東日本大震災:堤防越えた水、外側浸食し決壊 土木学会

2011年5月14日 15時3分

決壊した北上川の堤防。手前のコンクリートは、堤防が決壊して流された護岸とみられる=丸山久一教授提供
決壊した北上川の堤防。手前のコンクリートは、堤防が決壊して流された護岸とみられる=丸山久一教授提供

 東日本大震災に伴う津波で堤防が決壊し河川が氾濫した原因は、堤防を越えた水がコンクリートやブロックで護岸されていない外側の盛り土を削ったのが響いたとする分析を、土木学会がまとめた。通常の河川の堤防は、盛り土のうち水面と接する内側は護岸しているが、外側は土を固めただけの場所が多い。浸食に備えた対策が必要になりそうだ。【久野華代】

 同学会総合構造物班は3月下旬~5月上旬、津波で氾濫した北上川(岩手、宮城県)や気仙川(岩手県)などで調査を実施。このうち、北上川では河口から4~5キロの地点で、数百メートルにわたって護岸された堤防が崩れ決壊していた。また、強い地震による揺れで地盤が流動化する「液状化現象」も発生していた。

 決壊していない場所の堤防でも、津波で逆流した水が護岸工事のない盛り土部分の外側を浸食した痕跡が見つかった。

 内側と外側の両面が護岸になっている堤防は、河口付近に限られていることが多い。さらに上流でも外側まで護岸されていれば、容易な決壊を防ぎ流域の建物が押し流されるのを防いだ可能性がある。

 調査責任者の丸山久一・長岡技術科学大教授(コンクリート工学)は「河口からここまで上流に津波が逆流すると考えていなかった。今後、洪水だけでなく大きな津波も想定し、堤防の外側も含めた護岸対策を取る必要がある」と話す。

top
文字サイズ変更
このエントリーをはてなブックマークに追加
Check
この記事を印刷
 

おすすめ情報

注目ブランド