29日午後8時半ごろ、松本市笹賀のパチンコ店「ラッシュ松本」敷地内にある景品交換所で、「何者かに放火された」と従業員の女性(52)から110番があった。松本署によると、火は間もなく消し止められたが、女性従業員が顔などにやけどを負って重体。同署は現住建造物等放火容疑で調べている。
同署によると、景品交換所は、パチンコ店舗から南側に約10メートル離れた2階建てビルの1階にあり、従業員は通常、交換所の小窓越しに屋外の客に接していた。小窓や室内の一部が焼け、2階の飲食店は営業中で客がいたが、けが人はなかった。
防犯カメラに映っていた男とみられる人物が、景品交換所を立ち去った直後に出火していることから、同署はこの人物が1人で小窓からガソリンのようなものをまき、火を付けたとみている。また、女性は当時1人で景品交換所におり、強盗目的の可能性もあるとみている。現場は長野道塩尻北インターチェンジの北約2キロで田畑や民家が点在する地域。
約15年前、夫婦でこの景品交換所に勤めていたという女性(73)は、付近は人通りが途絶える時間帯があるといい、「もし自分が被害に遭っていたらと思うとぞっとする。今回の事件は女性が一人でいるのを知って狙ったのかもしれない」と表情を曇らせた。【小田中大、大島英吾】
毎日新聞 2011年5月1日 地方版