2011年5月9日5時2分
東京電力は8日、福島第一原発の敷地内や周辺の海で4月18日に採取した土や海水から、放射性物質ストロンチウム90を初めて検出したと発表した。半減期が約29年と長いうえ、化学的にカルシウムと似ていて、体内に入ると骨にたまる傾向がある。原発敷地外で放射能モニタリング(監視)を行っている文部科学省も今後、海洋のストロンチウム調査を実施するという。
1、2号機の排気筒から南南西約500メートル地点では、ストロンチウム90が乾かした土1キロあたり約570ベクレル検出された。1960年代の核実験などの影響で検出される通常の量より2けた大きい値で、原発から漏れたと考えられる。東電は「作業員はマスクで吸入しないようにしており、影響はない」としている。
海水では、同原発5、6号機の放水口北側30メートルの地点で、濃度限度の約0.26倍に相当する1リットルあたり7.7ベクレル、沖合15キロでは約0.15倍に相当する4.6ベクレルだった。原発から大気中に放出されたものが海に落下したか、原発から海に流出した高濃度汚染水に含まれていたとみられる。
文科省は3月中旬、福島県浪江町と飯舘村の土壌サンプルを採取し、最大で1キロあたり32ベクレルのストロンチウム90を検出した。だが、海水での調査は実施していない。(小堀龍之)