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【国際】

韓国ユッケ事情

2011年5月10日 朝刊

 【ソウル=辻渕智之】客四人が死亡した焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、原因となったユッケ用の生肉は本場韓国でどう管理されているか。ソウル中心部で食堂や屋台がひしめく広蔵市場そばの専門店を九日訪ねた。

 店先のガラスの冷蔵ケースには赤身のユッケや生レバーが山盛りで並ぶ。店の隅では女性従業員が牛の前足の肉のかたまりをユッケ用に刻んでいた。

 手は素手。「手作りだから手はよく洗う。切ったり、あえたりする手の技も味の決め手」と金英三社長(62)。日本では衛生面から求められる肉の表面を削るトリミングだが、店では「味のため」だ。

 金社長は「生肉だから菌はいるが、人間には免疫力もある。特別神経質にせずとも普通に扱えば問題ない」と言うが、まな板や包丁は粗塩で洗い、ふきんの煮洗いも毎日欠かさない。「専門店や職人だから守れる味や調理法がある。なぜ肉で人が死んでしまうのか」とも付け加えた。

 韓国ではユッケや生肉のまじった料理を食べた集団食中毒がほぼ毎年発生。生食用食肉に特化した衛生管理の規定はないが、警戒する行政は抜き打ち検査や違反業者の公開を行う。ソウル市は基準以上の菌が検出されると営業停止や最高三千万ウォン(約二百二十五万円)の罰金を科す。昨年二、三月の検査では全国千四百二十六店のうち四十五店を大腸菌(種類は非公開)検出などで摘発、行政処分し、店名や住所をネットで公開した。

 

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