就学援助制度についての調査結果を報告する反貧困・反失業県ネットワークの仲山忠克代表世話人(右)ら=11日、県庁
反貧困・反失業県ネットワーク(代表世話人・仲山忠克弁護士ら)は11日、県庁で会見を開き、県内の教育委員会を対象に実施した「就学援助制度の周知拡充について」の調査結果を公表した。同制度で市町村により申請用紙の配布方法や申請期間、必要とみられるのに申請がない場合の取り扱いなど、対応にかなりばらつきがあることが分かった。
反貧困・反失業県ネットワークは、県内では県民所得が低いにもかかわらず他府県と比較して申請率、受給率ともに低いと指摘。必要な小中学生が利用しやすい制度づくりや周知拡充の必要性を求め、要請運動を展開している。
調査期間は2010年12月から11年3月まで。同ネットが41市町村の教育委員会にアンケート用紙を郵送し、申請用紙の配布・受付場所や申請期間、保護者からの申請がない場合の対処や給付状況を記入してもらった。
回答した38自治体のうち申請用紙の配布・受付窓口を「学校」としている市町村が16あり、申請期間も1カ月間程度から「随時対応」と開きがあった。保護者からの申請がない場合の対処として「しない」が15市町村あった半面、学校から連絡したり、家庭訪問をしたりするなど積極的に働き掛けている市町村もあった。
同ネットは「窓口を学校に限定すると、親に心理的ブレーキがかかることも想定される」とし、窓口を教育委員会にすることを要望。急に貧困状況に陥った場合の対応や保護者の申請がなくても申請を促進することなどを求めた。
申請の際に必要な添付書類の手数料の減免や援助費目、実施要綱等の有無に関しても自治体間の格差があることも指摘。同ネットは、自治体に対し広報を工夫することや、眼鏡購入費や卒業アルバム代を支給対象に加えることを要望した。
調査結果を踏まえて同ネットは、予算が一般財源化される中で各自治体が対応に苦慮している背景があると強調。仲山代表世話人は「県内の子どもたちの経済的な状況は悪化している。本来、義務教育は無償とすべきだ」とし、就学援助制度を本来の趣旨に沿った内容とするために国の責任を明確にすることを求めた。
<用語>就学援助制度
経済的な理由で就学が困難な小中学生の保護者に、修学旅行費や学用品費、給食費などを支給する制度。生活保護法に基づき国庫補助金で措置する「要保護」と市町村が独自の基準で認定し一般財源で措置する「準要保護」がある。
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