2011年5月12日 22時4分 更新:5月12日 23時45分
東京電力福島第1原発1号機で原子炉圧力容器内の水位が燃料棒(長さ約4メートル)の上部より少なくとも5メートル低かった問題で、東電と経済産業省原子力安全・保安院は12日、燃料棒の大半が溶融して原子炉圧力容器の底にたまっているとの見解を示した。圧力容器の温度は120度以下に保たれており、炉心は引き続き冷却されているとみられる。また、溶けた燃料が圧力容器の底を傷つけ、水や燃料が外側の格納容器に漏れた可能性がある。事故収束に向けた工程表の日程にも影響しそうだ。
1号機では、燃料棒の55%が損傷していると推定されているが、燃料棒が完全な形で残っていれば全露出していることになる。
また、圧力容器には冷却のための注水が続いているが、水位が上がっていない。このため水漏れが起きているのは確実で、その原因について、東電は「圧力容器の底にある管との溶接部などが、溶けた燃料の熱で穴があいた可能性がある」としている。
直径6.5センチのホースで注水を続けているにもかかわらず、水位が上がっていないことなどから、東電は、穴は複数あり、大きさの合計は数センチと推定している。
一方、圧力容器の温度は安定していることから、溶けてたまった燃料は、底にある水で冷やされているとみられる。保安院の西山英彦審議官は「圧力容器内の水位が正しいとすれば、燃料の一定部分は溶けて下にたまっている可能性が高い」との見解を示した。枝野幸男官房長官は同日の会見で、「原子炉の状態について再度調査する必要がある」と述べた。【足立旬子、河内敏康】