と言われて、絶対に2場所で(十両に)帰ってやると思った」。復帰場所を7戦全勝で幕下優勝し、この日まで無傷11連勝の快進撃。「前より精神的に強くなった」と胸を張った。
「これで終わったわけじゃない。(昇進は)結果が出ないと分からない。残り3番の相撲が大事」と浮かれ気分を封印。大量昇進の恩恵に甘んじるつもりはない。2場所連続優勝を果たし、胸を張って十両の土俵に戻る。
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