ほったらかしですみません
twitterで数日前から
原理的には最短二年程度ですべての原発を止めうるというのが現実味を帯びてきた状況下では、原発推進も反原発も脱原発も無邪気ではいられない。どれを止めてどれをいつまで動かすかをまじめに議論することになるし、反原発運動といえども「再起動」を認めなくてはならないときがくる。
という趣旨の話を書いて、一部のかたには怒られ(無邪気ではいられないという表現がいけなかったようですが、そんなに妙な表現とは思っていません)、一部のかたには同意していただいたのですが、菅首相が浜岡に停止要請をしたことで、この話が現実味を帯びてきました。
浜岡は止めればいいと思っていますが、その先を考えると気分はかなりブルーです。
「浜岡をすぐに止めよう」という運動と「すべての原発をすぐに止めよう」という運動は、実は必ずしも相容れるものではないということに気づいている人と気づいていない人がいるのだと思います。後者は無邪気にすぎるということですが。そうではなく、これからは「どの原発の再起動を認めるか」が争点になっていくはずです(すべての原発は最長二年の運転ごとに定期点検が義務づけられている)。
節電でしのぐという考えかた自体は悪くないのですが、ときとして「○○は贅沢だから止めろ」という健常者視点の乱暴な意見になってしまうのが気になっています。バリアフリーの中には電気で実現しているものが少なくないのだし、高齢者や体力のない人には夏の冷房が重要なのだから、簡単に贅沢と言って欲しくはない。駅のエスカレーターは贅沢か、という問題はきちんと考えたほうがよいです。自分は平気だから他人も平気なはずだ、というのでは乱暴にすぎます。
電気がないと生きられない人たちがいることも考えたいところです。
大規模停電の怖さを考えると(人が死にます)、単純に発電可能量を足し算して、かつかつで足りるという話ではだめで、マージンがどれだけ必要かも含めて話をしないと。また、中には発電可能量を足す際に、どの発電所も点検のために止まるということを忘れる人もいるように見受けられます。
また、経済への影響を心配すると、経済より安全がだいじだというかたがおられるのですが、経済が落ち込むとたくさんの人が死ぬのではないでしょうか。電気料金の値上げが回りまわってどういう影響を生むかも、ちょっとくらいは考えるべきで、何も考えないのは無邪気にすぎると言うべきでしょう。
多くのものが「電力の安定供給」を前提に作られています。長期的には脱原発が事実上の規定路線になったと思いますが、オイルショック以降何十年もかけて、現在の電力の体系ができてしまったので、転換にはやはり相当の時間がかかると考えるのが自然でしょう。
この話にオチも結論もありませんし、特に提案もありません。
反論されても、僕はそれに対して有効な反論はできないと思います。
敵味方とかall or nothing的な二分法で語れた時代は終わったと言いたいだけですが、単に乱暴な話を書いているだけと思っていただいてもかまいません。
キャッチフレーズだけ繰り返しておきます
........................
最短二年程度ですべての原発を止めうるというのが現実味を帯びてきた状況下では、原発推進も反原発も脱原発も無邪気ではいられない。
.......................
もうひとつ考えついてしまったキャッチフレーズは
.......................
原発推進と反原発の蜜月時代は終わった
.......................
ですが、これはレトリック嫌いのかたにはさらに怒られるでしょうね。でも、思いついて、気にいったので書かずにはいられませんでした
吉岡斉さんの岩波ブックレット「原発と日本の未来――原子力は温暖化対策の切り札か」は一読の価値があります
[追記]
このテキストをネガティブに捉えるかたもポジティブに捉えるかたもおられると思いますが、僕は「脱原発」がだめだと言っているわけでは全然ないので。ただ、2年で達成してしまうのは、無茶だと思っていますが。
浜岡だけに停止要請をしたことで、停止中の原発の再起動問題が既に持ち上がっています。地元自治体としては、簡単には再起動に同意できないのも当然でしょう。それがこれから順番にやってきます。その気になれば、本当に2年ですべての原発は止められます。「止めろ」ではなく「再起動させるな」でいいわけです。
しかし、この文章くらいでも「原発推進派」に見えちゃうんですかね。
[追記]
社会構造はインフラに合わせて最適化されてしまいますし、インフラはその社会構造に合わせて整備されるという意味で、インフラと社会構造は共進化なのだろうと思います。共進化による一種の「袋小路」(過剰適応)状況から、どう別の穴に移るかという話だと思うのですけれども。たとえば、電波時計用の信号を出すNICTの設備が避難地域内にあったために、多くの時計の時刻が合わせられなくなったことなど、過剰適応の結果ですよね。
まあ、こういうことは書かないほうがいいのかもしれませんが
[追記]
吉岡さんのブックレットを挙げたことでわかっていただけると思うのですが、現実的な脱原発を議論してきた人たちがいないと言っているわけではありませんので、念のため。ただ、そういうかたがたにとっても、事態の推移は急激すぎるのではないかという気はします
この記事に対するコメント[113件]
1. ファブヨン — May 9, 2011 @13:14:32
1.素人のザックリ理解で、脳のリソースには自身で思うより案外少ない限界がある。
2.だから、複雑なことはまとめ(≒チャンク)て定義することで、より広い範囲を考えてる。
3.キャッチフレーズも、複数の定義や方向性を絡めたまとめのひとつ。
4.研究者同士の専門用語にも案外、その定義にバラつきがあり、そこに気がつかないと議論が混乱する。*
5.しかし、研究者同士は、その定義を説明し合うことで、定義にバラつきがあっても議論できるし、同じ言葉であっても別の解釈なのだと理解できる。*
6.だから、レトリックの危険は、互いに自分も相手も、リソース不足に悩む同じ人間だと考えて、説明し合うことで緩和出来ると思います。
*:項目4と5はTwitterで有名な渡邊芳之さんの著書の一部の要約。
2. Katase — May 9, 2011 @16:18:25
・朝日新聞−「関西への電力「今夏半減も」 福井知事、経産相に迫る」http://www.asahi.com/special/minshu/OSK201105040134.html
福井知事が、福島の事故を踏まえて安全設計や耐震設計の指針を国が見直して暫定的な安全基準を設けるように求めており、定期点検中の原発は当面「その基準を満たさないと再起動は認めない」という立場を示しているそうです。
現在定期点検中のものは、関電の美浜1号機、高浜1号機、大飯1、3号機の計4基で、今夏に向けてさらに美浜3号機、高浜4号機、大飯4号機の3基が定期検査に入る予定とのこと。
定期点検後に再起動が遅れると夏に稼働するのは4〜5基になってしまうとのことで電力不足が予想され、浜岡原発を停止した場合の中部電力への送電にも支障が出てしまう恐れがあります。
3. ken500d — May 9, 2011 @16:49:28
九州電力の真部利応社長は9日午前、佐賀県玄海町の岸本英雄町長と町役場で会談し、定期検査で運転が停止したままの玄海原子力発電所2、3号機の運転再開に理解を求めた。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110509-OYT1T00657.htm
運転再開せざるを得ない事態も当然予想されるわけですが
具体的になされた対策を原発一基ごとに公開して
外からの批判に耐えることが必要だと私は考えてます。
今ある情報で素人目に思うこととしては、非常用電源車配備だけでなく
送電鉄塔(外部電源)の耐震補強が全国で必要な気がいたします。
4. FROY — May 9, 2011 @17:36:46
全体の発電容量からすると、原発が占める割合は20%くらいですよね。
リスクの高い原発を再起動させるより、原発以外の休眠設備を
再起動したほうが理に適っていると私は思います。
5. aokaji63 — May 9, 2011 @18:19:27
じゃあ、どうして現状でこれだけの原子力発電所が設置されているのか?
科学的な考察を求めるブログなので、感情で語るのはいいかげん終わりにしませんか?
6. かんばせ — May 9, 2011 @16:24:22
健康マニアの「健康のためなら 歹ヒんでもいい」
を言い換えて、
「廃原発のためなら死んでもいい」・・・・・・
・廃原発運動が毛沢東のスズメにならない事を切に願っていますが……
リスクフリーではなく、リスクコントロール(マネジメント)とかいう言葉が 世間に理解されて実践されるには まだまだ時間が掛かりそうです。
7. まや — May 9, 2011 @19:03:52
水力発電は自然を破壊してダムを造るから良くない
火力発電は二酸化炭素を大量に出して温暖化に結びつくから良くない
だったらクリーンな原子力発電を。
という流れで日本は原発を大量に作ってきたんだったと思います。世界的に、環境保護に傾いてきているので、二酸化炭素排出削減に積極的です。そのための原発だったはずです。
確かに現状では原発がなくても電気は足りているように見えますが、そんなこんなで火力発電の割合を減らしていこうという流れな訳です。
ますます上昇する電気需要に見合うだけの電気を、安定的に供給するにはどうするのか??
風力や地熱では不十分(というか安定的じゃない)という現実もあります。
私も原発なんか無くなってくれればいいと思っている1人ですが、だからといってすぐに止めてしまえばそれでいいというわけでもない。夏が昨年みたいに暑かったら、クーラーかけずに耐えろって、なかなか言えない。
難しい問題だなぁ、と思います。
原発に変わる発電方法、化石燃料を燃やさなくても済む発電方法、環境に優しい発電方法、そういうものを考えていかないといけないのだと思います。そうしないと原発再起動しなくちゃやっていけなくなっちゃうよ。と
何か新しい発電方法のアイデア、ないですかね。
きくち May 9, 2011 @19:33:40
電力の安定供給という観点からすると水力・火力・原子力が優れていて、特に火力と原子力はまったく自然条件によらない強みがある。そして、リスクヘッジの立場からは一種類に頼らないほうがいいわけね。
9. 匿名希・望 — May 9, 2011 @19:20:35
>火力や水力の稼働率をあげれば原発は特に必要ないと思いますが。
>全体の発電容量からすると、原発が占める割合は20%くらいですよね。
稼働率の内、休眠しているのにはそれなりの理由があります。
施設自体が老朽化している、施設があっても稼働させる人員が足りない等。
また休眠している施設以外でも、常にフル回転で動かす事は非常時の余裕や定期点検の間の休止を見込めば不可能です。
原発を再稼働しないのであれば、絶対に新規発電所の増設が必須になります。
勿論、施設の増設だけでなく、人員の増強も必要です。
原発の作業員をそのまま火力や水力発電所の作業員に回すわけにも行きません。
これはコストの問題よりも、実際に電力需要が逼迫するまでに新設が間に合うのか、時間的な余裕こそが問題になるでしょう。
#その間を稼働率を無理矢理上げることで凌ぐなら、何時まで無理できるかの計算も必要です
この時間の計算は、ケースバイケースで結果は違いますから、全ての原発で再稼働が必要か否かは一概には答えられません。
今回はコストの話は無視してます。
必要とあれば資金については政府が緊急融資するなりして調達する事は不可能ではないので。
10. 匿名希・望 — May 9, 2011 @19:55:53
原理的な壁は別にしても、単純な技術レベルのアップによる効率は変化する訳だから。
11. YMN — May 9, 2011 @23:34:47
「反原発運動といえども」の指すものとしては次の3つあたりが考えられます。
1、全ての反原発運動の人
2、反原発運動の大部分の人
3、反原発運動の一部の人
普通に読めば1の解釈になり、反原発の人が読んだらカチンと来ることになりそうです。
2の解釈で残りの人は原発反対の原理主義といったところで(何があろうが、人が何人死のうが)、常識の枠内では皆無に近いことになり、実質的には1と殆ど同じということになるでしょう。
12. e10go — May 10, 2011 @00:26:14
http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/__icsFiles/afieldfile/2011/03/23/032303.pdf
供給力(発電能力)
発電方法:発電能力(発電設備構成比)
水力:554万 kW(19%)
火力:2,012万 kW(69%)
石油:437万 kW(15%)
LNG:1,196万 kW(41%)
石炭:379万 kW(13%)
原子力:350万 kW(12%)
合計:2,916万 kW
年間発電量
発電方法:発電量\年間稼働率(発電量構成比)
水力:116億 kWh\24%(9%)
火力:971億 kWh\55%(75%)
石油:39億 kWh\10%(3%)
LNG:595億 kWh\57%(46%)
石炭:336億 kWh\101%(26%) ← 年間稼働率は、発電設備構成比と発電量構成比を元に計算しているので100%を超えています。
新エネルギー:129億 kWh\*(10%) ← 発電設備構成比が無いので、年間稼働率は出せません。
原子力:194億 kWh\63%(15%)
合計:1,294億 kWh\51%(100%)
年間発電量を見ると原子力が無くても余裕があるように見えますが、実際は余裕がありません。
平成22年の最大電力(ピーク消費電力)が2,698万 kW、供給力2,916万 kWから原子力の350万 kWを差し引くと132万 kW足りません。この分、他所から融通してもらうか、節電の必要がありますね。
ついでに、沖縄電力を除く各電力会社の供給力と最大電力(需要ピーク電力)を調べてみました。
東北電力、中部電力、中国電力、四国電力、九州電力は平成22年の供給力から原子力を除くと最大電力に届きません。つまり、供給不足になります。
北海道電力(2010年推定実績 http://www.hepco.co.jp/info/2010/1187532_1424.html )
供給力:合計 826万 kW、原子力 207万 kW、最大電力 579万 kW
東北電力(平成22年3月 http://www.tohoku-epco.co.jp/comp/keiei/keikaku/pdf/h22_keikaku.pdf )
供給力:合計 1,680万 kW、原子力327万 kW、最大電力 1,557万 kW
東京電力(平成22年計画 http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu10_j/images/100331d.pdf )
供給力:合計 7,800万 kW、原子力 1,794万 kW、最大電力 5,910万 kW
北陸電力(2010年推定実績 http://www.rikuden.co.jp/press/attach/11033001.pdf )
供給力:合計 43万 kW、原子力 130万 kW、最大 291万 kW
中部電力(平成22年実績 http://www.chuden.co.jp/corporate/publicity/pub_release/press/__icsFiles/afieldfile/2011/03/23/032303.pdf )
供給力:合計 2,916万 kW、原子力 350万 kW、最大電力 2,698万 kW
関西電力(平成22年推定実績 http://www.kepco.co.jp/pressre/2011/0328-3_1j.html )
供給力:合計 3,428万 kW、原子力 891万 kW、最大電力 3,009万 kW
中国電力(平成22年推定実績 http://www.energia.co.jp/press/10/__icsFiles/afieldfile/2011/03/28/p110328-1a.pdf )
供給力:合計 1,226万 kW、原子力 88万 kW、最大電力 1,157万 kW
四国電力(平成22年実績見込 http://www.yonden.co.jp/press/re1103/1178014_1450.html )
供給力:合計 669万 kW、原子力 161万 kW、最大電力 572万 kW
九州電力(平成22年推定実績 http://www.kyuden.co.jp/library/pdf/press/2011/h110330-2.pdf )
供給力:合計 1,843万 kW、原子力 424万 kW、最大電力 1,676万 kW
13. ROM歴三年 — May 10, 2011 @01:09:54
ただし、他の発電施設建設を進めながら、計画的に停止・廃炉していかなければ、日本にとってかなりのマイナスとなると思います。
また、化石燃料に頼るにも、グリーンエネルギーを推進するにも、結構大きなリスクが発生することも予測出来ますね。
「省エネに対して工夫する余地はある」という意見は賛同できますが、「生活の質を落としても構わない」という意見は、国民の余生を削っても良いという意見と同等と思います。
14. ななせ たろう — May 10, 2011 @05:30:46
冷静な考えだと「私は」思っていますけど…。
「地震活性期」に突入しているというのはすべての地震学者が認めている事実だし〜。
「リスクコントロール」といっても、ゼロの桁が違いすぎませんかね?
15. ななせ たろう — May 10, 2011 @05:38:21
今話題の夏場の電力供給問題ですが、「最悪回避(日本完全アウト)」を前提にして、そこから遡って、今何をすべきかを考えるようにしたら、それこそ「日本人」のことだから、何とか「やりくり」できるんじゃないですかね?
「足りぬ足りぬは工夫が足りぬ」てか!
16. o — May 10, 2011 @05:20:40
地震からのリカバリに関してはわりと差異がありますね
17. ふぃっしゅ — May 10, 2011 @06:30:44
記憶で不確かなのですが、原子力資料情報室が2002年頃に出した東海大地震が起きて浜岡原発を直撃したら関東近隣も含めて1000万人近い人が被ばくするというような予測が使われていました。
福島の事故を目の当たりにした直後ですし、多くの人は原発に詳しい知識があるわけではないので原発は「止めれば安全になる」と、一刻も早くと思い署名していたのではないかと思います。
「原発を止める」とはどういうことなのか。
電力供給の影響だけでなく、原発施設の処理にかかる期間やリスク、環境、雇用、地域への影響など、一旦すべての考えられる問題を国は国民に解りやすく提示して意見を求める場を作ってはどうかと思います。
18. ななせ たろう — May 10, 2011 @08:33:20
ものごとわかっている人、現在目つき相当におっかないです。
気象学会が現在情報統制を敷いている「事実」はしっかり認識しておきましょう。
雨季(梅雨)以降、気圧配置が変わります。いつまでも西風が吹き続けてくれるわけではありません。
19. Isshocking — May 10, 2011 @09:32:23
>「原発を止める」とはどういうことなのか。
福島原発でも地震と同時に炉心は「停まって」いたわけですが、その後の冷却に支障ありで事故に至ったわけです。
原発というのは停止中でも相当な補機容量に電力を使い、これは結局火力発電とか別の系統を使うことになります。
炉心冷却に数年、その後燃料棒を抜き取ってさらに冷却、炉心解体までは数十年かかるわけですが、単なるビル解体と違って、解体にもまた原子炉の専門技術職というのが必要なので、彼らをどうやって養成するか、技術継承するかという課題もあります。
わたしなどは専門技術職は結局もの作りをしながらでないと実効的な知識は身につけられないので、原発は新規に造りながら古いのを壊していくしかないと思っています。
20. yoshi — May 10, 2011 @09:45:46
一企業である東電だけでは無理でしょう。国の責任というなら、最終的に税金が投入されるわけだし。関東圏だけでなく他圏の見直しも迫られつつある今、全国の問題ですよね。
また、地震・津波対策を、とクローズアップされていますが、自然災害だけでもそれだけではないのですが。
21. o — May 10, 2011 @11:01:10
22. さんちゃん — May 10, 2011 @14:01:26
●電力不足、全国的な問題に 浜岡原発停止で融通厳しく
http://www.asahi.com/business/update/0509/TKY201105090618.html
23. と — May 10, 2011 @14:47:00
・非常時の指揮命令系統が整理される:今回は、これがとりわけひどかったみたいなので。
・被害補償の確立:東電と国との駆け引きが無駄すぎます。
・原発立地などの一元管理:中電じゃなければ、浜岡には作らなかったでしょう。
・資金の流れの透明化:たくさんある基金などをまとめて原発に必要なコストを可視化する。そのうえで電力会社への卸値を決めればよいでしょう。
・安全対策の充実:浜岡を止めた程度で株主訴訟がどうのといった話になるようでは論外です。
立地を集中すると、送電コストが上がりリスクも高まりますが、安全対策に必要なコストは下がります。そこら辺を検討して最適化するためには、国有化が一番手っ取り早いと思います。
24. monoris2008 — May 10, 2011 @18:07:18
これを科学的に語る必要があります。
推進派の方々からもこういう所に依拠しての発言をよく聞きます。
おおざっぱな統計ではなくちゃんと因果関係を調べた上での議論なら大いにやるべきでしょう。
それこそ、放射線被曝の影響調査と同等かそれ以上に大事な研究だと思いますので、それ相応に厳密な検証が必要になります。
現時点での自分の見解は、できるだけそういうしわ寄せが行かないよう対策を打つことにこそ知恵と労力を使うべきではないかということです。
もっと言えば、全ての政策を進める際に絶対外せない大前提ですが、いままで十分に手が当てられて来たとは思えません。
25. sksk — May 10, 2011 @19:02:35
データのない(根拠のない)話を。
>すべての原発を止めうるというのが
原子力発電所を止めることが可能かどうかなら、可能だと思います。
単純に、発電を九電力会社がではなく利用者が行う(ローカル発電)ことにすれば。
ローカルな発電設備は、ガスタービン発電機、ディーゼル発電機、都市ガス等による燃料電池、等安定しているものはあるみたいだからそちらに移ればいいと思います。
しかし、どっちが安全かというと、電力会社の方が安全だと思いますが。
まあ、そのリスク(とコスト)を取って止めるのはチョット。
薄く広いリスクは低く見積もられて、濃く狭いリスクは高く見積もられるのかしら。
東北沖太平洋地震では2万人死んでいて、福島原子力発電所の事故ではだれも死んでいないのに。
チョットずれてると思いますが、別の話。
基本的に「核分裂炉」は「核融合炉」へのつなぎと考えられていたのですよね、今も。この際、核融合炉に向けての開発が加速するとか。
核融合炉になれば危険な放射性物質は使わない、核廃棄物(燃焼灰)はほぼ出ないし、燃料は発熱しないし、起動停止は核分裂より楽だし(多分)、・・
どうなんでしょうかね?めど、立ってないけど。
26. ROM歴三年 — May 10, 2011 @23:04:19
駅のエスカレーターが止まって難儀しているのは高齢者でしょう。
核融合だって長期間実用に耐えるにはD-D反応路ので行かなくてはなりませんし、これも中性子をドカドカだしますので、いまの原発の比ではないですが、核廃棄物は出ます。
He3-D反応炉は夢だと思います。
理想を言えば、日照量の安定した砂漠地帯での大規模太陽光発電−電気分解などによる水素燃料輸出サイクルが確立すればベストでないかと夢想しますが、国際情勢が恒久的安定化しなければ絵に描いた餅ですね。
現実的には日本における脱原発の代替発電の中心は、ガンタービンによる熱ハイブリッド発電しかないと思います。
日本にない資源をどう安定確保するための外交コスト・リソースはどれだけになるかと思うと、気が重くなりますね。
27. Katase — May 11, 2011 @00:06:52
>ローカルな発電設備は、ガスタービン発電機、ディーゼル発電機、都市ガス等による燃料電池、等安定しているものはあるみたいだからそちらに移ればいいと思います。
これらの発電で、不足分をちゃんと賄えるでしょうか?
みんなが発電の為の燃料を購入するとして、その分が充分に供給されのかという問題もあります。
火力発電所で不足分を賄うのに問題になっているのが燃料の調達ですが、結局根は同じ燃料調達の問題になってしまわないでしょうか?
同じ燃料を使うのでしたら、発電所の大規模な発電機の方に回した方が効率よく発電できるのではないかとも思います。
>東北沖太平洋地震では2万人死んでいて、福島原子力発電所の事故ではだれも死んでいないのに。
今回の地震と津波による被害者は多数に上っており、被災された方々は今も避難生活が続いて苦労されています。
それに加えて、原発事故が起こり、放出された放射性物質が広範囲に拡散し、直接地震と津波の影響を受けなかった地域にも被害をもたらしています。
原発事故はまだ収束していません。直接の死者は原発事故ではこれまでにいませんが、だからといって軽視していいものでは無いと思います。
警戒区域や計画的避難区域に住む方々は移動を命じられ、持ち出せるわずかな荷物だけを持ってその土地から出て避難生活をしています。大切に飼われていた家畜や可愛がられていたペット達の多くは連れ出せずに飼い主も泣く泣く置き去りにしてきています。大切に耕してきた田畑も放置しないといけません。
原発事故でこれまでの生活を捨てざるを得なくなった人達が大勢います。
住み慣れた土地を離ればらばらに避難することで、地元で培ってきた人間関係も寸断されてしまいます。
半減期の長い放射性セシウムなどで汚染された土地は、これから何十年にもわたってその影響が残りますので、避難を指定された地域の人達は元の家にいつ帰れるのかもまだよく分かりません。
避難の指定がされていないけれども比較的放射線量の高い地域もあり、そこに住む人達についても、放射性物質が将来に健康に与える影響を気にして不安を抱え込んでしまう人達もいるでしょう。
また、あってはならない事なのですが、福島出身というだけで言われない差別を受けている人達もいます。
大地震は短時間に甚大な被害をもたらしますが、原発事故はそれにより放出された放射性物質が後何十年と色々な方面で影響を出し続けるので、だらだらと長続きします。どちらも大きな災害です。
>基本的に「核分裂炉」は「核融合炉」へのつなぎと考えられていたのですよね、今も。この際、核融合炉に向けての開発が加速するとか。
「核融合炉」は、実現にはずっとほど遠いのではないでしょうか?
現時点で実現の可能性の低い技術に期待をするのは、残念ながら非現実的だろうと思います。
monoris2008さん
経済が落ち込むとたくさんの人が死ぬという話に関係するものとしては、参考までに「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書」が平成18年に内閣府経済社会総合研究所から出されています。
http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou020/hou018.html
>長期失業等を含む失業要因が、年齢階層別データ分析において、統計的に安定して有意に男性自殺率を増加させる方向に作用しかつ寄与度も大きかった。都道府県別年齢階層別データを用いた分析でも、失業率は統計的に安定して有意であった。したがって、98年以降の30歳代後半から60歳代前半の男性自殺率の急増に最も影響力があった要因は、失業あるいは失業率の増加に代表される雇用・経済環境の悪化である可能性が高い。
電力不足で工場の操業などが落ち込む状態が長く続けば、全体的な経済の状況が停滞して倒産する企業が増えたり、人員削減によるリストラで解雇されたりして失業者が増えると自殺者の増加にも繋がる恐れがあると思います。(不景気の時の働き盛りの年齢層の自殺者数は、病気による死亡数を上回ったりするので馬鹿になりません)
>また、都道府県別年齢階層別データの統計分析は、近所づきあいの頻度が高い地域で自殺率が低い傾向にあったことを不完全ながらも示している。
被災地から自治体ごと避難できたケースを除いて、個人や家族単位で地域の人達と離ればなれになる形で避難や移住をした人達は、それまで培ってきた近所づきあいを無くしてしまうので、新たな土地で人間関係を築くまで精神的な面でも大変だろうと思います。
原発事故による影響は現に深刻ですし、一方で定期点検中の原発の再起動を一切しなければ電力の供給に支障が出てしまい経済に与える打撃も無視できないと思います。
予想される地震の関係で一番危険性の高い浜岡原発がまず停止されますが、それに続く原発の停止については、既存の原発の安全対策をしながら原発以外の発電設備を整えつつ、(立地や老朽化などで)リスクの高い原発から順次段取り良く停止して脱原発を行っていくのが良いのではないかと思っています。
28. YMN — May 11, 2011 @00:29:56
>これを科学的に語る必要があります。
別に”科学的”と大仰なことを言うまでもなく、自明なそういう事例をいくつか(ひとつでも)挙げれば十分かと思います。
例えば校舎の耐震化が100%に届かなかったがために多数の人が死亡するリスクがあり、経済状態が良ければ難しいことではないでしょう。
29. FROY — May 11, 2011 @04:15:56
現在日本で行われている発電で主なものは、火力、水力、原子力ですが、
原子力は火力の一種として考えるべきだと私は思います。
私が思うのは、「原子力発電」vs「それ以外の発電」という考え方は古いと思うわけです。
発電方法は考え方一つでカテゴリもいろいろと変わって来るかと思います。
例えばここで、大きな括りとして「熱発電」と「非熱発電」と考えた場合、
原発と火力発電は同じカテゴリです。熱を得る燃料の違いだけです。
この燃料を一種類だけに頼ってしまえばリスクが高くなりますから、
様々な燃料を併用してリスクを分散するべきだというのはきくちさんと同じ考えです。
現在熱源とされている主な燃料は、
石炭、天然ガス、石油、ウランですが、このように分散してきた理由は、
どれかがダメになった場合に備えていたわけですよねぇ。
で、今回このうちのウランがダメになったと考えればよいのではないでしょうか。
こういう時のためにわざわざ分散していたわけですから。
緊急性と将来性とにわけて考えた場合、
まず緊急性を補うために他の燃料の比率を上げる。
そのうえで将来性を考えてウランの代替を探す。
私は、かなり単純な話しかしていないと思うのですが(^^;
30. ぴん — May 11, 2011 @05:32:57
私の友人に某メーカーの原発部門の人間がいるのですが、その受け売りです。
>基本的に「核分裂炉」は「核融合炉」へのつなぎと考えられていたのですよね、今も。この際、核融合炉に向けての開発が加速するとか
今の時点でも核融合に関する研究は盛んなようです。しかし、
「太陽で核融合が可能なのは、その強大な重力で水素(トリチウム)を閉じ込めることが出来るからなんだよね。その強大な重力の代わりに水素を閉じ込める方法が見つからない。おそらく未来永劫無理なのかもね」
との意見でした。
トリチウムの埋蔵量もそれほど多くなく、継続的に発電に利用することも難しいとのことです。
きくち May 11, 2011 @13:44:31
もし、今の問題にかこつけて核融合研究推進という話が出てきたら、それは嘘つきでしょうねえ
32. くろきげん — May 11, 2011 @05:15:41
まず
(A) 経済成長率が下がると失業率が上昇する傾向がある
という普遍的な教科書的事実があります。経済成長しているだけでは不十分です。十分な速さで経済を成長させないと失業者が増えます。失業率は景気の遅行指数であることがよく知られています。
さらに
(B) 日本では失業率が上がると自殺率も上がるという傾向が明確である
という事実もあります。ぼくのおおざっぱな見積もりでは失業率が1%上昇すると毎年4千人くらい余計に自殺で死ぬことになります。しかもこれは警察発表の自殺者数だけを考慮しての見積もりなので実態はもっとひどいはずです。
実は原発の話とは別に日本での失業率と自殺者数の高止まりは大問題です。1997年から1998年にかけて失業率が急上昇してその後は5%程度で高止まっています。警察発表の自殺者数もずっと年間3万人を超えています。そのうちの年間8千人程度は日本経済低迷が原因の失業率の上昇が原因で増えた自殺です。
このような状況が十数年間ずっと続いてしまっている原因について私は明確な意見を持っているのですが、その話はここでの話題とは直接関係ないので省略します。
経済が低迷すると生活が困窮する人が増えます。自殺を別にしても生活困窮が余命が短くするのは確実だと思います。これについても探せばきっと見積もりが見付かると思います。そもそも通常の感覚では生活が困窮すること自体が絶対に避けたい状況でしょう。
「経済もまた重要だ」と言うと「企業がお金儲けのために滅茶苦茶をやる」というような印象を持つ人が結構いるようですが、そういう話ではありません。それはあまりにもひどい誤解。
生活水準や人命にかかわるリスクについて判断する場合には「見落としているリスクがないかどうか、よく考えてみること」がとても重要だと思います。多数の人間が意見を持ち寄らないと見落としの危険性が高まると思います。「反原発派」「原発推進派」のようなくだらない分類は抜きで議論を進めないとまずいです。
個人的に今回の浜岡原発の停止の経済的害は大したことがないだろうと見積もっています(実は大して自信はない)。リーマンショックが原因で経済が低迷していた2009年夏には電力量ピーク値が低かったので問題無しでした。今回は大震災が原因の経済低迷で似たような感じできっと大丈夫だと思います。
ちなみにトヨタは震災前の生産水準を回復は11〜12月頃になるだろうと発表しています。夏にフル稼働はきっと無理でしょう。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201104/2011042200523
電力不足が原因で経済成長が鈍化することになるのは避けた方が良いです。ついでに述べておけばこのタイミングでの増税も非常にまずい。
33. FROY — May 11, 2011 @08:54:18
これもきくちさんがおっしゃっていることの一端かと思います。
なにごとも初動が大切かと私は思います。
私は、今後も原発を続けられるとは思っていません。
現段階で原発ありきを前提として考えれば初動は遅れると思います。
電力会社もその他の産業界も、ほとぼりが冷めれば再び原発を
動かせると内心で期待しているように感じます。
原発を止めたら再起動は無理だと考えれば、
もっと違ったアクションを起こしているはずです。
もし原発廃止を前提に考えるのであれば、
大規模工場などのように電気消費量が多いところでは、
自前での発電の準備を急ピッチで進めなければなりませんし、
電力会社に至っては、休眠設備の再起動と新たな発電所の新設に向けて
全力を注がなければなりません。
原発に対する好き嫌いといった個人的な好みの問題は置いといて、
原発はもうすぐなくなるという前提で考えることこそが
被害を最小限にする最大の方法だと私は思います。
ウランの代替エネルギーを考えるのはそれからで十分でしょう。
34. 匿名希・望 — May 11, 2011 @02:48:32
たまたまメイン産出国との関係が安定してるからって、それが無条件で続くと考えるのは、やはりお花畑の謗りを免れ無いな。
取り敢えず、現用で新設に対応できるのは天然ガスのガスタービンと石炭汽力の2つ。
ガスが優位なのは環境負荷。
石炭の優位はコストと資源安定性。
この方向性を推し進めるなら、ガスタービンのコストパフォーマンスを高めガス供給源の多様化を図るのと、石炭をより環境負荷の低い方法で利用できる様にするのと、両方やる方が良いでしょう。
もう少し先の話なら洋上で自然エネルギー発電をするのもありでしょう。
発電の不安定さは海水の電気分解で水素燃料を作って、それでもう一度発電をすれば、効率は落ちますが回避出来ます。
効率が許すなら、更に水素に炭素を添加してメタンにした方が扱い易くなるでしょうけど。
35. ツチノコ — May 11, 2011 @09:38:35
恐らく、このようなことを語るということは、未来を予測(予言)するということとほとんど同値ではないかと思うので、近い将来に可能である、というようなことは全く期待できないことではないかと思うのですね。
(あるいは、未来は決定されているかどうか、というような科学哲学的な話にもつながるのかも・・・)
(いわゆる)原発反対論者が事故のリスクは言っても、原発を止めた場合のリスクについて言わないのは、(皮肉な意味で)科学的な態度であるのかも・・・
36. SF物理マニア — May 11, 2011 @09:50:06
全く同意です。
核融合炉というのは、幻想に過ぎないと思います。
効率という面でも最悪ですし。
投入エネルギーに対して1.2倍エネルギーを出すわけですが
差し引き0.2のエネルギーしか出しません。
エネルギー収支面で既に破綻しています。
次世代原発として、トリウム塩溶融炉というのがあります。
これは、現状原発と比べて優位性をもつといわれています。
こちらのほうが筋がいいと思われるのですが、高速増殖炉と同様の危険性もあると思います。
37. こなみ — May 11, 2011 @12:24:31
> skskさん
>>ローカルな発電設備は、ガスタービン発電機、ディーゼル発電機、都市ガス等によ
>>る燃料電池、等安定しているものはあるみたいだからそちらに移ればいいと思います。
>これらの発電で、不足分をちゃんと賄えるでしょうか?
> 火力発電所で不足分を賄うのに問題になっているのが燃料の調達ですが、結局
>根は同じ燃料調達の問題になってしまわないでしょうか?
> 同じ燃料を使うのでしたら、発電所の大規模な発電機の方に回した方が効率
>よく発電できるのではないかとも思います。
これはちがいます。大規模な発電所は消費地と何百キロも離れた場所に作られるわけで,送電ロスと設備コストが無視できません。また,力学エネルギーへ変換されない分は廃熱として海と大気に捨てられています。
燃料を輸送して,オンサイトで発電することができれば,送電ロスはなくなります。また廃熱を温水製造に有効利用できるために,実質的な熱効率は格段に向上します。コージェネというやつです。
たとえば,LNG火力発電で得られた電気を使って消費地の家庭で風呂をわかした場合,もとの化学エネルギーの半分も利用できませんが,都市ガスのLNGで燃料電池を駆動した場合,廃熱だけでそのエネルギーをまかなえるはずで,全体としてのエネルギー効率は現時点で85%にも達しています。たとえばホンダのコージェネシステムについての記事を見てください。
http://www.honda.co.jp/factbook/power/cogene/02.html
ちなみに2005年に私が本でこのあたりを紹介したときには75%程度というラインでした。
エネルギー変換・利用技術はこのところ急速に発展しているし,うまい組み合わせを工夫するだけでも発電所何基にも相当する「エネルギー源」になるんだという観点が必要だと思いますね。
38. Katase — May 11, 2011 @13:15:04
解説をありがとうございます。
私は、浜岡原発停止でこの夏を乗り切る短期間のことを想定していました。他の原発の再起動をしなかった場合に、本格的なものは直ぐに設置は難しいですし、間に合わせの発電機などで急場をなんとか乗り切れるものかな?と思ったのです。それでこの夏の燃料供給の不足の懸念も出しました。
オンサイトでの都市ガスのLNGで燃料電池を駆動する方法ならば送電ロスも少ないし、エネルギー効率も高のですね。これから先の原発ではない発電設備の拡充の方法としては選択肢の1つになりそうですね。
オンサイトの発電としては、天候に左右されやすくて安定供給に問題はありますが、太陽電池なども将来的に公共施設を含む一般の建物に補助的に設置していくのも有りではないかと思っています。
良く晴れた日中の太陽がカンカンと照りつける時には、冷房などの電力の足しになるのではないでしょうか。
39. tadys — May 11, 2011 @15:33:35
これらをEVやHVにして、その電池をスマートグリッド化して送電網につなげば電力のピークカットが出来ます。
EVの電池容量は、日産自動車『リーフ』が24kWh、三菱自動車の『i-MiEV』が16kWhですから一般家庭の数時間〜半日分は有ります。
問題は電池の寿命と設備のコストですね。
自然エネルギーを大幅に採用するにはどうしても蓄電機能が必要になります。
大規模なものを小数作るよりは小規模なものを多数作る方がいいのじゃないでしょうか。
40. fisker — May 11, 2011 @16:01:47
横槍失礼します。コージェネシステムの効率が良いことに異論はありませんが、限られたスポットでその中だけの効率を見るのならともかく、大々的に導入して大規模発電所の送電エリア並みのスケールで全体の効率を大規模発電より高められるかというとかなり難しいのではないでしょうか。(そこまでは主張されていないかもしれませんが)
廃熱をいかに有効利用するかが支配的だと思いますが、そのためには小規模設備を分散配置することになり、設備費は割高になりそうです。燃料輸送については都市ガス利用であれば既存のインフラをそのまま使えそうですが、それ以外だとタンカーから直接荷下ろしできる大規模発電に分があります。尚、送電設備の維持コストについては知りませんが、送電ロスは日本の場合平均で5%未満です。
短期的にはコージェネで効率よくシステムが組める所だけでも導入するのは有効ですし、すべきだと思います。ただし、長期的には化石燃料依存からの脱却は不可避であり、将来のエネルギー源が結局大規模集約型になるのであれば送電インフラは維持せざるを得ないと思います。
原子力も現行の軽水炉については埋蔵資源に頼っている時点で持続可能ではなく、あくまでも再生可能エネルギーの本格普及までの繋ぎに過ぎません。ただ、それまでの50〜100年間を、たとえ効率が限りなく100%に近づいたとしても化石燃料で乗り切ることは現実的でなく、再生可能エネルギーがそれより早く十分な容量を賄えるようになる目処も立っていません。そのため、多くの国が繋ぎに原子力を利用する戦略を立てているわけです。この前提条件は、今も変わらないと思います。
41. と — May 11, 2011 @17:08:51
http://jp.mitsuichem.com/csr/special/special_002.htm
やはり液体燃料は使いでがありますし。
42. sksk — May 11, 2011 @18:05:22
お返事ありがとうございます。
ご指摘は基本的に同意します。そのような問題はあると思います。
でも、プラスもあるということで。
1)ローカル発電の話
発電量不足、燃料不足はその通りだと思います。それ以外に作れるかも問題?
どこまで「ローカル発電」を使うか、できる範囲で、との話です。まあ、私はデータないですからね。
ただ、リスクで核分裂発電を他に移すならそっちのリスクも考える必要があるのではと思います。
この辺りの詳細の話は、よくわかっていらっしゃる方が進めてくださってるようで・・・。
実用化するには、技術だけではなく、コスト、「時代の気分(流行?)」等の問題がありますね。
2)福島原子力発電所の事故の話
現在進行中の話でどうなるかわからないのはその通りですが、二桁になる可能性はないでしょう。
「警戒区域や計画的避難区域に住む方々・・・・地元で培ってきた人間関係も寸断されてしまいます。」
これは、東北沖太平洋地震でも基本おなじですよね。
「経済が落ち込むとたくさんの人が死ぬという話」と同じような考え方でしょう。
>どちらも大きな災害です。
福島事故は東北沖太平洋地震による二次災害の一つでは?
(事故っていうのはチョットかわいそうな気がするんですよね、基本的にミスはないような。事故ってミス有というニュアンスでしょう。)
だからいいというわけではないですが。(でも、そう聞こえますよね)
3)核融合炉の話
>「核融合炉」は、実現にはずっとほど遠いのではないでしょうか?
同意します。時間スケールが他の話とは違いますね。
核分裂炉の廃炉に数十年、廃燃料に数百年千年レベルの時間スケールですからそれと比べると、まあいいかなと思ったんですが。
根拠ないですが、何とかなるんじゃないかと。
余談ですが。
Katase さまと私は、同じことを反対側から見ている、言っているだけの違いが主のような。ちがうかな
まあ、それが大切。
私の書き方の問題が主だったりして、「ローカル発電」と「核融合」を一緒に入れたのが敗因かも。
43. Katase — May 11, 2011 @18:25:23
>Katase さまと私は、同じことを反対側から見ている、言っているだけの違いが主のような。ちがうかな
まあ、それが大切。
物事を1人の頭の中だけで考えるのではなくて、複数の人が多方面から考えて意見を出していくと、1人では思い付かなかったり見落としていた点に気付くことができるのが良い所だと思います。
kikulogはどんどん突っ込みが入りますが、私は逆にそれによって自分が独善に陥ったりするの避けられるので、逆に安心感?があったりします。
ローカル発電の話は、今年の夏場には準備期間も短くて間に合わないと思いますが、将来的に全体のバランスをとりながら適度に発電体系に組み込んでいくと良いのではないかと思います。複数の発電方式を試しながらバランス調整していくことで、日本にあった組み合わせが出来てくるのではないかなとも思います。
原発事故の被害の影響はこれから出てくるものも多いと思いますので、現時点で全ての被害の予想はまだ無理だと思いますが、そんなに軽いものではないだろうと予想しています。
被害の程度として直接の死者数も指標となりますが、必ずしも被害はそれだけでは計れないと思います。
原発による被災地の人達は生活の基盤を失ってしまった人も多く、その地域の経済にも影響しそうです。
チェルノブイリでは、生活の不安などのストレスからアルコールの摂取量や喫煙量が増えて体を壊してしまった人達も多いという調査結果が出ています。
また、経済が低迷すると自殺者が増えるということを先にコメントしましたが、同じ様な事が間接的な被害として起こる可能性もあります。
「経済が落ち込むとたくさんの人が死ぬという話」は、私の先のコメントで紹介した「自殺の経済社会的要因に関する調査研究報告書」に、各種統計などのデータと詳細な解析資料がリンクされていますので、もしまだでしたらぜひそちらにも目を通して下さい。
決して、印象だけで語られているのではありません。
>(事故っていうのはチョットかわいそうな気がするんですよね、基本的にミスはないような。事故ってミス有というニュアンスでしょう。)
今回の原発事故は、実は事前にかなり予想されていました。
・吉岡メモ「津波来襲時の事故評価」
http://www.shippai.org/images/html/news559/YoshiokaMemo36.pdf
>経産省傘下の原子力安全基盤機構が2008 年に「地震に係る確率論的安全評価手法の改良」という報告書で、BWR に津波が来襲した場合の研究結果を示しています。報告書には、砂丘を描くなど浜岡原発をイメージしたような図が示されていますが、検討結果は一般的なものなので、この報告書の予測シナリオと、今回の福島原発事故とを比較しました。結論から言うと、殆ど今回の福島原発事故を予測したような報告書です。
>上の例は津波を取り上げましたが、そもそも、地震の時にどうなるかについては、経産省傘下の原子力安全基盤機構が2006 年以降、原子炉の炉型毎に解析していて、下記は福島1 号機タイプの原発の例です。
>今回の福島原発事故では、圧力容器破損も格納容器破損も無かった訳ですが、ベント(排気)したので、結局は放射性物質が数十km に撒き散らされた、ということです。従って、今回の福島事故は、報告書シナリオよりは原子炉ダメージは少なかったものの、環境への影響は同じでした。
>「なんだ、ここまで分かっているのに、なぜ対応してこなかったのか?」と言われそうです。
比較の詳細については、リンク先を見て下さい。良くまとめて整理してあります。経産省傘下の原子力安全基盤機構が、かなりきちんと予測をしていたのに、なんで対応してこなかったのかと、私も思います。
今回の原発事故は、人災でもあると言えるのではないかと思います。
>核分裂炉の廃炉に数十年、廃燃料に数百年千年レベルの時間スケールですからそれと比べると、まあいいかなと思ったんですが。
根拠ないですが、何とかなるんじゃないかと。
諦めが悪いですね〜。差し迫った原発に変わる発電の問題にはとっても間に合わないでしようから、潔く諦めた方がいいと思います。
44. 普通の電気設計者 — May 11, 2011 @22:24:19
また、現行の製品においても、海外の生産委託業者を検討しろとも言われてます。そして一度海外移転してしまうと国内回帰することは極めて稀です。
今後、電力需給の不安定さ、電力価格の高騰、円高、税制などを考えると生産工場の海外移転は必須になるでしょう。
特に、在庫を持たないタイトなサプライチェーンを構成する際に電力需給により生産日程がずれる事は大きな打撃になります。
代替エネルギーが安定化する前に、現行の原発を止める事は、経済面での大きな打撃になるでしょう。
安全でも職が無くなってしまえば、困るのは自分達だと思うのですが。
45. かとう — May 11, 2011 @23:58:12
そうですよね。結局、それで苦しむのは弱者なのです。
地方の人が、工場一つ誘致する為にどれだけ苦労しているのか、そういった想像力が無いんですよ。結局、「原発なんて止めてしまえ」って言うのは、弱者を慮ったフリをして、自分の正義を振りかざしているだけにしか見えません。
46. ROM歴三年 — May 12, 2011 @00:08:06
取り敢えず、福島が収束しなければ、理性的な討議ができるとは思えません。
短期では無い袖は振れないけど、中期では何とかなりそうな気もします。
しかし、そこから国際を含む政治の世界になりそうなので・・・。
でも、直面しているのは短期での問題なんですよねえ。
暫し、ROMに戻ります。
47. 匿名希・望 — May 12, 2011 @00:30:58
根本は国内市場の落ち込みと円高でしょう。
取り敢えず、震災からの復興ついでの代替発電所建設需要は、景気自体には好材料でしょうけど。
#投資資金が充分なだけ供給されるならですが
48. FROY — May 12, 2011 @04:37:41
というか、原発が滑った転んだという前に、
今の状況を見てその努力を行うべきだと私は思います。
あと、鉄道会社には是非自前の発電施設を持ってもらいたいですね。
県や市町村といった自治体による発電も出てくるのではないでしょうか。
原発なくせとか、あるいは原発をなくすなも、
自分の正義を振りかざしているという点においては同じことでしょう。
往々にして戦争がそうであるように、
争いあうのは常に正義と正義ですからね(^^;
49. かとう — May 12, 2011 @09:05:12
これ、全部製造コストに響いてくるという事は理解していますよね?だからこそ、普通の電気設計者さんがおっしゃるように、海外へ出て行く企業が止まらないという話なんですが。
50. と — May 12, 2011 @09:57:14
同様に、電力の質の話も、海外と比べて、どれだけ質を落とせるのかということを、きちんと比較できないのであれば、あまり意味がないように思います。
51. かとう — May 12, 2011 @10:21:05
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-18561020101209
という記事も無視するような人は与太話の域ですね。
52. と — May 12, 2011 @10:30:48
その記事は知っていましたが、私には、その記事からあなたが言わんとすることを読み取れないので解説していただけますか。
それは、原発が普通に稼働中でも起こる事象ですよね?原発があってもそれに対する対策が必要と思うのですが、原発がなくなることでそのコストは劇的に上がるのですか?海外ではこのようなことは起こらないのですか?
53. 匿名希・望 — May 12, 2011 @10:50:18
第一、停電リスクを上げてまで原発の全停止をしろなんて誰も言って無いんだけど。
きくち May 13, 2011 @03:35:09
あなたは言ってないかもしれないけど
55. captnemo — May 12, 2011 @10:56:54
広瀬、いや猪瀬直樹の旧著には、電気鉄道発足当初、鉄道会社は電気を自前でつくり、余剰分は周辺の民家に売っていたことが、書いてあります。
電力売買自由の、その昔に戻ることがあれば、おこぼれの電力を買えるかもしれない鉄道沿線に住む優位性が増しますが。
56. e10go — May 12, 2011 @12:29:31
もっとも、自家発電を非常用とするなら設備費だけが問題になります。
57. 匿名希・望 — May 12, 2011 @18:35:51
経済活動規模を落とさない節電なんていくらでもあるのに。
少なくともそれを全部実行してそれでも足りない時に原発が必要というなら判るけど。
機械を省エネ型に買い換える(これは買い換え需要も発生して景気には+)、
問題なのはピーク電力なので活動時間を冷房需要のピーク時からずらす(まあシェスタですな)、
一日の中でずらすのが難しいなら地区毎に公休日を変更して週の中でずらす(海外移転を考える様な企業が時差や休日の違う国と取引できないなんて言わないよね?)。
口先で「現実」を唱える人間の頭の中にあるのが「単なる固定観念」以上ものでは無かった事は往々にしてありますけどね。
58. 普通の電気設計者 — May 12, 2011 @19:18:12
しかし、多くの日本企業は既にかなり節電を行っており、余裕は余り有りません。その為、新しい設備投資が必要で費用がかさみます。ここで事業投資&開発投資に対する減税措置は、国内に比べて海外の方が優遇されています。よって新しい設備投資をするなら海外を検討・・となるのです。また、市場自体も国内市場よりアジアが大きくなり、生産→市場を短くする為のサプライチェーンを考えると海外移転のメリットが増えます。
これが私の思い込みだけならむしろ嬉しいのですが、実際に会社の業務上で計画が動いてますし、関連他社の工場も移動計画を早めるとの話が出ております。
(実際には、取引先のA社が海外移転する為、関連業者に部品供給を短納期対応してもらう為に海外移転の依頼をしたりします。この話が来てます。)
59. 匿名希・望 — May 12, 2011 @19:48:01
>ここで事業投資&開発投資に対する減税措置は、国内に比べて海外の方が優遇されています。
>よって新しい設備投資をするなら海外を検討・・となるのです。
>また、市場自体も国内市場よりアジアが大きくなり、生産→市場を短くする為のサプライチェーンを考えると海外移転のメリットが増えます。
これって原発関係あります?
仮にあっても、それは9割の条件が揃ってた所に最期の一押しをしただけであって、原発問題なくても遅かれ早かれ発生する事象では?
60. FROY — May 12, 2011 @19:37:51
#55. e10go さん
レスポンスありがとうございます。
>これ、全部製造コストに響いてくるという事は理解していますよね?
>工場で使う電力を電力会社から買うのと自家発電で賄うのとでは、電力に対するコストが数倍から十数倍の開きがあります。
ええ、でもキリンのように自家発電でうまく賄ってる例もありますよね。
きっとこの夏は他社を出し抜いてビールを増産するでしょう(^^;
>もっとも、自家発電を非常用とするなら設備費だけが問題になります。
現存する電話会社や病院や放送局などはこれに当りますよね。
常用として使うことも可能でしょう。
要するに、問題となるのはコストだけということですよね。
#54. captnemoさん
レスポンスありがとうございます。
なるほど、そういう例もあるのですね。
大きな消費電力量もそうですが、計画停電の時のように、
鉄道が麻痺することの総合的なダメージを考えると、
やはり自家発電がいいのではないかと私は思います。
61. FROY — May 12, 2011 @20:02:24
例えば私の住む東京でいえば、東京電力で動いているのは
柏崎の4基だけとなりましたが、これを点検であれなんであれ止めた場合に、
今止めている他の原子炉を再起動出来るかといえば、
これは相当に難しいと思います。
自分達が使う電力ならまだしも、余所の電気の為に地元新潟の人が
そうそう簡単に動かさせてくれると思います?(^^;
ましてや福島となれば、もっとオオゴトです。
地元住民を説得出来るウルトラ級の秘策でもあれば話は別ですが。
「動かさなければ電気が足りないじゃないか」というのは東京の理屈であって、
地元の人達には全く関係ないわけですから。
ですから、少なくとも東京電力の原発停止はカウントダウンに入っていると私は思います。
原発に対する好き嫌いを言っている余裕はほとんどないように思います。
きくち May 13, 2011 @03:33:47
63. LEOPARD — May 12, 2011 @20:50:07
64. と — May 12, 2011 @20:44:01
65. さんちゃん — May 12, 2011 @21:17:30
このたび、顧客先の会社は休日を移動することをなりました。わが社はまだ協議中で何も決まっていませんが。
取りあえず、このまま行くと顧客と出勤日がずれることになり、顧客は出勤しているのにわが社は休み、顧客は休んでいるのに出勤ということになり、常駐している意味がなくなります。かといって3ヶ月もの間毎週休出では組合的にアウトだし。
輪番休出でもしようかという話も出ていますが、未だ対応は決まらず・・・・。
とりあえず、仕事の効率は悪くなるし、人件費は高くなるけど価格には反映できないし。まあ、確実に私のところは経済活動は悪くなっていますね。
66. TAN — May 12, 2011 @21:24:25
かとうさんのお答えはどうか分かりませんが、電力供給が不安定な所と安定している所の停電するリスクを比べた時
一瞬で200億円損をするなら、よりリスクが少ないであろう安定した所に、行きたがるのではないでしょうか?
匿名希・望さん
>機械を省エネ型に買い換える(これは買い換え需要も発生して景気には+)
ですが、工場で使うような機械って、数百万〜数千万円、下手をすると数億円掛かりますから、
省エネ型出てるから変えよう!なんて、家電みたいに簡単にはいかないと思います。
原発うんぬん以前からコスト削減の為に、昼間は最低限の明かりで作業している様な中小企業には、まず無理かと思います。
67. と — May 12, 2011 @22:01:34
事故の被害額はどちらかというと主題ではないのです。件の記事の事故は原発に問題がなかったとき、世界最高品質の電力といわれていたときに起きたものです。もちろん200億円の損は許容できないでしょうから、対策はとらないとといけないでしょう。この対策費用は原発があっても必要なものです。原発がとまったとき、この対策費用はどれだけ増えるか、その額を問題としています。
今回、福島原発は何兆円もの損害を出しました。もちろんこのような事故も許容できません。リスクを減らすためにTANさんは原発をすぐに全て止めてしまうでしょうか。私はこのような事故を起こさないだけの対策(もちろんなるべくリスクを増やさず脱原発できれば理想ですが)とそのコストを考えたほうがよいと思います。
68. 匿名希・望 — May 12, 2011 @21:53:32
制度変更を調整無しにバラバラにやってもそりゃ混乱の元です。
休日や休憩時間の制度変更には労働法の変更も必要でしょう。
どんな事もノーコストでは出来ませんが、よりコストパフォーマンスの良い方法はありますし、事が金で済む事なら、それは今の日本にとって一番安い買い物です。
日本程の国債発行余裕とそれを裏付ける潜在的供給力を持っている国を私は知りません。
69. okaby — May 12, 2011 @23:28:03
ところで、このレスをみると、原発を止めたら電力の安定供給ができなくなると否定的な意見が多数の出様ですが、たとえば、
小出裕章さん
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-10851020441.html
田中優さん
http://twitter.com/#!/farposting/status/66729791059005440
も電力は足りているという主張で私も納得していましたが、
問題点があるなら教えてもらえますか?
原発が電力供給に占める割合は2〜3割程度で、54基中40基が年内に停止すると8割電力供給が減るだろうけど、その程度なら、省電化や他の発電の代替、企業活動の調整(バカンスなど)で何とかならないでしょうか?
参考までに、あるMLで投降したものを転載しておきます。
↓
=============
国内原発54基の運転状況をみると
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110508k0000m040072000c.html
震災で停止中が14基
定期検査などで停止中が18基(13ヵ月に1度停止させるそうです。)
浜岡原発2基も含めて年内に10基の停止見通し
となるようで、
少なくとも停止中の原発を徹底して総点検すれば、たいていはボロが出てくるでしょうから、再稼働は無理になるんじゃないでしょうか?
定期検査などで停止中の原発の再稼働も中止に追い込まれば、42基が停止で、稼働中は12基になります。
(計算あってますよね?)
毎日新聞の記事では、
<国内の商業炉の設備容量は計4884.7万キロワットと、発電設備全体の約17%を占めるが、定検中の原発の再稼働が遅れれば、全国の原発の8割超が停止状態になりかねない。>
とのことですが、17%の8割なら、単純計算すれば13.6%なので、これぐらいの省電化はいまから頑張ってもなんとかなるのでは?
原発をすぐにゼロにするのは大変だけど、40基以上を止めることは世論と運動いかんによって十分実現可能なように思えます。
ただし、総発電量に対する原子力発電量の割合は西日本の方が高く、とくに関西電力は2009年で53.6%(今日観たテレビでは現在は43%とか言っていたような)
http://eurofactory.dtiblog.com/blog-entry-733.html
半分を原発に依存している関西人はちょっちきついかもね。
70. masudako — May 13, 2011 @03:00:39
火力発電をいっぱいに使えば、原子力発電所が止まったぶん全部は無理だと思いますがかなりの部分は補えます。しかし需要の変動や点検などに対応する余裕がなくなります。それで、需要のピークでの節電が必要です。また、化石燃料の消費がふえます。二酸化炭素排出の影響をひとまず別にしても、燃料代の費用がかさむことになります。
71. TuH — May 13, 2011 @02:53:14
>…かなりきちんと予測をしていたのに、なんで対応してこなかったのかと、私も思います。
>
>今回の原発事故は、人災でもあると言えるのではないかと思います。
2006年でも2008年でもかまいませんが,それらの報告書類が提出されてから,
・その妥当性を検討し,
・緊急性を評価した後,
・予算を作成,発注し,
・工事が終了する
のが,2011年03月11日に間に合ったとの考えなのですね。
72. 匿名希・望 — May 13, 2011 @00:19:02
別に私は今すぐ全廃とかは考えてませんので、経済の悪影響を最小限に抑える範囲の節電をやって、可能な限りの火力発電所増設を国庫からの融資で行い、それでも足りない分だけリスクの低い順に再稼働させれば良いと思ってます。
でも、火力の稼働率をピーク時だけでも100%にするのは、緊急時の余裕を考えれば無茶過ぎです。
73. fei — May 13, 2011 @07:42:00
> 2006年でも2008年でもかまいませんが,それらの報告書類が提出されてから,
> ・その妥当性を検討し,
> ・緊急性を評価した後,
> ・予算を作成,発注し,
> ・工事が終了する
> のが,2011年03月11日に間に合ったとの考えなのですね。
間に合ったかどうかは分かりませんが、少なくとも震災から2ヶ月で、各地の原発で電源車の配備が進められているという報道があります。
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80511.html
そもそも、間に合う、間に合わない以前に、報告書を受けて、「その妥当性を評価し..」以下のプロセスはまともに始まっていたのでしょうか?
74. Katase — May 13, 2011 @07:56:37
>2011年03月11日に間に合ったとの考えなのですね。
2008年の報告書から、2年と少しありました。
例えば、福島原発の事故があったことから、浜岡原発では2〜3年後に対策が終了できるとしていました。
【ミニ解説・浜岡原発 運転停止要請の背景は】
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/81126.html
原発事故後から2ヶ月間で、
・津波で電源が喪失する事故を想定して、非常用の発電装置を原子炉建屋の屋上に設置。
・原子炉の水位を維持するための持ち運びができるポンプを配備。
といった緊急の対策ができています。
そして、再来年までには、
・原子炉を継続して冷やすための容量の大きい非常用発電機を高台に設置。
・砂丘と原子炉建屋の間に海抜12メートル以上の壁を設置。
などの対策ができるとしています。
報告書で指摘されていた危険性をきちんと認識していれば、この例にあげた程度の対策ならば、その報告書が出されてから福島原発の事故が起こるまでの間に対応できたのではないかと思います。
75. Ely — May 13, 2011 @10:38:26
私は間に合わなかったんじゃないかと思います。
各原発の電源車配備や浜岡原発の緊急対策は、今回の事故を受けての話なので。
2008年の報告書を真摯に受け止めたとしても、いつおこるかわからない災害に対して、
2009年度は調査費。その結果対策が必要とされれば2010年度から2〜3年の間に工事等施工。
ぐらいのペースだったのではないでしょうか。
他に優先したい項目があれば、さらに後回しにされる可能性もあります。
ただ、報告書を受けて対策を進めている状況だったなら、災害に間に合わなかったとしてももう少し批判は抑えられたかも知れません。
76. Katase — May 13, 2011 @11:16:19
>他に優先したい項目があれば、さらに後回しにされる可能性もあります。
ちゃんと予想できていた地震と津波によって起こる事故の対策よりも、他の事を優先してしまったのですよね。
そして何もしなかった。
その結果が福島原発の事故の現状。
少しでも何か対策をしていれば、例えば非常用の発電装置の設置位置を変えるという簡単な対策だけでも、今の様な状況になっていなかった可能性があると思います。
危険の指摘を軽視してしまい、何もしなかった失敗だと思います。
被害総額は約2兆円ともそれ以上とも言われています。
大地震などめったに起こらないと過信して、ほんのちょっとの対策もせずに怠ってしまったのは、やはり問題があったろうと思います。
77. 技術開発者 — May 13, 2011 @12:26:34
>大地震などめったに起こらないと過信して、ほんのちょっとの対策もせずに怠ってしまったのは、やはり問題があったろうと思います。
事故がおきた後の解析では、「これさえしておけば」は出てきますし、それ自体は間違いでは無いんです。ただね、事故の再発防止視点で言うとできるだけ広くシステムを見直す必要があるんですね。例えば、福島第2原発とか、女川とか、東通では、非常用発電が死ななかったのでセーフではあったんですね。Kataseさんにしてみると、「これらの原発はセーフだったのだから、今までどおりで構わない」と思われるかも知れないですね。でも、私みたいな人間から見ると、これらの原発でも非常用発電に頼って何日も炉心を冷やす期間が有ったわけで、これはとても危険な状態と思うわけです。
もともとの考え方の中に、今回の東北地方の太平洋側でおきたような「停電が何日もの長期間続く」という想定が無いわけです。大規模な停電が起きても8時間とか24時間以内にはどこかの変電所から緊急停止した原発に送電再開出来るという想定で緊急システムも作ってきた面があります。今後も原発を使い続けるつもりなら、その「想定」の部分から見直す必要があると思っている訳ですね。
そういう意味で言うと、大地震の頻度の見誤りというよりも大地震や大津波でおきる広域被害の見積もりが甘かったと考えている面があります。このあたり、原発の安全設計の概念を理解して貰えないと理解いただけないない部分なんですが、確かに非常用発電機が生きていた原子炉では事故は防げた訳だけど、もともとそんなに長時間非常用発電のみで耐える事は考えていなくて、たまたま、非常用発電機が頑張り続けてくれたから事故にならなかった様な見方をしている訳です。或る意味、余震が来るたびに他の原発で非常用発電機に障害が出ないかと冷や冷やしながら見ていた面が私なんかにはあるんですね。
なんていうかな、「責任追及視点」でものを見ると「何で非常用発電装置が死んだのだ」は大きなポイントではあるわけです。ただ、その事にあまり強くこだわると、もともとの概念である「非常用装置は使わないで済む事が最も良く、非常用装置のみでしのぐ期間は短いにこしたことはない」なんて概念が出るところを失う面がありましてね。或る意味、今後も源力発電を行う気なら、原発への送電網の強化というのが必要になるんですね。これまでの対策というのは「多重化で充分」と考えられていた面があるんです。複数の電力網から供給を受けていれば、どれかは生きのびるだろう、たとえ全部失われても短時間で復旧は可能だろう、なんて想定です。そしてその短時間の外部電源喪失の間をしのぐためのものとして、非常用発電であったり、直流電源(要は電池です)であったり、最後の手段としての隔離時炉心冷却装置(原子炉の余熱で冷却水ポンプを動かす装置です)があったという事です。
なんていうか、理解して貰えないかも知れないけど、今回の地震とか津波の予想は、人によってはしていた人が居たかもしれないんですが、特別個圧の送電網がここまで大きな被害を受けて、広域の長時間停電が起きる事を予想した人というのを私は知らないんですね。
なんていうかな、「再発防止視点」で見るときに、「大地震や大津波を予想しなかった」という見方だけではなく、その大地震や大津波でおきる原発の周辺も含めた大きな被害の予想想定をする必要があるわけです。それができていなかったと私は思っています。
78. fisker — May 13, 2011 @13:34:39
いかなる設備の設計も、防災計画の立案も、ある条件を想定してその範囲で要求を満たすようにしています。想定を超える事態では要求を満たせないのは当たり前です。したがって、問われるべきは想定の妥当性ということになりますが、どこまで想定するかというのはそれを実現するコストと想定を超えた場合のリスクのバランスで判断されます。
こう言うと、経済性のために安全を犠牲にするのはケシカラン、といった反応をする方が必ずおられますが、社会資本整備においては完全に的外れです。社会資本整備には莫大な費用と長い時間が掛かるのが普通で、その費用の少なくとも一部は最終的に国民が負担しています。割り当てられた枠を超えてリソース(直接的には予算)を投入するには、他のどこかを犠牲にする必要があります。例えば社会保障を犠牲にした場合、それが国民の「安全」に直接打撃を与えることは簡単に想像できると思いますが、定量的な評価は難しい(一応手法はある)ものの、純粋に民間部門の業績悪化といった「犠牲」であっても、規模が大きくなれば社会全体に大きな影響があり、その影響は当然国民の福祉、つまり「安全」にも及びます。より大規模な災害を「想定できた」ということと「想定するべきだった」ということは完全に別のことです。
例えば、大雨による河川の大規模氾濫は長期的な予測が困難な自然現象であり、一旦起これば甚大な人的・経済的被害をもたらすことが経験とともに知られています。そのため、「100年に1度」の規模の大雨を「想定」し、それに耐えうる設備を整備することが決められています。多くの費用が掛かるため数十年掛けて整備する計画ですが、実績は計画の半分程度しか進捗していません。計画通り進めるには税金を増やすか、他の保障を削るか、どこかの民間部門に「泣いて」もらうかしかありませんが、いずれも弊害の方が大きいと(有権者が)判断し、結果的により緊急性が低いと判断されたものは遅れていくしかありません。政府が強力な強制力を持つ政治体制であれば強引に計画を進めることはできるでしょうが、その結果は洪水による被害の期待値を上回る人的・経済的被害がより確定的にもたらされることになるでしょう。
国民(有権者)や市場は常に合理的判断で動くわけではないので、特に長期的な計画についてはある程度の道しるべが必要であり、そこは政治の責任です。長期計画は定期的に、あるいは新たな知見が明らかになれば見直し、国民はそれをチェックすべきですが、十分な判断材料が揃っておらず冷静な判断ができない状態で安易に方針を変更することには慎重であるべきです。
今回の大震災やそれによる津波は想定を超える規模でしたが、どれだけの規模を想定したとしてもそれを超える事象が発生する可能性はゼロにはならず、想定を超えたこと(より大きな規模を想定しなかったこと)自体は問題ではありません。今後の防災計画では今回の経験を参考にすべきですが、今後全ての社会資本を同じ規模の地震、津波に耐えられるようにするべきだということにはなりません。繰り返しになりますが、強権的にやってできなくはないでしょうがそれは国民の安全には寄与しません。(高い確率で逆方向に寄与します)
原子力発電の安全設計については、想定を超える事態においては設備の一部が破損し、少量の放射性物質が環境中に漏洩することを認めています。それでも、放射性物質の多重防護が破れて環境中に大量の放射性物質が放出される可能性は十分に低く抑えることが求められ、IAEAの基準では炉心損傷の確率を1炉、1年当たり10^-6(100万分の1)以下とすることとしています。確率の計算は確率論的安全性解析(PSA)を用い、過酷事故に至るあらゆるシナリオを想定してそれぞれの複合事象の確率を全て積算して求めます。今回の災害では、想定していなかったシナリオで事故に至りました。このことは、地震、津波の規模が想定外だったことよりも遙かに大きな問題です。人間が事前に想像できることには限りがあり、想像もしていなかったシナリオが発生する可能性は今後も否定できません。これはPSAの限界とも言え、10^-6という確率をそのまま信じることはできないでしょう。
今回のシナリオに関しては、その想定さえできていれば非常用電源の多重化という、比較的安価・短期間で取れる対策で過酷事故に至る確率を大きく下げることができ、事業者としてもためらわず対策していたでしょう。残念ながら、実際に起こるまで誰も予想できなかったのが問題なのです。大規模な地震、津波災害の危険性が事前に指摘されていたというのは事実ですが、外部電源の復旧が間に合うと判断したために緊急性は低いとされました。そして、当時の知見ではその判断は妥当なのです。河川堤防の決壊も実際に起これば防災計画の不備が盛んに指摘されますが、普段は逆に「無駄な」土建工事と非難されるものです。
人類が原子力発電を初めてまだ半世紀程度ですが、何度かの事故や数多くの事故には至らなかった事象の経験を蓄積し、原子力発電の安全性は飛躍的に高まってきました。今回の災害や福島第一発電所の事故に至ったシナリオを今後の原子力安全に活かす取り組みは既に始まっており、今後の原子力はさらに安全になるでしょう。
人間が直感として感じる「安心」と、確率・統計論で数学的に算出できる「安全」にはしばしば大きなずれがあります。自動車と飛行機を比べると、事故による犠牲者の絶対数でも、移動距離当たりの犠牲者数でも自動車の方が圧倒的に多く、飛行機が遙かに「安全」であることはよく知られています。それでもなお、自動車は平気なのに飛行機に乗ることを「不安」に感じる人が多いというのは分かりやすい例でしょう。
原子力発電による死者は、チェルノブイリの事故による死者を国連レポートの4000人とした場合発電量1TWh(テラワット時)あたり0.04人です。100倍の40万人だとしても4人/TWhです。これは天然ガス発電による死者数と同程度です。石油火力では36人/TWh、石炭火力は世界平均で161人/TWh、中国に限れば278人/TWhの死者を出しています。主に大気汚染による影響だそうです。水力発電による死者は0.1人/TWh程度ですが、中国の板橋ダム決壊事故(17,000人死亡)の影響を加味すると1.4人/TWhになります。
発電量当たりの死者数だけで安全性を評価できるわけではありませんが、直感による「不安」や「恐怖」だけを根拠に安易に原子力発電からの脱却を図った場合、その結果が必ずしも現在および将来の国民の「安全」には繋がらないことはきちんと理解しておくべきだと考えます。
79. Katase — May 13, 2011 @14:03:54
私は、何が起きても100%完璧な対策をしておけなどとは書いていません。
ちゃんと津波による被害の程度がかなり正確に予測されていたのに、対策として1つも手を付けていなかったことを問題にしています。
この予測をした報告書については、再度紹介しますが次を参考にして下さい。
・吉岡メモ「津波来襲時の事故評価」
http://www.shippai.org/images/html/news559/YoshiokaMemo36.pdf
地震と津波は何処の原発で起きるか予想できないので、全ての原発で対策をとっておく必要がありますが、予算を少し回して、非常用電源の確保が出来る様に設置位置を移動するだけでもいいし、別の対策でもいいし、何か1つでもやっておかなかった姿勢について「怠慢」だとしています。
「想定に対して完璧な対策」をするか「そんなの無理だ」とかという極端な話に持って行かれると結局これまでありがちだった論争と同じです。
私が言っているのは「できる範囲で」という中間です。
「予想できていなかった」のではなく「予想できていた」のですし、手を出せる範囲でいいので何らかのアクショクンを少しでもとっていなかったのが問題だと思っています。
報告が指摘した危険性を認識して、出来る範囲の対策を一応とっていたのに、それでもやっぱり無理だったのでしたらまだマシだと思います。
80. pasta — May 13, 2011 @15:21:42
81. fei — May 13, 2011 @16:03:03
おっしゃることは一般論としては了解できますし、特に反論もありません。ただし、今回の事故のような個別の事例について、一般論で想定外であったと結論付けるのが適切であるとは思いませんし、現時点では時期尚早であろうと考えます。
特にここで結論を出すつもりもなければ、それだけの材料を持っているわけでもないのですが、ただ少なくとも事故の危険性を予見した国会質問なり、報告書なりがあったのは事実なわけです。ですから、今回の事態は、最低限その質問や報告書が国や東電にどう受け止められて、どういう議論・検討がなされて、どういう結論が出されたのかということを議事録などを精査した上で判断すべきことだと思います。
さらに、この論点は、国や東電の責任追及というだけでなく、今後原発に関して新たなリスク(例えば外国での事故とか過去の地震や津波の記録、活断層の発見、老朽化に伴うリスクなど)が発見された場合に、国なり電力会社なりがどのような対応を取ることができるのかということにもつながってきます。つまり、原発の運営体制が、外部から指摘されたリスクを適切に評価して、迅速に対応を取ることができるものであるのか、実際に事故が起きてからでないと対応できないものであるのかということです。この点は、今後原発の存廃を考える上で重要な判断材料の一つであろうと思います。
また、直観として感じる「安心」と、確率・統計論で算出できる「安全」が乖離することがあるという点は同意しますが、この点も必ずしも「安全」が正しくて「安心」が間違っているという単純なものではありません。人間は全ての事態を数値化できるわけではありませんから、確率・統計的計算できる状態に持っていった時点で、いろいろなものが捨象されます。例えば今回の被害を、被害額として金銭的に見る場合、お金に換算できない部分は捨象されます。安全と安心が乖離するのには、それなりの理由がある場合も多いです。
例えば、今回の事故の場合、死者の数で比較すれば、確かに被曝による死者は出ていないので、地震の方がはるかに大きな被害のようにも見えます。しかし、現時点で避難所生活を余儀なくされている人の数を見ると、
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/05/20110511t73013.htm
地震・津波の被害は3県中最も少なかった福島が、全体の半分近くを占めています。
あまり安易な図式化は危険だとは思いますが、一般的に個人がこうした大規模災害に対処していくプロセスは、失なったものと手元に残ったものを精査して、それを現実として受け入れた上で、次の選択に向かっていくという段階を踏みます。もちろん、個人差もありますし、失なったものが大き過ぎで現実として受け入れられない人もたくさんいると思いますが、原発地域以外の被災者の方々は、次の選択のスタートラインに立てる状況にはなっていると思いますし、実際に復興や新たな道に進み始めている人もたくさんいると思います。
これに対して、原発20km圏内の8万人とも言われる被災者の方々は、先日ようやく92人の方について2時間の一時帰宅が許されたという状況です。つまり、自分が何を失なって何が手元に残ってということすらわからない、選択のスタートラインにすら立てない状況です。今後もいつになったらスタートラインに立てるのかすら明らかになっていません。
以上のように、地震の被害と原発の被害はそもそも質が違うのであり、死者数だけで比較すると上記のような問題は捨象されてしまします。今回の事故の場合は捨象される被害があまりに大きいため、死者数の比較による被害規模の検討は全く不適切であると思います。
82. ブランク永井 — May 13, 2011 @15:49:17
違和感を感じるべきは、むしろ、「想定外」という言葉を錦の御旗にして、その適用範囲を都合のよいように広げてしまうことではないかな。津波の規模は確かに想定外であったかもしれませんが、津波襲来以前、そして襲来以後の対応が適切であったかどうかは、「想定外」とは別の視点でも検証されなければならないでしょう。Kataseさんの指摘自体は妥当であると思います。
83. Katase — May 13, 2011 @15:50:24
>なんていうか、理解して貰えないかも知れないけど、今回の地震とか津波の予想は、人によってはしていた人が居たかもしれないんですが、
私が予測していたとする報告書は、民間人が私的に出してた様なものではなくて、「経産省傘下の原子力安全基盤機構」という国の専門機関が正式に出していたものです。
「人によってはしていた人が居たかもしれないんですが」というのとはレベルが違うものです。
タイトルが吉岡メモとなっているので、吉岡さんの個人的メモだと勘違いをなさったかも知れません。見落とされていると思いますので、先のコメントにもリンクを貼りましたのでご確認下さい。
84. disraff — May 13, 2011 @16:47:16
横から口を挟みますが、技術開発者さんが吉岡メモの何たるかをご存じない、というのはかなりありえない推測だと思います。そのコメントのポイントは、責任追及視点ばかりでなく再発防止視点からも考えてみてはいかがか、という事ではないかと。
85. Katase — May 13, 2011 @17:06:19
そうですね。技術開発者さんが、有名な「吉岡メモ」を知らないはずはないでしょうね。うっかりしてました。
86. sksk — May 13, 2011 @17:15:13
ちょっと、話が通じていないような。
(私の書き方下手、省略の仕方がまずい?)
単純いうと「想定外のことを「過失(ミス)」とするのはおかしい」です。
何かを決定するためには;
1)「Aをするしない」ためには、(Aによる結果)「B1,B(n)を想定する」必要がある。
2)1)のために「B1を想定する」には「「B1を想定するしないことによるプラスマイナスCを想定する」、でB(n)まで検討。
3)B(n-x)を想定することを決める。B(x)は想定しないことにしたB。
4)「Aをするしない」ためには「「B(n-x)を想定するプラスマイナスD1,D2etcを想定する」
5)「Aをするしない」ことを決定する。
(1-5は明確に分かれているわけではないでしょうけど)
で、Kataseさまのあげている話は1)の話「B(n)を想定する」ですよね。
私の言ってるのは2)の話「B(n-x)を想定する」です。
今回の地震津波はB(n-x)ではなくB(x)に分類されている。
B(x)については想定されていても、それに対応できないからと言って「過失」ではないでしょう。
(津波は防津波堤で防ぐのでB(x)査定かな)
なぜ、B(x)に想定したかという話になりますが、それは
今回の地震津波による、「2万人の死者」の想定がされていないことと同じでしょう。このレベルの地震津波は想定外判定B(x)。
どちらも、想定していないのは「過失」だ、という判断もありますけど。
まあ、発電所に対するAhと2万人の死者に対するAoが同じ想定基準である必然性という話もあります。
説明下手だけど、こんなのでわかります?
まあ、これは「過失」の話で「責任」、「補償」の話ではないですけど
この何を「想定するかしないか」の話は、本題の「再起動」にもつながるわで、って何とか本題に戻ったかな。
87. sksk — May 13, 2011 @17:20:34
お返事ありがとうございます。
>トリチウムの埋蔵量もそれほど多くなく、継続的に発電に利用することも難しいとのことです。
トリチリウムの半減期は12年ぐらいみたいですね。量は海水からで問題ないでしょうけど、海水から取り出すのは簡単にはいかないみたいだけど。
でも、D-T以外にD-Dとかもあるみたいだし。まあ、50年100年のはなしですから。
今さらの返事ですいません。主題ずれみたいですね、この話。
88. Katase — May 13, 2011 @17:19:12
>単純いうと「想定外のことを「過失(ミス)」とするのはおかしい」です。
「想定内」だったんですよね。読んで下さい。
「津波来襲時の事故評価」
http://www.shippai.org/images/html/news559/YoshiokaMemo36.pdf
89. かとう — May 13, 2011 @17:26:24
それは想定外です。
リスクマネジメント上の「想定」とKataseさんが使っている日本語の「想定」の意味が違うと、skskさん他、みなさんが言っています。
90. Ely — May 13, 2011 @17:27:07
http://www.jnes.go.jp/content/000117490.pdf
91. かとう — May 13, 2011 @17:28:35
92. かとう — May 13, 2011 @17:31:46
>本報告書の複製、転載、引用には、当機構の承認が必要です。
引用に著作権者の承認が必要なんて、何処の国の著作権法なんだ?
著作権とは、著作物の「文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」事が目的なので、公正な利用である引用は認められてるんです。
93. Katase — May 13, 2011 @17:59:23
紹介した吉岡メモ「津波来襲時の事故評価」に記載されているのは、紹介したリンク先を見て頂けたら分かると思いますが、
・2008年(平成20年)「地震に係る確率論的安全評価手法の改良」←こちらが主
・2010年(平成22年)「地震時レベル2PSAの解析(BWR)」
です。
平成21年度 「地震に係る確率論的安全評価手法の改良=BWRの事故シーケンスの試解析=」ではありません。
また、私が吉岡メモの「津波来襲時の事故評価」を資料として出したのは、
skskさんの
>福島事故は東北沖太平洋地震による二次災害の一つでは?
(事故っていうのはチョットかわいそうな気がするんですよね、基本的にミスはないような。事故ってミス有というニュアンスでしょう。)
東電には事故というのもかわいそうであり、ミスは無いとされた事に対して、そうとも言えないのでは?ということで参考までに出しました。
話がズレてきてしまっていると思うのですが、
他の方々も、同じ様に東電にはミスが無かったとお考えでしょうか?
※発端は、東電にはミスがあったか無かったかというのが論点です。
94. かとう — May 13, 2011 @18:14:09
をざっと見てきましたが、あるイベントに対して、各事故の発生確率は出ていますが、これだけをもって「想定」って言う人は想定の意味を解ってないですね。
それらのイベントがどの程度の確率で発生するのか、その各事故に対して、どの程度の損害が発生するのか、その各事故に対してどの様な対策案がありそれらのコストはどの程度か。
それらを全て勘案した後に、想定するかしないかの判断が下されるわけです。
平成21年度時点でのリスクマネジメントに必要な基礎資料の一つがこれだったとは言えますが、これだけで今回の事故が防ぎえたかどうかの判断は不可能です。
これで十分だという人は、自分が全能者(神)だと思っているとしか思えないです。
95. かとう — May 13, 2011 @18:20:45
>他の方々も、同じ様に東電にはミスが無かったとお考えでしょうか?
>
>※発端は、東電にはミスがあったか無かったかというのが論点です。
事故後の対応に細かいミスがあったかどうかでいえば、あったと思います。
が、事故前にミスがあったとは思えません。
96. Katase — May 13, 2011 @18:41:39
私の前のコメントに書いてある通り、Elyさんが出されたのは別の報告書です。
吉岡メモ「津波来襲時の事故評価」の方をお読み下さい。
97. 技術開発者 — May 13, 2011 @17:21:57
なんていうかな、別に電力会社の肩を持つ気は無いのだけど、基本として「外部電源喪失」という想定はあったし、その時に「1炉あたり複数基」ある非常用発電機が動かないという「全交流電源喪失」の想定もあった訳です。だからこそ「隔離時炉心冷却装置」という炉の余熱でポンプを回すシステムまで作って居たわけですからね。問題はその喪失の時間想定なんです。特に「隔離時炉心冷却装置」に関しては「長時間は駆動出来ない」ということを前提とした最後の安全装置なんですね。緊急停止後の炉心は稼働時の7%くらいの熱を出しますから、その熱量で動くように設計していて、頑張って水を入れて炉の出す熱量が下がると動けなくものなんですね。設計要件からすると8時間を超えれば動作が危なくなる装置です。考え方としては、その時間内に非常用発電機を動くようにしたり、あるいは外部からの電力を取り戻すという考え方なんですね。
現実を考えると、1号炉ではこの「隔離時炉心冷却装置」が動きませんでした。これについては非常に大きな問題です。想定内の事がおきたのに対応出来なかった訳ですからね。2号炉、3号炉についてはだいたい20〜30時間くらいこの装置が頑張ったけど力尽きた感じです。問題は、その20〜30時間の間に非常用発電機の回復ができなかった、つまり想定以上のダメージを複数の非常用発電機が被ったということで、これについてはKataseさんが言われるように設置場所の変更とかを事前にやっておけば防げた可能性はある訳ですね。でも、ここで忘れられやすいのですが、この時間の間に外部電源が回復しても結果としては同じなんですね。というか現実の対応としては、外部電源の復旧を考える方が正道だろうと思います。この複数の変電所からの供給が一斉に止まり、さらにその回復に時間が掛かったという事もまた、今回の事故における「想定外」のことだったことと考えて欲しいわけです。
なんていうかな、「津波がきたから非常用発電も失いました」という視点からは「非常用発電をもっと津波に強くしよう」しか結論は無いし、kataseさんは、「それで充分」とお考えになると思うのだけど、私にしてみると、「多重の外部送電網はなぜ、長時間にわたり回復しなかったのか」についても考えて、その対策をすべきだろうと考えている訳です。それが「再発防止視点」というものだと言いたい面があります。例えば地震・津波時に原発をとりまく送電網はどのような被害を被り、どの程度の期間、原発への送電がストップするかを想定する事が甘かったと思っている訳です。
98. FROY — May 13, 2011 @18:36:00
とりあえず日本全体を考えると話がぼやけそうなので、
首都圏に絞って考えた場合、当面の緊急策として私が考えるのは、
1.時間を稼ぐ
2.電力を確保する
3.消費電力を抑える
この三本柱ではないかと思います。
1.時間を稼ぐ
柏崎で稼働中の原子炉4基の内2基が今年8月に定期検査で停止する
予定となっておりますが、検査を延期してもらうようにお願いするしか
ないように思います。勿論期限を決めなければなりませんが。
止まっている原子炉を再稼働させるより、動いているものをそのまま
使う方がまだやりやすいかと思います。
2.電力を確保する
火力、水力の休眠設備の再稼働が急務となるかと思います。
あくまで緊急措置ですので、効率やコストや環境といったものは
ここでは度外視しています。
3.消費電力を抑える
ここでいう電力は、東電が発電した電力消費を抑えるという意味です。
消費電力の大半を占める企業による自家発電が効果的かと考えております。
中小企業まで全てというのは難しくとも、規模の大きな工場や鉄道会社、
電話局、放送局、病院、百貨店、遊園地、空港などなど、消費電力が多い
事業所には自家発電の導入を推進するわけです。
緊急措置として、設備や燃料にかかる費用を国が補助するのもありだと思います。
どのくらい時間が稼げるか、また、その期間内にどこまで準備が出来るか。
ここがポイントになってくるかと思います。
99. Katase — May 13, 2011 @18:52:11
私は「それで充分」とは書いていません。
東電ができる範囲で何か1つでも対策してあったら、その「姿勢」はそれなりに評価できたのにとしています。
国の専門機関からの指摘は3年前に出されており、直前に出されて全く対策する時間もなかったというものではありません。
なかなご理解を頂けないので繰り返しますが、その対策では完璧では無いとしても、国の専門機関から正式に指摘されていた危険に対して「できる事はしておこうとする姿勢」を持ち、何かできる事を少しでも行っていたらその姿勢は評価できたのにと言うことです。
それでも被害が出てしまったら、仕方ないです。
吉岡さんのコメントにある様に、
「なんだ、ここまで分かっているのに、なぜ1つも対応してこなかったのか?」という事です。
原点に戻りますが、技術開発者さんも東電にはミスが無かったという判断ですか?
100. ブランク永井 — May 13, 2011 @19:47:47
再起動を含めた今後の日本の原発の状況がどのように推移していくかは、この人々がどう考え、どう判断するかに大きく依存するでしょう。それを前にしては、脱原発のリスクやコストの理屈、また今回の事故を踏まえた今後の対策の推進などはいかにも無力のような気がします。
101. YMN — May 13, 2011 @20:08:32
>田中優さん
>http://twitter.com/#!/farposting/status/66729791059005440
>も電力は足りているという主張で私も納得していましたが、
>問題点があるなら教えてもらえますか?
魚の骨が喉に刺さってしまい耳鼻科に行って抜いてもらったことがあり、耳鼻科を出る時は開放された気分でしたが、このような「治療した途端に治る」というのは医療行為では例外的と言えるでしょう。
悪霊などに憑依された(と思い込んでいる)とき祈祷師に徐霊してもらう場合も、このように悪いものが取れて途端に良くなるイメージかと思います。
”悪いもの”を想定し、諸悪の根源をそこに置くことにより、「それさえ無ければ」ということで、陰謀論と極端な楽観論が同居していることがあり、田中優氏にそれを見る感がしてしまいます。
きくちゆみとも親しいようですし、思考パターンが陰謀系のようです。
http://www.youtube.com/watch?v=KhEEwZ7xKyE
田中優氏は社民党のブレーンとして扱われているようですが、おそらく田中優氏にとっては箔付けになり、社民党にとってはプラスにはならないと思います。
なお、「問題点があるなら教えてもらえますか?」というのは、トンデモさんの定番パターンの「立証責任の転嫁」を彷彿とするものがあり、少々嫌な感じがしてしまいます。
人に聞く前に、それらしきキーワードでネットで検索するだけでも、批判意見は結構見つけられるかと思います。
102. Katase — May 13, 2011 @19:28:46
もし、仮に東電や同様に対策をとってこなかった他の電力会社も同じ様に考えていて、指摘された危険性に対して何も対策をとらなくても「ミスは無い」とする姿勢をとるなら、私はそんな風に事故対策がなされずにいる状態の原発ばかりになるならば、もうさっさと無くしていった方がいいとさえ思います。
実際には、東電は事故を起こした事に対して被害者に謝罪をし、賠償金をできる限り支払いますし、他の電力会社も急いで地震・津波の対策を取り始めています。
実際に起きてしまった事故を教訓に、のど元過ぎれば忘れるという様な事なく、危険性の指摘に対しては今後は常に前向きに取り組んで行って欲しいと思います。
定期点検により停止した原発の再起動には、地元からこれまでよりも安全対策がしっかりとなされる事が条件になってくるだろうと思います。
もし、事故が起きてしまうまで地震・津波に対して対策をとってこなかったことに対して「ミスが無かった」と主張すれば、なかなか地元の人達から再起動は許され難いのではないかと思います。
103. fisker — May 13, 2011 @21:06:26
公衆衛生などでもよく問題になることですが、被害を「無限大」に見積もってしまったり、確率を「ゼロ」と考えたりしては定量的な評価ができず、合理的な判断はできません。防災や公衆衛生では時として個人が直感的に実感できる範囲を超えた被害や確率を扱うことが求められます。1/100,000と1/100,000,000はどちらも直感では「ほとんどゼロ」ですが、リスク管理での扱いは大きく異なります。「事故は絶対に起こらない」とか、「こうなったら日本は終わり」みたいな思考停止ではなく、冷静に、定量的に評価して初めて合理的な判断ができるのです。
震災以前に指摘されていたというのはあくまでもそういうシナリオが考えられる、ということであり、その発生確率については指摘した側も含め高いとは考えていませんでした。したがって、「危険性を指摘されていたのに軽視した」というのは定性的にはその通りなのですが、より正確には「危険性を指摘されたが、リスク(被害予想×発生確率)が低いと見積もって優先順位は低いと判断した」というところです。その見積は結果的に間違っていたわけですが、当時の知見では妥当な見積だと思います。
電力会社は毎年一定の(相当な)リソースを原子力の安全性向上のための改良や研究につぎ込んでいます。確認したわけではありませんが、津波対策を後回しにした分のリソースはより安全性の向上に寄与する(と判断した)対策に回していると思います。
ちなみに、炉心損傷確率の10^-6/年・炉というのはIAEAのガイドラインも国内の基準も同じですが、これはもちろん最低(確率としては最高)ラインであり、これだけ達成すればよいというものではありません。国内のプラントは、事業者の自主的努力により評価上はいずれも1〜2桁基準より低い確率を達成しています。
また、国内外の様々なトラブル事例、研究による最新知見などは国際的に共有する仕組みがあり、国内で事例がなくても海外で同じ機器、材料でトラブルがあれば対策をすることになっています。福島第一で起きたことは今後はもちろん世界中のプラントで「想定」されることになります。
さらに、以上の事情により、今回の事故のシナリオを予見できなかった責任は東電一社、ましてはその役員や社員個人にあるのではなく、世界中で原子力の平和利用に携わる全ての技術者(私自身を含めて)が負うべきであると考えます。
104. Ely — May 13, 2011 @21:14:14
話をややこしくしたみたいですみません。
でも、
>・2008年(平成20年)「地震に係る確率論的安全評価手法の改良」←こちらが主
これがどうしても見つからないのです。探し方が悪いんだとは思いますが。
吉岡メモの要約はわかりやすくていいのですが、どんな条件のシナリオを設定していたのか知りたかったので・・・
もう一度良く探してみます。
お騒がせしてすみません。
105. Ely — May 13, 2011 @21:31:43
http://www.jnes.go.jp/content/000004688.pdf
ありがとうございました。
106. hn33jp — May 13, 2011 @21:41:38
私は「ミスがあった」とされるKataseさんのご意見も「ミスはなかった」と言われるかとうさんのご意見も、どちらもうなずけます。結局、ミスという言葉をどう捉えるかということではないでしょうか?
例えば、私は大学に勤務しておりますが、法人化以降、職場の巡視などが厳しくなりました。書棚を金具で固定しろとか、高所に重量物を置くなというような指導を衛生管理者などから受けるようになり、「書棚は場所を変えることがあるのに」とか「棚の上に物を置けなかったら、どこに置けばいいんだ?」とか不満が募ります。
衛生管理者の危険性の指摘というのは、実は法的には強制力がなく、事業者の主体的な判断で取捨選択できるようになっています。リスクに対応することは、コストがかかりますので、そのリスクをどれくらいあり得ることかと判断することが事業者に許されているわけです。ただし、指摘を受けていたにも関わらず、対応せずに労働者に被害を与えた場合には、事業者の結果責任は重くなります。結局、この構図と同じだと思うのです。
吉岡レポートにより勧告を受けていたにせよ、そのリスクにどれくらい現実味があるのか、また現在の備えで対応できないものなのか、というようなことを事業者側が自主的に判断することは、法的にも許されており、対応しなかったこと、それ自体を「ミス」だとは、言えないと思います。
ただし、現実の世は結果責任ですから、こうなってしまえば、その判断が適切でなかったと非難されることは仕方ないですし、判断ミスだと言われれば、申し開きはできないと思うのです。何も起こらなければ、経営的には好判断なのですが。
よく言われていることですが、私は結局、原子力という技術は、事故が起こった際の影響の及ぶ範囲が、物理的な広がりでも、時間的な長さでも、他の災害と比べて大きいことが問題だと思っています。経営判断的には辛いでしょうが、かなりの低いリスクに対しても実際は対応しないと、今回のようなことが世界のどこかである頻度で今後も発生する可能性があるように思います。それにより原発がコスト的に成り立つかというのは、また別の話です。原発の耐震性が一部の例外を除けば、直下型地震でM6.5までしか対応してないとか、悪意のあるテロに対する対策とか(廃棄物の管理を含めて)、反対派から指摘されている潜在的な危険性は他にもあります。
ただ、私は心情的には東電には同情的です。基本的には、原子力を重視してきた国の方針に大きな責任はあり、またそれによって作られた電気を使っていた国民にも一定の責任があると思っています。東電の判断ミスというのは、厳密に言えばあるでしょうが、明らかに責められる種類のミスとは違うと思います。
東電に責任を押しつけて、原発によって得た電気を使っていた国民は被害者だという構図も辟易します。福島で被災されている方には申し訳なく思いますが、東京や関西で電気を使っている人間にまったく責任がないと私は思えないです。原発は社会全体としてのリスク&リワードについても考慮が必要ですが、より鮮明にはリスクとリワードの地域による偏在性に問題があります。再起動を難しくしているのは、そちらの問題で、大都会に住む人間は、このようなリスクの偏在性について真摯に考える必要があると思うのです。原発からの距離に比例して、電気料金が上がるような仕組みでもあればとか、ちょっと思いますけどね。
107. 匿名希・望 — May 13, 2011 @21:38:25
この場合、最初から原発存続が結論だった訳で、設問の立て方自体が間違っていた可能性を排除できるのでしょうか?
・fiskerさん
>電力会社は毎年一定の(相当な)リソースを原子力の安全性向上のための改良や研究につぎ込んでいます。確認したわけではありませんが、津波対策を後回しにした分のリソースはより安全性の向上に寄与する(と判断した)対策に回していると思います。
流石にそれを証拠も無しに信じられる程、皆さんお人好しではないと思いますよ。
それこそ、定量的判断ではありません。
108. 匿名希・望 — May 13, 2011 @21:51:44
・fiskerさん — May 13, 2011 @13:34:39
>原子力発電による死者は、チェルノブイリの事故による死者を国連レポートの4000人とした場合発電量1TWh(テラワット時)あたり0.04人です。
100倍の40万人だとしても4人/TWhです。これは天然ガス発電による死者数と同程度です。
>石油火力では36人/TWh、石炭火力は世界平均で161人/TWh、中国に限れば278人/TWhの死者を出しています。主に大気汚染による影響だそうです。
>水力発電による死者は0.1人/TWh程度ですが、中国の板橋ダム決壊事故(17,000人死亡)の影響を加味すると1.4人/TWhになります。
この数字のソースを教えて頂けませんか?
それと、今回は日本のエネルギー政策の話なので世界平均ではなく日本のみの平均で計算するべきと思いますが。
もっと言えば、今現在稼働していない旧式機械によるものは除外するべきです。
109. zorori — May 13, 2011 @21:54:23
しかし,多くの人が,原発災害は致命的で許されず,絶対安全で無くてはならないと感じているのだとすれば、そんなことは不可能だから,原発は止めるべきだと私は思います。
個人的には,現状の原発は他の施設と比べれば十分安全で被害の期待値も小さいと思います。明白なミスも無かったと思います。ミスのように見えるのは後知恵ではないでしょうか。津波が起こった後では、10m程度の津波で被害を受けるなんてお粗末だというような風潮ですが、3.11以前はそんな津波対策をするのは過剰だという思われていたのではないでしょうか。地域ごと壊滅するような大災害にもかかわらず,直接的には一人の死者も出さずこれだけの被害で済んだというのは驚くべきことです。千葉の石油コンビナート火災では3人の重軽傷者を出し,10日間炎上し大気を汚染し,将来の発がんリスクを高めたかもしれないことに比べれば,上出来です。
それでも、一旦事故が発生すれば致命的な被害をもたらす原発は廃止した方が良いと考えます。直接的な被害は皆無であるにもかかわらず、間接的な被害となると,避難による住民生活,農産物,海産物に与えた打撃は膨大なものです。これは,将来的なガン発生率のわずかな上昇も防ぐという非常に高レベルの要求に対応するためのもので,それが皮肉な事に別の大きな被害を引き起こすということが実証されました。
仮に,今回のような津波に耐えうるように改善されれば,それ以上の津波での被害は許容出来るのでしょうか。テロや飛行機衝突のような事故は仕方無いと諦められるでしょうか。飛行機でも自動車でも建築物でも事故や地震被害があり得ることは誰でも了解しており,出来るだけ安全にすべきとは思っていても,廃止すべきという意見にはなりません。でも原発は違うのはなぜかということです。
110. ごんべえ — May 13, 2011 @22:25:22
「複数の変電所からの供給が一斉に止まり、さらにその回復に時間が掛かった」のソースはどれですか?外部電源が一系統しかなくて、しかも、津波でもなく鉄塔が倒壊したという話じゃありませんでしたっけ?
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-04-30/2011043004_04_0.html
福島第一原発の電源多重化というのは今年の4月になってから行っているものは目にしますが、もともとどんな多重化がされてたんでしょう?
fiskerさん ― May 13, 2011 @21:06:26
> より正確には「危険性を指摘されたが、リスク(被害予想×発生確率)が低いと見積もって優先順位は低いと判断した」というところです。その見積は結果的に間違っていたわけですが、当時の知見では妥当な見積だと思います。
発生確率をどのような根拠でどのように見積もったという情報が出ていないのにどうして「当時の知見で妥当」と評価できるんでしょうか?根拠無く発生確率を過小評価(0とみなす)した疑いが濃厚じゃないでしょうか?(もとより頻度の低い事象で適正な推定は難しいことは認められますが)
zororiさん ― May 13, 2011 @21:54:23
「直接的には一人の死者も出さず」ってどういうこと?少なくとも3人亡くなっていると報道されていますが?
http://www.asahi.com/national/update/0412/TKY201104120142.html
111. ROCKY 江藤 — May 13, 2011 @23:26:41
それは原発において亡くなられた方々であって、原発が原因で亡くなられたのではないでしょう。
建物の倒壊ならば他のプラントでも起こることです。たまたまそこが原発であっただけです。
112. fei — May 13, 2011 @23:19:54
> 他の方々も、同じ様に東電にはミスが無かったとお考えでしょうか?
ということですので、私自身の意見を書きます。現時点では、ミスがあったともなかったとも結論付けることはできないと考えています。
fiskerさんがお書きになっていますが、
> 公衆衛生などでもよく問題になることですが、被害を「無限大」に見積もってしまったり、確率を
> 「ゼロ」と考えたりしては定量的な評価ができず、合理的な判断はできません。防災や公衆衛生で
> は時として個人が直感的に実感できる範囲を超えた被害や確率を扱うことが求められます。1/100,000
> と1/100,000,000はどちらも直感では「ほとんどゼロ」ですが、リスク管理での扱いは大きく異なります。
という意見は全くその通りだと思います。ですので、2008年の報告書を受けて、想定以上の津波の発生確率がきちんと再検討されたのか、その際に見積られた確率が1/100,000なのか1/100,000,000なのか、その見積りのプロセスは妥当なものであったのか、また、他の安全対策が優先されたのだとすると、その対策の根拠となるリスクはどのようなものであったのか、ということが重要な判断の根拠になると思います。これらが明らかになっていない以上、ミスがあったかなかったかという判断は、現時点では避けたいと考えています。
なお、上記のような議論が記録に残る形で行なわれていなかったとしたら、それは報告書を個人の実感できる範囲で処理してしまったとしか考えられませんので、重大なミスであると考えます。
政府が今月中旬に発足させるとしている原発事故調査委員会には、上記のような問題までつっこんだ調査を期待していますし、私自身の結論はその報告を待ちたいと思います。
113. Katase — May 13, 2011 @23:48:02
>外部電源が一系統しかなくて、しかも、津波でもなく鉄塔が倒壊したという話じゃありませんでしたっけ?
それにつけ加えますと、津波によって非常用ディーゼル発電機が機能喪失したことで、最終的に全電源が失われています。
また、吉岡メモからの引用ですが、
・福島原発事故の発端 (PDF)
http://www.shippai.org/images/html/news559/YoshiokaMemo34.pdf
>〜枋蠧發陵匹譴涼録未世辰燭、1/2/3/4 号機の受電設備が損傷して外部電源喪失し、5/6号機は受電している夜ノ森線の鉄塔が倒壊して外部電源喪失した。
>△修慮紊猟吐函平緞廚箜た綢設備の破壊等)で、非常用ディーゼル発電機が機能喪失した。
>以上の両方の原因で事故になった、と言えます。言い換えると、地震対策または津波対策のどちらかだけでもしていれば、事故は防げたはずです。
ここで、福島原発での地震の最大加速度は448 ガルと、想定予想値(600 ガル)以内だったことから、想定内の揺れの地震とされています。
また、もし原発西側の夜ノ森線の鉄塔が倒壊しなければ、5/6号機用の外部電源を1/2/3/4 号機に送電できたとのことです。