母の体調が悪くなり、介護を受けることになった。大型連休中に久しぶりに大阪の実家に行くと、居間を占拠する介護ベッドの上で母は小さくなって座っていた。「こんなことになって、すまんなあ」。忙しさにかまけて放ったらかしにし、病院の付き添いなどは妻に任せていた。だから、その言葉を聞くと自分はひどいどら息子なのだと痛感した。
大阪市内の65歳以上で介護を受けている人は約17%(今年2月)。母もその一人になってしまった。高齢になるほど介護を受ける人の割合は高くなるのだろうが、実際に肉親が介護を受けるとなると、そんな数字は意味がなくなる。介護が眼前の問題になるからだ。
東日本大震災では、被害を受けた高齢者施設や、自宅を津波で流された要介護者が多い。避難所を転々としているうちに亡くなった人もいる。被災地の苦悩が、母の介護をきっかけにほんの少し身近になった気がするが、こんなことで身近に感じてしまう自分がまた情けない。幸い母の体調は元に戻る可能性がある。何とか戻して、どら息子の自覚を打ち消したい。【山本泰久】
毎日新聞 2011年5月13日 西部夕刊
5月13日 | おにぎり |
母の介護 | |
混み合う献血 | |
5月12日 | 杉玉 |
距離を超えて | |
つながる | |
5月11日 | 仙台の桜 |
法災と公助 | |
表現者たちの闘い | |
傾聴ボランティア | |
5月10日 | 「天国と地獄」 |
きらら浜 | |
原爆被害者と震災 | |
5月9日 | 身の回りから |
想像力 | |
大虐殺を生き残り | |
5月7日 | 放射線 |
公園の釣り鐘 | |
古老の言葉 | |
5月6日 | 被災地の子 |
わらじを作る人 | |
5月2日 | 宝石 |
パレスチナの折り鶴 | |
4月30日 | 我々次第 |
4月28日 | はがき随筆40歳 |
4月27日 | 漫画アニメ世代 |
4月26日 | 若戸大橋の50年 |
4月25日 | カミングアウト |
4月23日 | 視線の先は |
4月22日 | 時代 |
4月21日 | 難聴児の支援 |
4月20日 | 元祖、走る芸人 |
4月19日 | ひっしまめたん |
4月18日 | 手投げ弾 |
4月16日 | 4月28日 |
4月15日 | 防潮堤 |
4月14日 | 二つの出会い |