2011年5月11日20時38分
東京電力は11日夕、福島第一原子力発電所3号機で取水口付近の汚染水を防ぐために設置されたシルトフェンスの外側の海水から、海洋に排出できる国の基準の濃度の約1万8千倍のセシウム134を検出したと発表した。2号機から高濃度汚染水が流出したことがあるが、3号機で確認されたのは初めて。東電は応急の流出防止策を講じた。
東電によると、11日午前10時半ごろ、作業員が3号機の坑道とつながっている作業用の穴(ピット)で、電線を通している空洞部分から高濃度の放射能汚染水が流れ出ているのを確認した。ピットの海側部分にひび割れがあり、海に漏れていた。東電は空洞をコンクリートでふさぎ、午後6時45分に水の流出を止めた。
3号機取水口のシルトフェンス外側の海水は、ヨウ素131も1立方センチあたり96ベクレルで基準の2400倍だった。フェンス内側の海水はヨウ素131が同190ベクレルで約4800倍、セシウム134は同1900ベクレルで約3万2千倍だった。ピット内は、ヨウ素131が同3400ベクレルで8万5千倍、セシウム134は同3万7千ベクレルで62万倍だった。
3号機のタービン建屋地下には、高濃度の放射能汚染水がたまっている。東電はその汚染水が流れ込んだとみている。東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「汚染水の流出はフェンスである程度は抑えられるが、完全ではない。最悪の場合は海へ流れ出る可能性もある」としている。
東電は同日午後、福島県や周辺市町村、近くの漁協に水漏れの事態について連絡。さらに、政府も米国や周辺諸国、その他の国の在外公館に連絡した。
2号機の取水口で漏れが見つかった時は、ヨウ素131が30万ベクレルで国の基準の750万倍、セシウム134が12万ベクレルで200万倍だった。2号機の流出後、東電は取水口の周囲などをフェンスで覆ったが、今月10日現在、2号機のフェンスの外側ではヨウ素131は1立方センチあたり2.1ベクレル、セシウム134が同1.3ベクレルまで下がっている。
政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は「今回同じような水漏れが起きたことは、極めて重大な問題と感じている」と話す。(坪谷英紀)