医療法人こころ満足会 形成外科KC

2010年09月30日

◆しこり(62)

の有無をご自分でチェックするときに、大切な部位のひとつが前頚部です。

 頚部には、多くの組織がありますので、首のしこりと言ってもいろんな原因が考えられます。その中でも首の中央を縦に走る気管をまたぐように存在する甲状腺のしこりは、自分でも見つけることができます。

 
甲状腺の位置

 実は甲状腺疾患の頻度は以外と高く、40歳以上の健康成人の17%に何らかの異常が見つかったとの報告もあります。 

 
60歳代、女性の大きなしこりです。

診断は腺腫様甲状腺腫でしたが大きいために手術となりました。

 甲状腺のしこりは、すべてが何らかの治療が必要なわけではありません。もちろん悪性腫瘍で手術が必要な場合もありますが、画像検査や細胞診などで正確に診断して治療方針を決める必要があります。

 さらに詳しく甲状腺の病気について知りたい方は、こちら1)2)3)をご覧下さい。
   

Posted by Dr.Ken at 13:00Comments(0)しこり

2010年09月29日

◆爪(9)

のケアに関して、日本経済新聞(平成22年9月24日付)の中で
「痛い 足の巻きづめ防止
切り方、角を残し四角に 靴選び、つま先にゆとり」

と題した記事が載っていました。
 
 当院の指導方法と同じで分かり易い内容でしたので紹介します。

巻きづめや陥入爪を予防するポイント(東京医科歯科大学付属病院、高山かおる講師談)
「正しいつめの切り方を覚える」
 つめを切る時には、つい指の形に沿って丸く切ってしまいがちだが、つめの角を残して四角く切る「スクエアカット」がよい。
 
 つめの角はやすりなどを使って少し落とす程度にとどめる。
 
 深く切りすぎないように注意し、指の端から1ミリほど伸ばした状態にする。

「足に合った靴を履く」
 
 靴はつま先にゆとりがあり、かかとや足の甲がしっかり安定するものを選ぶ。
 
 つま先が細い靴や重たい靴はつめに負担がかかるため、なるべく避ける。
 
 ヒールの高さは3センチ以下にとどめるのがよい。
 
 日常生活でよく歩くことも大事だ。地面をしっかり踏みしめるように歩くと、つめに下から力がかかり、平らになっていく。
 
 また、つめ水虫にかかるとつめが厚く変形し、巻きづめを起こしやすくなる。普段から足や靴を清潔に保つようにしたい。

「つめが少しでも痛いと感じたら、つめに異変はないか、靴が足に合っているかを意識してほしい」

  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)

2010年09月28日

◆カリフォルニアの青い空

のように、終日ほとんど雲のない一日でした。
と言ってもクリニックが休診の昨日の話ですが・・・。


 
直射日光は相変わらずでしたが、湿度はほどほどで風が爽やかでした。
 写真でも鳳凰木並木を渡る涼風が感じられるのでないでしょうか。
  

Posted by Dr.Ken at 07:42Comments(0)Kenのつぶやき

2010年09月27日

◆しこり(61)

の存在が重篤な意味をもつ部位があります。

 左鎖骨の上部(鎖骨上窩と呼びます)のしこりです。


 左鎖骨上窩にできた硬いしこりは、ウィルヒョウ結節Virchow's node)またはウィルヒョウリンパ節と呼ばれます。胃がんなどの内臓がんが最初に転移する場所が同部のリンパ節です。内蔵のリンパ管は胸管という胸部の太いリンパ管を通って左鎖骨上窩にたどり着き、鎖骨下静脈に合流します。そのためリンパ管の流れに乗った内臓がん細胞が最初にたどり着く関所が鎖骨上窩にあるわけです。

 鎖骨上窩のリンパ節が腫れた状態は内臓がんも進行していることを意味しますが、時に症状が出る前に同部のしこりに気づくこともあります。

 ウィルヒョウ結節は、内臓がんの存在を疑わせますが、それ以外に乳がん、悪性リンパ腫の可能性もあります。もちろん、がん以外に何らかの炎症(化膿)でもリンパ節は腫れますが、いずれにしてもキチッと調べる必要があります。

 なお、右鎖骨上窩のしこりは食道がんや肺がんとの関連が疑われます。

 怖い話になって恐縮です。ご容赦ください。  

Posted by Dr.Ken at 13:26Comments(0)しこり

2010年09月26日

◆しこり(60)

シリーズ、まだまだ続きます。

 幸か不幸か、「やめろ」のコメントはありませんので・・・。

 さて、ある種のしこりは、明らかに遺伝性のものがあります。

 
成人男性の背中に生じた多数のしこりです。ほぼ、全身に大小のしこりを認めました。



 診断は、神経線維腫症1型です。また、レックリングハウゼン病と呼ばれることがあります。詳しくはこちらをご覧下さい。

 神経線維腫症1型の症状・特徴は、次の通りです。
. 6個以上のカフェオレ斑(褐色のアザ)
. 2個以上の皮膚のしこり(神経線維腫またはびまん性神経線維腫)
. わきの下や股の部分の小色素斑
. 目の小さなしこり
. 特徴的な骨の病変
. 家系内に同じ病気の人がいる

 神経線維腫症1型の患者さんは人口約3,000人に対して1人の割合です。患者さんの約50%は、両親のどちらかが神経線維腫症1型であって遺伝性に発病した方です。残りの50%は、両親ともにこの病気がなく、突然変異での発症です。突然変異とは両親の遺伝子に変異(異常な変化)がなくても子供の遺伝子に変異が生じて神経線維腫症1型になってしまうものです。  

Posted by Dr.Ken at 16:00Comments(2)しこり

2010年09月25日

◆秋風

を感じながら、今朝も1646歩の通勤を楽しみました。ニコニコ

 しかし、日射しは相変わらず強いので「男の日傘」を差しての歩みです。傘自体の構造に風を増幅する作用があるのかわかりませんが、大きめの傘の下を流れる風は明らかに強く、涼しく感じます。

 
ちなみにお気に入りの傘はこれです。



孤独の「男の日傘」にも慣れてきました。


 もうすぐ10月、さらに爽やかな朝の通勤を楽しみたいです。GOOD  

Posted by Dr.Ken at 14:36Comments(0)通勤風景

2010年09月24日

◆手術中

の一コマを紹介します。

腹壁形成術を行っているところです。


専任の看護師がバイタルサインをチェックしているところです。


 当院では、ホクロや粉瘤などの小手術を除き、1時間以上の所用時間が予想されるほとんどの手術を午前中に行います。全例日帰り手術ですので、麻酔も安全、確実かつ覚醒が速い方法が必要です。

 一般に全身麻酔というと気管に管を挿入してガス麻酔薬を用いて行いますが日帰り手術には適しません。そこで当院では3種類の静脈麻酔薬(厳密には鎮静目的2種類、鎮痛目的1種類)と局所麻酔薬を用いて行っています。過去1年10ヶ月の間に200名近くの方を、前述の方法で手術してきましたが副作用もなく、とても良い麻酔法と思っています。

 この方法については、来月の美容外科学会で報告します。ご興味のある方はこちらの抄録をご覧下さい。

 以前に麻酔中の夢について書きましたが、夢の記憶をお持ちの方は、残念ながら極めて少数です。幸い、手術中(麻酔中)の不快感を記憶している方も皆無です。  

Posted by Dr.Ken at 22:38Comments(0)院内のできごと

2010年09月23日

◆Ms. Smith

さんから、心のこもったカードを頂きました。1ヶ月前にタミータックを受けた方です。

 残念ながら、私は手術中のため直接お会いすることはできませんでしたが、彼女が残したメッセージ読んで、これこそが形成外科KCの目指すことだと思いました。

 スタッフへのメッセージとプレゼントの入っていた袋です。


 私へのメッセージです。

 「外見だけでなく内面(こころ)=insideも変えてくれて、ありがとう」と記されています。

見た目」が変われば「運命」が変わる。なぜなら

 との思いで、日々診療に臨んでいます。
  

Posted by Dr.Ken at 15:30Comments(0)院内のできごと

2010年09月22日

◆FM21

というとラジオ局での収録に行ってきました。





 
30分の音楽番組ですが、パーソナリティーの中村弥生さんに導かれての15分ほどのインタビューでした。


 初めての経験でしたが、とくに緊張することもなく、マネジャーのMadam Calmyも同伴して楽しく終えることができました。

 浦添市の高台にあるスタジオで夜景もきれいでしたが、昼間は太平洋と東シナ海が望めるとのことでした。

 以下の日時でオンエアーされます。ぜひ、お聞き下さい。

FM21 76.8Mhz
9月30日木曜日23時〜
中村弥生の「YA宵タイム」


中村弥生さん、小鍋 悠さん、FM21のスタッフの皆さんありがとうございました。ニコニコ  

Posted by Dr.Ken at 07:40Comments(0)Kenのつぶやき

2010年09月21日

◆ほくろ(9)

の治療の際に良く聞かれる質問のひとつが「どのぐらいの期間で治りますか?」です。

 治るとは、キズ跡が目立たなくなるまでの期間をほとんどの場合、意味しています。

 実は、その期間を正確に予測することは必ずしも易しくはありません。年齢、部位、体質(以前のキズ跡やケロイドの有無で判断)、キズの原因など、キズの治りに影響する要素は多いからです。

 一般的にお答えする期間は6ヶ月です。例えばほくろを切り取ったキズ跡は、始めの1〜2ヶ月は赤みがむしろ増して来ます。その後、徐々に赤みや硬さが取れてきて落ち着いてきます。その期間が平均的に6ヶ月と言うことです。もちろん、その後も時間とともにキズ跡はさらに目立たなくなってきます。

 以下の写真をご覧いただければ、より分かり易いと思います。

顔面のほくろ切除前


切除後2週間


切除後3ヶ月


切除後7ヶ月、キズ跡がほとんど分かりません。

  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)ほくろ

2010年09月20日

◆しこり(59)

の中で、口の中にできたものは要注意です。

 
次の2枚の写真で違いが分かりますか



 上の写真は、大きさの違いがあっても両側にできています。年齢も若年でいわゆる扁桃炎(扁桃腺炎ではありません)です。

 下の写真は、片側にできていて表面も不整です。いかにもすぐに出血しそうな外見です。

 中咽頭がんです。

 お酒とタバコが、原因のひとつと考えられています。
中咽頭がんの、初期は痛みもほとんどなく、嚥下したときの違和感もさほどありません。口の中は、ご自分でチェックできる場所ですので、あれっと思うしこりを見つけたら早めの耳鼻咽喉科受診をおすすめします。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)しこり

2010年09月19日

◆しこり(58)

の中で、耳に特有のものがあります。

 
次の写真は、柔道の某金メダリストの写真です。

 耳が変形してしこり様になっていますが、猛訓練を証明する勲章のようなものですね。
 実は診断名も、柔道耳、レスラー耳、力士耳あるいはカリフラワー耳と呼ばれています。


 柔道、相撲、レスリングなどで耳介に強い機械的刺激が起きると軟骨周囲で出血が起きて、いわゆる「耳介血腫」の状態になります。新鮮なうちに血腫を除去して圧迫すると、大きな変形を残さずに治癒します。ところが、適切に処置せず放っておくと、写真のように線維化が起き、耳介の変形が残ってしまいます。このように完成した「柔道耳」変形は、とても硬く手術しても完全にもとの形に戻すのは困難です。

 
次の写真は、耳介中央のしこり(矢印で囲んだ部分)で来られた方です。
 
 超音波検査で液状の内容が疑われましたので、「耳介水腫」と診断しました。

 原因は、やはり耳への機械的刺激と考えられています。柔道などの激しいスポーツでなくても起きうる疾患です。

 
治療は、溜まった液を抜いて10日間圧迫を続けました。
 その結果、1年を経過しても再発していません。
  

Posted by Dr.Ken at 12:57Comments(0)しこり

2010年09月18日

◆しこり(57)

を見たら、その奥には何があるのか、イメージしながら診察する必要があります。前日に引き続き、同じテーマです。

 次の写真は、女性の顎下部の腫瘤で、比較的ゆっくりと大きくなってきたとのことです。
 
 触れると弾力性があり緊満した感じです。下顎の奥には何があるのでしょう。


 下顎骨の周囲には血管、神経はもちろん舌下筋群と呼ばれる多数の筋肉、さらには大唾液腺の仲間である舌下腺と顎下腺が存在します。そのため顎下のしこりは大唾液腺、特に顎下腺由来の腫瘍を考える必要があります。

 CT検査を行うと下顎骨の内側に接して嚢胞(袋状の腫瘍)が確認されました。
 
 顎下型がま腫(plunging ranula)と診断し、手術しました。
 次の図は下顎骨を半分に切って内側から見たものです。


 がま腫は、舌下腺や顎下腺、小唾液腺の導管が何らかの理由でつまることなどが原因となって粘液が貯留した袋ができる疾患です。

 治療は、主に外科的(開窓術または摘出術)に行われますがが、薬液(OK432など)を嚢腫内に注入して袋をつぶす、硬化療法と呼ばれる方法もあります。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)しこり

2010年09月17日

◆しこり(56)

を見たら、その奥には何があるのか、イメージしながら診察する必要があります。

 次の写真は、中年女性の眉間の腫瘤で、非常にゆっくりと大きくなってきたとのことです。


 触れると硬く何か奥から押し上げられたような感触です。眉間の奥には何があるのでしょう。


 頭蓋骨を構成する骨の一種である前頭骨があります。前頭骨は副鼻腔のひとつで前頭洞という空洞を含んでいます。

 CT・MRI検査を行うと前頭洞前壁が消失し、洞内の貯留物が膨隆・突出しているのが確認されました。


 前頭洞嚢胞(のうほう)と診断し、手術しました。


 副鼻腔は、鼻周囲の骨内に作られた空洞であり、人間には前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞、上顎洞の4つがあります。それらの空洞は鼻腔とつながっていて、副鼻腔の出口が塞がると空洞に粘液が貯留してきます。経過はゆっくりですが、大きくなってくると腫れや痛み、また場所によっては眼球運動障害や物が二重に見える(複視)などの症状が出てきます。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)しこり

2010年09月16日

◆しこり(55)

の治療を数多く経験すると、「ちょっと待てよ」、何かおかしいと直感する場合があります。

「何かおかしい」とは、予想外の最終診断が出そうな直感です。

 具体的には、年齢としこりのできた場所・大きさに違和感を覚えたり、視診・触診から得た臨床診断と手術時に直接病変を見たときの違いに違和感を持ったときのことです。

 以下、経験談です。

 以前に、小学生が左側頭部の腫れを訴えて母親と一緒に来院しました。母親の話では、何かに頭をぶつけて急に腫れてきたとのこと。診察すると確かに腫れていますが、何かにぶつけただけにしては腫れが強いのと、内出血を思わせるような表面の変化がないのに違和感を覚えました。あと、少年の顔が妙に青白く、いやな予感がしました。全身状態は良かったので血液検査を行って経過を見ることにしました。その日の夕方、検査室から電話が入り、その患者の血液中に異常細胞見られるとの連絡でした。最終的に白血病の診断がでて、その中でも特殊なタイプで身体の一部にしこりを作る、「腫瘤形成性白血病」だったのです。

 最近の例では、若い女性の方が2〜3週前に頬の腫れに気づき、割合急に大きくなって来たと言うことで来院されました。来院前に、ご自分で全身を触れて、他にしこりがないか調べたそうです。その結果、顔の他部位と腰にも、しこりがあると話してくれました。顔面のしこりはかなり大きいためMRI等の画像検査が必要と判断しました。腰のしこりは臨床的には脂肪腫を強く疑いました。早速、腰のしこりは切除しましたが、術中に違和感を覚えました。通常の脂肪腫とことなり、しこり自体は単に脂肪組織が肥厚したような感じで境界もはっきりしなかったのです。いやな予感がしました。一週間後に病理医から連絡が入りました。「悪性リンパ腫」の診断で、病型を判断するために特殊染色して精査中とのこと。患者さんには、切除部の抜糸の際に経過を話して、すぐに血液内科に紹介しました。

 無から直感は生まれません。これからも臨床医としての直感を磨く努力を続けていきます。  続きを読む

Posted by Dr.Ken at 00:01Comments(0)しこり

2010年09月14日

◆爪(8)

のトリヴィアを紹介します。

爪は何のためにあるか?

動物では獲物を倒したり、木に登ったり、木の皮を剥いだりするのに重要な役割をします。

人間では指先を保護し、指先を使った細かい仕事をする上で大切です。つまり指で物をつかむときに、爪が力を支えて、はね返すことで指先に力を入れて物をつかむことができます。


爪が生えかわるのにどの位かかるか?

日本人成人の場合、手指爪甲は1日に平均0.1ミリ伸びると言われています。伸びる速さは個人差があり、早い人では一週間に1.2ミリも伸びる場合があります。1日平均0.1ミリとすると手指の爪が生えかわるのは5〜6ヶ月になります。


足と手の爪では、どちらが速く伸びるか?

皆さん、何となくお分かりかと思いますが、足の爪は手の爪よりはるかにゆっくり伸びていきます。足は手のおよそ2分の1から3分の1程度の速さです。手の爪でも、右利きの人は右手指の爪が左に比べてやや速く伸びます。指のなかでは、真ん中の3本がもっとも速く伸び、ついで拇指、最も遅いのが小指です。


爪の伸び方は年齢により違うか?

小児期から20歳ごろまでが爪の伸びがよく、そのあとは伸び方が遅くなり、50歳を過ぎるころには幼児の爪の伸びに劣るようになります。

爪を1メートル伸ばすのに何年かかるか?

爪は、はじめは真っ直ぐに伸びますが、次第に水牛の角のように湾曲してきます。従って、実際に1メートルも伸ばすのは至難のことですが、インドにはそれを成し遂げた方がいるらしく、実に20年近くかかったとのことです。


 
形成外科KC内のネイルクリニックです。





 巻き爪の治療もここで行っています。

(爪のトリヴィアの内容については、西山茂夫著「爪で健康チェック」から引用しました。)  

Posted by Dr.Ken at 19:09Comments(0)

2010年09月13日

◆しこり(54)

の診断には、それができた場所がどこなのかも重要な鍵になることは以前にもお話ししました。

 例えば、下口唇にいつの間にかキズ(びらんまたは潰瘍)ができて、なかなか治らないうちに、その部分にしこりができてきたら要注意です。

 下口唇がんの可能性もあります。

 高齢女性の下口唇にできた小さなしこりです。

生検病理検査)の結果、扁平上皮がん(以下SCC)と判明しました。

 SCCは、皮膚がんの中では比較的悪性度の高い腫瘍ですので、治療も広い範囲で切除する必要があります。


結果的に、下口唇の半分がなくなりました。


下口唇伸展皮弁で再建して1週間です。唇の組織は柔らかいので半分ぐらいの欠損であればきれいに再建することができます。


下口唇は、SCCの好発部位です。以前に紹介した日光性角化症同様、紫外線が原因のひとつと考えられています。  

Posted by Dr.Ken at 16:50Comments(0)しこり

2010年09月12日

◆那覇市役所新築現場定点観察8

を2ヶ月ぶりに更新します。

 7月初めに起工式がありましたから、基礎工事もかなり進んでいるかと思いきや、未だ旧市役所の地下部分を解体中です。
 ただし、並行して周囲で基礎のくい打ちは進んでいます(2010年9月6日撮影)。





平成24年9月完成予定です。

  

2010年09月11日

◆へそ(2)

のない、お腹を想像できますか?
 
次の写真はお腹の手術の際にへそを取られたため、へそを再建するために紹介されてきた方です。
カエルのお腹はまだしも、ヒトのお腹にへそがないとやはり違和感を覚えます。

 生まれつきへそのないヒトはいませんから、欠損の原因はほとんどの場合何らかの手術あるいはヤケドなどのけがです。


 へその名残がまったくない状態から、見た目が自然なへそを作ることは、実はかなり難易度の高い手術になります。キズ跡をできるだけ表面に出さずに、充分に深い、かつ、できれば昨日のブログで紹介した多くの人が好む形にとなると・・・。

 幸運にも(?)、今年になって術後にへそを失った方を2名手術しました。

 実際には、まったくキズのないお腹のへその作り方で、万人が認める良い方法はありません。そのため、手術を計画するに当たり、ありとあらゆる文献を検索しました。写真を見て、これならいけそうという方法をやっと見つけました。

 
これがそのデザインです。

詳細は省きますが、術中に工夫しながら、なんとか納得のいく形にできました。

写真は術後1ヶ月です。


 もちろん、術後に患者さんが「I'm happy.」と言って初めて、私の仕事は完結します。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)形成外科エピソード

2010年09月10日

◆へそ

の形は、千差万別ですが、理想の形とはどんな「へそ」でしょうか。

 形成外科・美容外科領域で世界的に最も権威のある雑誌PRS(以前の記事を参照下さい)に「The Ideal Female Umbilicus ? (PRS,121: 356e, 2008)」と題した論文があります。5種類のへその写真をみせて、合計251名の一般人男女に、好みのへそを選んでもらい、その結果を検討、報告したものです。

次の写真が、5つの代表的なへその形です。
日本人のへそに当てはめても大きな差はないと思います。
さて、皆さんはどのへそが好みですか。はてな


結果です。

 一番人気は、男女問わずたまご形+フード付、二番目以降は男女の好みの差が明らかです。女性の2番は縦形+フード付、3番は横形、男性の2番は横形、3番はたまご形でした。論文の中でその理由については触れていませんが、へそを作るときは男女の好みの差を考慮すべきとしています。

 次回は、へその再建について紹介します。ニコニコ  

Posted by Dr.Ken at 16:55Comments(0)形成外科エピソード

2010年09月09日

◆もうひとつのKC

に、出会いました。形成外科KCを訪れたもうひとつのKCとは何か。

 
これです。

 先日クリニックを受診したI君が、「僕もKCだよ」と見せてくれました。
 少年野球チーム「神原カープ」のKCとのことです。

 
 ちなみに形成外科KCの「KC」は何に由来するか、ご存じですか。
 「Ken's Clinic」、「Keiseigeka Center」、1960年代の米国の人気医療ドラマ「ベンケーシー」など聞かれましたが、実の由来はこちらをご覧下さい。

 命名者は、クリニックマネジャーでもある私の妻です。斬新な呼び名で、私も始めは戸惑いましたが、今は皆さんが「KC:ケーシー」と略して読んで下さって、呼びやすく、覚えやすいと評判です(だと思います、笑)。あと、外人さんにとっては、明らかに親しみやすい呼称のようです。

Special thanks to I-kun  

Posted by Dr.Ken at 12:01Comments(0)院内のできごと

2010年09月08日

◆しこり(53)

には、実に様々な形、色、大きさ、硬さのものがあることは、過去50回余のシリーズで紹介しました。

 治療してきた患者さんの数に比例して、肉眼的診断=臨床診断の精度も上がってきましたが、それでもあれっと思う場合もあります。

 次の写真は桑の実です。


 次は、男性にできた桑の実様のしこりです。それにしても桑の実にそっくりですね。

 病理診断(確定診断)は、脂漏性角化症でした。

 次は、女性にできた同じく桑の実様のしこりです。これも、少し色は違いますが、桑の実にそっくりですね。

 臨床診断を脂漏性角化症としましが、病理診断(確定診断)は、母斑細胞性母斑(ホクロ)でした。あれっと思った一例です。
  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(2)しこり

2010年09月07日

◆眼瞼手術セミナー

については、昨日のブログでも紹介しました。

 80名の医師が参加していましたが、予想外に過半数は眼科の先生方でした。

セミナーの様子


 眼瞼手術のセミナーですから、医療関係以外の方にすれば眼科医が多いのは当然と思われるかも知れません。が、眼球の手術(白内障、緑内障、網膜剥離、硝子体手術など)をこなして、さらにまぶたの手術までマスターするのはかなりハードルが高いと思います。その意味で、私の中では以外でした。ただ、まぶたのトラブル、悩みがある場合、一般の方はまず眼科を受診すると思います。まぶた手術の需要の高さを日頃から感じている分、何とか期待に応えたいとの意識から、受講者がこれほど多いのかも知れません。

 たまたま、隣席の方が眼科医でした。その方が受講した理由も、例えば眼瞼下垂を手術してまぶたは十分挙がっているのに、皮膚のゆるみが残ったり、二重の形が不自然であったり満足度が不十分のため、整容的、美容的に良い結果を残すためのノウハウを学びに来たと話していました。

 講師はほとんど形成・美容外科医でしたが、ある先生の一言が印象に残っています。
良い結果を残すのは当たり前で、最も大事なことは、手術後の腫れや出血を少なく、というよりなくして、いかに早く普段通りの生活に戻れるようにするかです。」との言葉です。都会の厳しい競争の中で生き抜くクリニックの主として、ありとあらゆる工夫をして満足度を高める努力には頭が下がります。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)Kenのつぶやき

2010年09月06日

◆涙袋

とは何のことでしょうか。

 9月5日に日本臨床ラジオ波手術研究会主催の眼瞼手術セミナーに参加しました。
 眼瞼下垂、下眼瞼内反やまぶたの美容形成など6時間にわたるレクチャーとライブサージャリーで予想以上に有意義なセミナーでした。

 その中のいくつかのトピックを紹介します。

 まず、次の左右の写真はどこが違うか分かりますか。

 そうです。「涙袋(なみだぶくろ)」または「涙堂(るいどう)」と呼ばれる、下まぶたのまつ毛の直下にあるふっくらとした盛り上がりの有無です。


 どちらが魅力的に見えますか。提示した写真は、微妙な違いなので実感できないかも知れませんね。テレビや雑誌などで注意して見て頂くと分かりますが、女優、歌手、アイドルなど涙袋がくっきりある方が、目の表情が豊かで魅力的に見えます。特に、笑った時には立体感が出て、より若々しい印象を与えます。

 今回のセミナーでは、その涙袋をどのように作るかの実演もありました。
 具体的には、ヒアルロン酸を注入して涙袋を作りますが、まつ毛ラインから、5〜8ミリの範囲に極小の針を使用して、微量を眼輪筋のすぐ上の深さに丁寧に注入していきます。微妙な部位ですので、左右のバランスを見ながら、一気に目標量を注入するのではなくで、2週ほど間をおいて微調整した方が満足度が高いとのことでした。
                        

Posted by Dr.Ken at 15:49Comments(0)美容外科エピソード

2010年09月05日

◆しこり(52)

でも、ホクロでも、顔のできものを綺麗になおす上で最も大切なことは、何だと思いますか?

 もちろんシャープに最小限の切開で切り取って、皮膚をいためないように丁寧に細い糸で縫合することも大切です。

 私は、切除後のキズ跡をどの方向に残すかということが、最も大切と考えています。身体のどの部分にもキズ跡が目立ちにくい方向というのがあります。特に顔面は多くの表情筋と呼ばれる薄い筋肉に覆われていて、キズ跡が目立ちにくい「方向」が比較的はっきりしています。

 その「方向」は、英語でRelaxed Skin Tension Lines (以下RSTLと略)と呼ばれています。適切な日本語がありませんが、「縫合線に最も緊張がかからないライン(方向)」という意味です。

写真右が皮膚の下にある表情筋の分布です。微妙で複雑は、表情はこれら多くの筋肉の動きで作られているわけです。


顔面に等高線状に引かれた線が、RSTLです。表情筋と見比べると分かりますが、筋肉の収縮する方向とRSTLの方向はほとんどの部分で直交しています。また、RSTLが顔面のシワに沿っていることもわかります。


 手術に当たっては、患者さんの皮膚表面にRSTLをイメージして切開線を決定します。

 30歳代、女性のこめかみの大きなホクロです。


 術後1ヶ月ですが、正しい「方向」に縫われたキズ跡は落ち着くのも早いように思います。
  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)しこり

2010年09月04日

◆ホクロ(8)

を炭酸ガスレーザーで治療した経過は、これまでもいくつか紹介しました。

 経験的に、鼻とその周囲の色の濃くないホクロは5ミリ前後の比較的大きなものでも良い結果が得られます。色が濃くても2ミリ以下の大きさであれば概して綺麗に治ります。

 20歳代の女性です。4個同時に炭酸ガスレーザーで治療しました。
 一回照射後の経過です。


4の部分はほとんど跡が分かりません。治療後6週時点で1,3の部分にわずかに点状に黒いところが見えましたが、徐々に薄くなりました。



 顔面に、小さなホクロができやすい方がいます。ホクロはゆっくりですが大きくなっていきますので、目立つキズ跡を残さずに治すためには小さいうちに治療した方が良いと思います。  

Posted by Dr.Ken at 17:56Comments(0)ほくろ

2010年09月03日

◆笑うラット

とは、一体何ものでしょうか。
(ご存じだとは思いますが実験動物としてのネズミの一種をラットと呼びます)

2010/8/28付の日本経済新聞夕刊に載った記事の抜粋を紹介します。
 「笑い」が糖尿病患者の血糖値に対して良い影響があるとされているが、心と遺伝子研究会ではさらに進んだ内容の発表が行われ、特に面白いと思ったのは「笑うラット(ネズミ)」の研究だ。
 ネズミが笑うというのは面白い発想であるが、研究者らによると彼らは人間同様に集団生活を行うなかで様々な周波数の鳴き声を放つという。例えば恐怖や不快なときには20kHz(キロヘルツ)の周波数を発する。そして快を表現するときに発するのは50kHzで、これをヒトの「笑い」の原型ととらえている。
 ヒトの可聴域の上限周波数は15〜20kHzまでだ。ネズミが発する声は多くの鳥や捕食者の可聴域の上限を超えており、彼らが野生で生活する上で身に付けた生存のための防衛機構ともいえる。
 ネズミの腹をくすぐることによって彼らが「快」を感じることから、研究者たちはこれらの刺激を与えて遺伝子発現解析を行った結果、「笑う」ことによって摂食調節、睡眠・覚醒(かくせい)、そして免疫機能をつかさどる遺伝子が上昇することが確認された。
 「笑うラット」の研究者らは、これらの研究をもとに「笑い」が心身の健康にもたらす効果があるのではないかと期待している。


心と遺伝子研究会」とは、筑波大学の名誉教授である村上和雄先生が主催する研究会です。
 
 研究会での発表の多くは「心の在り方」が身体に対してどのような影響を与えるかというものです。不安、怒り、笑いといった感情が疾患や病気の治療に対して大きな影響があるとすれば、医師が人として患者にどのように向かい合うか、その心の在り方が医療の現場を大きく変える。「心と遺伝子」はまさに人と科学が融合した最先端の研究会であると、その記事では締めくくっています。鉛筆  

Posted by Dr.Ken at 18:37Comments(0)Kenのつぶやき

2010年09月02日

◆ホクロ(7)

を炭酸ガスレーザーで治療すると、良い結果が得られることと、その問題点について先日のブログで紹介しました。

 問題点として
1. あまり深く照射すると凹んだキズ跡を残す。
2. ホクロの細胞が深い位置まで存在すると、再発する場合がある。

を挙げましたが、事前の対策として重要なことは、ホクロの外観からどの位の厚みと拡がりを持ったホクロか評価することです。ところが実際は、その評価が難しいのです。

当院の炭酸ガスレーザー装置(Lumenis 30C)

 先日、あるセミナーで炭酸ガスレーザーによるホクロの治療を数多く経験された先生から、ホクロの評価法についての提案がありました。

それは、顔面のホクロの成熟度分類です(葛西形成外科資料参照)。
1度:扁平、色は薄い


2度:扁平、色が濃くなってくる


3度:少し盛り上がり、色は濃い、色素産生能が高い


4度:盛り上がっている、色素産生能が落ちている


5度:いぼ状、色がほとんどない、色素産生能も落ちている


ホクロの成熟度をもとに再発の程度を予測するわけです。
3度の少し盛り上がりがあり、色が濃いホクロは一旦レーザーで治療しても再発しやすいと考えられています。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)ほくろ

2010年09月01日

◆台風「トカゲ」

を覚えていますか。

 と言っても、トカゲの名前では有りません。2004年に日本を襲った超大型台風の名前が「トカゲ」でした。台風の命名法についてはこちらをご覧下さい。

 さて、昨日の台風、皆さまのお宅では被害はありませんでしたか?
 台風7号の衛生画像を見ていて、その「トカゲ」を思い出しました。2004年に衛星可視画像と赤外線画像を見たとき、その台風の余りの巨大さに驚いたものです。これは何かに使えると思い、データとして残しました。

 今回の台風7号と「トカゲ」の画像を比べると私の「驚き」がお分かりいただけると思います。

「トカゲ」の赤外線画像、陸地が白い線で描かれています。雲が北は青森から、南は与那国島どころかフィリピン近くまで覆っているのが分かります。


「トカゲ」可視画像(左上に朝鮮半島、左下の台湾が見えます)。


台風7号の可視画像、「トカゲ」の写真とほぼ同じ範囲です。(左上に朝鮮半島、左下の台湾が見えます)。


 同じ台風でも、これだけの違い、自然の驚異を感じずにはいられません。  

Posted by Dr.Ken at 12:00Comments(0)Kenのつぶやき