避難運賃支援、条件「後出し」で混乱

2011年4月16日 09時23分このエントリーを含むはてなブックマークLivedoorクリップに投稿deliciousに投稿Yahoo!ブックマークに登録

 東日本大震災に伴う被災者受け入れで、県の航空運賃支援策を初めて活用した第1陣4世帯10人が15日、来県した。同支援策は甚大な被害が出た岩手、宮城、福島3県の避難者が対象。県が発表して10日が過ぎたが、航空機の利用が決まった人は30人余にすぎない。支援を求める人が電話で問い合わせると「5人そろうと飛行機に乗れる」など、県のホームページ(HP)では提示がない新たな条件があり、支援策の周知にも課題がありそうだ。(與那覇里子、佐渡山倫子)

 県HPによると、支援策は5月まで、最大3千人の航空運賃(往復)を支給する。申請には、自宅の損壊状況や、家が福島第1原発の半径30キロ以内にあることを示す証明書が原則必要としている。

 しかし、申請を望む本人や知人が電話で問い合わせると、(1)1組5人以上が必要(県が人数調整は行う)(2)人数不足の場合、羽田空港まで自費で行き人数合わせが必要になることもある(3)3日以内に支援を受けたい場合は支援策の適用外―などの条件を「口頭」で伝えられている。そのため、5人に満たない家族は航空運賃の支援が受けられないのではと不安がり、「5人以上でなければ受け入れてもらえない」という誤った情報も流れている。

 県の被災者受け入れ対策チームによると、航空運賃の支援は、航空会社が設定した避難者への割引(通常料金の半額)の全額を県が負担する仕組み。割引には5人以上の乗客数が必要で、県が避難者の数などを電話口で調整しているという。

 こうした「5人以上」など詳細な情報をHPで掲載しない点について、県の担当者は「そもそも5人未満は想定していない」と回答。利用希望者の戸惑いについては「聞いたことがない。(問題なら)HPで伝える情報の整理が必要だ」としている。

 在沖縄宮城県人でつくる沖縄萩の会の戸袋勝行会長(68)は「問い合わせて初めて、詳しい条件を並べられると、被災者は戸惑う。被災地で県の支援策がよく知られていないことも適用者が少ない要因では」と指摘。全国にネットワークを持つ県内のボランティア団体と連携するなどして「支援策の周知が先決」と話している。

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