「機材搬入口の大きなシャッターが波打ち、天井からボルトがバラバラと落ちてきた。『こりゃまずい』と思った瞬間に今度は照明が落ちました。粉塵であたりが真っ白になる中、手で口を押さえながら、なんとか表に出ると、地面が隆起し、割けていた。走ると危ないので、早足で旧事務本館と呼ばれる詰め所に向かいました」
落合さん同様、点呼が終わると櫻木さんも帰宅するよう命じられた。ドーンという津波の衝撃を感じたのは、自宅へ向かう車の中で、だった。
「あの壊れ方を見る限り、1号機の原子炉が無傷とは考えにくい」
東電は想定外の津波により電源が途絶え、そのために震災翌日の1号機の水素爆発が起きたと説明してきた。が、地震直後にすでに、1号機の原子炉は損傷を受けていたのではないかと、二人の作業員は話すのである。衝撃の証言は続く。
「私は3月11日を最後に福島第一原発には行っていませんが、現在も働き続けている同僚が、信じられないことを言っていました。震災後、2週間ほど浪江町(福島県双葉郡、原発から10km圏内)に避難していたある作業員が、仕事を再開すべく、東海村(茨城県那珂郡)に移った。そこで作業前の検査としてWBC検査を受けたところ、基準値の実に100倍以上となる、8万cpmというとんでもない数字が出たというんです」
大量の内部被曝が発覚したその作業員は、自宅待機を命じられたという。
3日で基準値の50倍
文字通りのケタ違いの数字をすぐには受け入れられずにいた本誌に、さらにこんな話が寄せられた。南相馬市在住の田中大さん(30)が証言する。
「知人が事故後の福島原発で働いていたのですが、やはり数万単位の内部被曝をしていました。3月半ばから3日間、5号機付近で電源の復旧工事をしたんです。暴走していた1〜3号機から少し離れているし、5〜6号機は点検のため震災時は停止していた。まさか内部被曝しているなんて思わず、会社に言われるまま、柏崎刈羽原発まで行ってWBCを受けたら『4万cpm出た』と言うんです。
知人は『経過を見ましょうと言われただけで、何の説明も治療もなかった』と怯えていました。甲状腺にヨウ素が貯まらないようにするヨウ素剤を渡されたそうですが、これ、作業前に飲まないと意味ないですよね?」(田中さん)
矢ヶ﨑克馬・琉球大学名誉教授が警鐘を鳴らす。
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