栃乃若を破り20年ぶり新入幕初日から6連勝の魁聖=両国国技館で
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◇技量審査場所(6日目)
(13日・両国国技館)
日本の反対側からやってきた魁聖が、白鵬と並んで角界の表舞台に立っている。ブラジル出身の日系三世。イタリアとドイツのハーフという母ホーザンナさんは身長が180センチもある。その血を受け継いだ193センチの魁聖は栃乃若を簡単に押し出し、新入幕としては1991年九州場所の貴ノ浪以来となる初日から6連勝を飾った。
験かつぎは「場所に来る前にコーラを500ミリリットル飲んでくる」という現代っ子だが、礼儀正しく温厚で、まわりの評判もすこぶるいい。来日したのが06年7月16日。その日に食べた昼ご飯はステーキ。「最高じゃんと思った」と浮かれたが、夕食は「魚だったから最悪って思った」と食事に苦労した。ブラジルへは1度も帰国していない。もうすぐ丸5年たつが「今まで帰りたいと思ったことはない。チケットも30万円くらいかかるし」と稽古に専念する。
目標の入幕は果たしたが「年内に帰国できれば」と欲はない。昔は公衆電話で5000円くらいかけて連絡していたが、今はインターネットの無料電話もある。それに帰国できたら、弟ヘナトさん、妹ナタリアさんたちに「いっぱい買い物とかしてあげたい。好きな物を食べさせたい」と遠くにいる家族への思いが支えにもなっている。
サンバも踊れて、リンキン・パークなどヘビメタやGACKTが好きだという若者に、兄弟子の魁皇は「強いね。よく攻めてる。これから部屋を背負っていく。頑張ってほしい」と激励の言葉を贈る。
初めて横綱土俵入りで露払いも務めた。全勝はその白鵬と2人だけ。横綱は「新入幕についていくだけです」と笑わせたが、そのくらいの勢いは感じさせる。(岸本隆)
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