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家族5人、青空コンビニ がれきの町で再開 南三陸
 | がれきの町で営業を再開したコンビニ。渡辺さん一家5人が力を合わせて切り盛りする=12日、宮城県南三陸町志津川 |
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東日本大震災の津波で店舗が流された宮城県南三陸町のコンビニエンスストアが、かつての店の駐車場で、テントと移動販売車による営業を再開した。切り盛りするのは店主夫婦と3人の子どもたち。がれきの町に威勢よく、「いらっしゃいませ」の声を響かせている。 南三陸町志津川の国道45号沿いにある「セブン―イレブン志津川天王前店」は8日、午前11時〜午後4時の時間限定で営業を再開した。 「店舗」は荷台に陳列棚を設けた小型の保冷車と、脇に広げた小さなテント。毎朝、隣接する登米市の系列店から商品を仕入れ、弁当やドリンク、たばこなどを並べる。 志津川地区の津波浸水地域で商店が再開したのは初めてで、避難所生活を送る地元住民や被災地支援に訪れた人が、ひっきりなしに来店する。支援物資にはない生菓子や乳製品もあり、客からは「地元で買い物できるのは助かる」と好評だ。 店は15年前、店主の渡辺隆さん(48)が脱サラして開いた。当初は自ら20時間も店頭に立ち、経営を軌道に乗せた。 第二の人生を懸けた店は、津波で全壊した。家族5人と店員10人は全員無事で、「命があるだけでもありがたい」と思い直した。 被災前、家族で店に立つのは渡辺さんと妻ちはるさん(38)の2人だけだったが、再開後は家族総出になった。大学受験を目指す長男健太郎さん(18)、今春から高校に通う次男裕次郎君(16)、志津川小6年の長女杏奈さん(11)も商品の陳列や会計を手伝う。 渡辺さんは「今まで店を支えてくれたお客さまの少しでも役に立ちたい。家族で協力し合い、いつかまたこの町に店を構えたい」と話している。 (大泉大介)
2011年05月13日金曜日
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