2011年5月13日5時31分
福島第一原発の事故をめぐり、東京電力が、3月14日に水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋について、その前日から高い放射線量のデータを把握していたにもかかわらず、公表していなかったことが分かった。東電の内部資料で判明した。原子力の専門家らは「作業員や国民の情報共有のため、具体的な数値をいち早く明らかにすべきだった」と指摘している。
この爆発で東電社員7人が負傷。今後の事故検証で、データ共有しなかったことが避難の遅れにつながらなかったかなど、東電の対応ミスの有無が焦点の一つになる見通しだ。この内部資料もそれを判断する材料になるとみられる。
朝日新聞が入手した内部資料は、地震が発生した3月11日から4月30日までの期間に、福島第一原発の事故をめぐる動きが時系列で並べられている計約100ページの一覧表。原発や東電本社など様々な情報を集約したとみられ、原発内の放射線量や原子炉内の圧力、水位についてのデータや、保安や復旧を担当する各班の動き、敷地内の放射線量などが、分単位で記載されている。
福島第一原発では運転中だった1〜3号機が3月11日の地震で自動停止。その後に津波に襲われた影響で全電源が喪失し、原子炉が冷却できなくなった。12日に1号機が水素爆発した後、3号機では13日午後から炉内に海水を注入して冷却が試みられたが、14日午前11時ごろに水素爆発を起こし、原子炉建屋の上部が吹き飛んだ。燃料棒が一時露出するなど炉心が損傷し、爆発しやすい水素が発生していたとみられる。