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波:大相撲 尾上親方、酒気帯び運転 温情処分、肝に銘じよ

 20日、酒気帯び運転の疑いで警視庁に摘発された尾上親方(元小結・浜ノ嶋)の処分を決めた日本相撲協会。ある協会役員は「平年寄10年据え置き」という処分を、「軽くないですよ」と評す。現役選手と指導者の差はあるが、08年に同様の事件を起こしたサッカーJリーグの2選手は、約4カ月の公式戦出場停止だった。尾上親方は51歳まで最も地位が低いまま据え置かれる。単発の不祥事と見れば、処分の重さは役員の言葉の通りだろう。

 だが、尾上親方は、弟子の把瑠都がジャージー姿で飲み歩いたなどとして協会から過去3度、師弟で注意を受けている。八百長問題でも3人の弟子が角界から追放された。師匠の資質に疑問があるとして理事会では解雇や部屋閉鎖を求める意見も出たという。

 尾上親方は学生相撲の強豪・日大出身。最大で5人いた関取経験者のうち、エストニア出身の把瑠都以外はすべて日大の後輩。「大学の先輩後輩で固めた部屋」とやゆされることもある。あるベテラン親方は「おかみさんには弟子の前でも『ケイシ』(尾上親方の本名)と呼ばれているらしい。示しがつかんわな」とも。指導の甘さを指摘する声は角界内に響いていた。

 部屋閉鎖に踏み込まなかった理由を「部屋をなくすということは大変大きな問題」と説明した放駒理事長は、「最後のチャンス」と付け加えた。度重なる不祥事にもかかわらず部屋の存続が許されたのは、温情であることを肝に銘ずるべきだ。【飯山太郎】

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 ◇近年、不祥事で処分を受けた部屋の師匠◇

 <10年 5月>

 ◆2階級降格・部屋閉鎖

 木瀬親方(元前頭・肥後ノ海)

 暴力団に入場券手配

 <7月>

 ◆解雇

 大嶽親方(元関脇・貴闘力)

 野球賭博関与

 ◆1階級降格と昇格据え置き5年

 時津風親方(元前頭・時津海)

 野球賭博関与

 <9月>

 ◆2階級降格

 松ケ根親方(元大関・若嶋津)

 反社会的勢力と交際

 <12月>

 ◆1階級降格・師匠交代

 宮城野親方(元十両・金親)

 知人に八百長告白

 <11年 4月>

 ◆昇格据え置き10年

 尾上親方(元小結・浜ノ嶋)

 酒気帯び運転

 ※宮城野親方は現熊ケ谷親方

毎日新聞 2011年4月21日 東京朝刊

 

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