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2011-05-06 09:47:22

物を探す

テーマ:震災

骨箱を受け取り、私たちはなんだか気が抜けてしまった。

実家に入れようとしたら、曾おばあちゃんから「待った」がかかった。

曾おばあちゃんは85歳になり、おじいちゃんは実の弟になる。子供がいなかったため、弟を養子にしたのである。

人嫌いで、ひとりで家に住んでいて、部屋が7つ、離れは二階建てで部屋が4つあるのだが、このような状況にあっても、誰にも住まわせないのである。

さらに、湧き水が家の裏にあるのに、何人かの知り合いだけにしか汲ませないのだそうだ。

そして、おじいちゃんを入れない理由は、「ケンカをしたから」と「骨と一緒にいるのは気持ち悪いから」である。

なんだそりゃ、である。

こればかりは何度言っても聞かず、もしも曾おばあちゃんがいなかったら、何世帯の家族がこの家に住め、何キロも離れた湧き水を、歩いて汲みに行かなくてもすむ人がいる、などといけない事を考えてしまう。

いてもイライラするだけなので、一晩だけ置かせてくれ、と頼み、「かってにしろ、私はしらねぇ」という言葉で了承したことにし、私達は倒壊したおじいちゃんとおばあちゃんのアパートに行き、何か思い出の物が残ってないか、探しに行った。

強い引き波と押す波が何回かきたので、家は無く、土台も何も無かった。

5キロ以上離れた場所に住んでいる人の年賀状があったりと、探しようがなかった。

それでも探した。何か残ってないか。

山に登っていくほうに、フォトフレームがあり、SDカードが入ったままだった。それは敬老の日に贈ったものに似ていたが、家電量販店で買ったものなので、家のものなのか、不明であった。とりあえず持って帰り、いつか見られるようになったときに確かめることにした。

少し移動し、探すことにしたが、その時に撮った建物がある。


震災後の海おんなのブログ

避難所で、体育館のような大きな建物。左が海側で右が山側。よく見ると山側の壁が抜けている。

大勢の人が避難したそうだが、津波が左の入り口から入り、抜けたそうである。1階も2階もダメで、ほぼすべての人がいなくなってしまった。海からは離れた場所にあるのに。

さらに、この日は、午前授業だったため、小学生や中学生、高校生などは、友達と町に買い物に出ていたらしい。進級するため、進学するために必要なものを、友達とおしゃべりしながら楽しそうに選んでいたのではないか。若い年代の犠牲者が多かったのはそれもあったらしい。新しい制服を作るため、母親と一緒に出かけたり、祖父母におねだりするために一緒に出かけたり。いつもの同じ時間を過ごしていたはずなのに。

悔しい。



☆今日の私☆

ゴールデンウィーク中ともあり、県外からの車が目立つ。

特に被害が酷かった場所の倒壊した家屋の前で、「イェーイ!」と笑顔で記念撮影。そして、うす汚れた私たちをパシャパシャ撮りまくる。

次にはマイクロバスが。同じくぞろぞろ下り、デジカメで撮りまくる。スゲ~!!!と歓喜しながら。

たぶん帰ってから友達やブログに、

「すごかったょ叫びはやくみんな元気になればいいなぁラブラブなんてねべーっだ!

とか書くのかな。

後ろでは重機が通れなくて家屋の片付けも、遺体探しもできない。自分の思い出を探す、泥だらけの私たち、撮られたくないのわからない、よね。

黒くドロドロした気持ちが渦を巻く。毒を吐いてごめんなさい。

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コメント

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1 ■ひどい!!

初コメです。

なんてひどい・・・。
噂には聞いていましたが本当にそんな人達が現地に入っているのですね。

被災されて精神的に追いつめられた皆さんの心の動揺ならまだしも
これでは完全に確信的に行動しているじゃないですか。
同じ日本人として、人間として悲しすぎます。

海おんなさんが辛さを押さえて実際の被災地の現状をこうして公開してくださることに、
無力な自分を感じる毎日です。
どうか、辛さは我慢せず吐き出してください。
そして、安心して生活出来る環境が一日も早く整いますよう
お祈りしております。

2 ■Re:ひどい!!

>わたこさん
ありがとうございます。
怒る気力も体力もなくなりました。
応援してくれて本当にありがとうございます。

3 ■ペタありがとうございます

写真撮っていた人たぶん自分のしている行動に気付いていませんね!
きっと海おんなさんが思ってしまったブログ・・・とかにっていうの当たっているような気がします。

自分のしている行動って自分ではなかなか気付かないことが多いので、気をつけないといけないと思います。自分も含めて・・・・・

4 ■悔しいです

初めまして、ツジと申します。
海おんなさんの今日のブログ何回か読ませてもらいました。
思わず涙が流れました。それは被災された皆さんの苦しみに自分が何もできない悔しさと、いまの政府の無策にです。
 私は、瓦礫という言葉が大嫌いです、いま瓦礫と呼ばれているものは、災害前には皆さんの大切な財産でした、今でも思い出のたくさん詰まった大切なものだと考えるからです。
 この光景を見つめる海おんなさんの気持ちを考えると言葉もありません。
 これから海おんなさんのブログを一つづつかみしめながら読ませてください。

5 ■Re:ペタありがとうございます

>Takeパパ&Youママさん
ありがとうございます。
いつか、その人たちもわかってくれる日が来ればいいなぁ、と思っています。

6 ■Re:悔しいです

>ツジアキオさん
ありがとうございます。
ブログを読んで、かえって辛いお気持ちにさせたのではないか、と心配です。

7 ■貴重な現地の情報をありがとう

義援金が集まってもちゃんと使われていないらしいとか、話には聞いていましたが、現地はまだまだ大変な状態なのですね。

テレビではこういう事実は流さないし(テレビ、報道としては全然役に立ちません…)、現地の声はとても貴重です。ブログを書いてくださってありがとうございます。

今すぐボランティア活動に駆けつけられないのですが、長く続けられるかたちでこれからも支援し続けていこうと思っています。

一日も早く安全で快適な生活に戻れるよう願っています。(と、こう書いているだけでも無力感でいっぱいです。すみません。)

8 ■腹が立って仕方ありません

阪神大震災の時、立ちすくむ私たちを尻目に、壊れた街の写真を取り、映画みたいとげらげら笑う観光気取りの関東ナンバーの車があったことを思い出します。テレビではコメンテーターや芸能人が、東京でなくて良かったですね、と言っていた言葉を聞いたときの事も。他人は自分の身に置き換わらなければ決してわからないのでしょうね。痛みを。
そちらへ走っていって、そいつらをたたき出してやりたい。本当に悔しいです。

9 ■はじめまして

めまいがしました

“日本人は素晴らしい”みたいな話を最近よく耳にしますが、せっかくだからこういう人達の姿も発信すべきだと思います。
表のルートではキツイと思うけど。

少しは自分のやってることが客観的に見られるんじゃないでしょうか?

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