12日に都内の自宅で首をつって自殺したタレント・上原美優(本名・藤崎睦美)さん(享年24歳)の遺体が13日、東京・羽田空港から鹿児島市内に移され、ふるさとの種子島からフェリーで駆けつけた父・久男さん(79)が悲しみの対面を果たした。上原さんの亡きがらは一晩、同市内の姉の自宅に安置され、大家族で苦楽を共にした種子島に戻る。通夜は14日、葬儀は15日に島内の葬祭場で営まれる。
事務所関係者によると、上原さんの遺体は13日午後4時頃、飛行機と車を乗り継いで、鹿児島市内で待つ久男さんら遺族のもとに運ばれた。久男さんが高齢のため通夜、葬儀は種子島内で行われることになっていたが、60代の知人女性によると「早く顔が見たかったんだろう。午前中に家を出て会いにいった」という。
この日、島内の中種子(なかたね)町にある自宅前には遺族のものとみられる車が止まっていたが、周辺はひっそりと静まりかえっていた。近所の男性(68)は「美優ちゃんは芸能界で売れても偉そうにすることも一切なかったし、気の利く子だった。テレビの収録で帰ってきたときも、共演の人たちに常に気を配っていた」と振り返った。
“大家族貧乏アイドル”として売れっ子になった上原さん。狭い実家をネタにすることもあったが「いつか両親に大きい家を建ててあげたい」と語っていた。その後、兄弟で協議し「思い出の詰まったこの家を壊したくない」との思いから、最近では島内の別の場所に別荘を建てる夢を持っていたという。
昨年3月、よき相談相手だった母親・イチ子さんが心筋梗塞のため65歳で他界。大きな支えを失い、もともと精神面が弱かった上原さんは深く思い悩んでいたという。久男さんと長年の付き合いがあるという別の男性(67)は「お母さんが亡くなった後もうつではなかったと聞いていたけど…親孝行も十分にやったし、人生これからというときに…」と早過ぎる死を悼んだ。
遺体は14日、上原さんが大好きだった海を渡って島に帰り、15日、久男さんら大家族に見守られ、荼毘(だび)に付される。
◆種子島 鹿児島県に属し、大隈諸島を構成する島の一つ。面積444.99平方キロで、日本で10番目の大きさの島。人口は3万3000人。自治体としては西之表市、中種子町、南種子町がある。農業、水産業が盛んだが、近年は種子島宇宙センターなど宇宙関連施設が有名になっている。
[2011/5/14-06:01 スポーツ報知]