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広瀬隆『原子炉時限爆弾』を読む(2) - 広瀬地震学と伊方原発
昨日(5/10)、川内博史が広瀬隆を講師として呼んで勉強会を開き、その様子を撮影した
動画
が公開されている。鳩山由紀夫が司会で紹介しているが、日程が窮屈だったせいか、残念ながら参加している議員の数が極端に少ない。議員の質問も多くはピント外れで、原発についての不勉強がよくわかる。議員の未熟さが目立ち、幼稚園児か小学生の教室のような感じを受ける。広瀬隆もそう思ったことだろう。逆なのだ。憲法が想定する国民代表というのは、広瀬隆のような知性と識見と正義感を持った人物なのである。特に、良識の府である参議院はそうだ。何で、こんな子供のような小人物ばかりがゴロゴロと国会議員をしているのだろう。本当は、それは小選挙区制による二大政党制の導入、すなわち山口二郎の「政治改革」の失敗がもたらした現象なのだけれど、つい、議員定数が多すぎるのではないかという俗な見方にも誘われてしまう。議員とのやりとりの中で、広瀬隆は、「私はあまり<情報>という言葉が好きではない」と語っている。この一言に着目させられ、好感を覚えた。私は<脳>という言葉が好きではない。この言葉は
8年ほど前
から急に威勢よく巷で使われ始め、全てを説明する新種の万能薬のような地位を得ている。思想とか、精神とか、観念とか、意識とか、本来はそういう言葉で説明しなければいけない問題や領域で、<脳>の言説が安直に使われ、何か解法を与えたように錯覚させられている。
<思想>の範疇と言語で思考しなくてはならない問題系を、<脳>の生理世界の現象にスリ替えて納得している。<脳>の宗教と言うか、<脳>呪術が巷に蔓延して商売繁盛を極めている。同じように、<思想>の概念と方法で探求模索しなければならないものを、<精神科医>の仕事に任せて市場を作っている。脳学者と精神科医が思想家になりすましている。代行させて了解している。そういう、いかがわしく安っぽいリプレイスを承認している。一つ言うなら、思想の問題を脳学者と精神科医に任せた場合、少なくとも、反省の契機は出て来ないのだ。また、政治や社会への批判の芽も生じないのだ。要するに思考放棄であり、そして詰まるところ自己肯定である。原発の安全神話の信じ込みと同じである。広瀬隆が、20代から40代の人間が、社会問題に関心がなく問題解決に動かないと、そう嘆くその状況というのは、問題を<思想>の言葉で捉えず、深く考えず、<脳>や<精神科医>の言葉で置き換えて安易に充足していることと、実は表裏一体の同じ問題なのだろう。この震災について、雑誌社はそれを評論し意味づける特集号を編集して売ったが、そこに登場する面々は、どれも同じマスコミで見慣れた顔ぶれだった。勝間和代、香山リカ、内田樹、茂木健一郎。こういう(穢らわしい原発推進派を含む)ジャンクフード系で、今の日本人は震災を意味づけ、言葉にするのである。並ぶジャンクフードと、議員会館の議員たちは同じレベルなのだ。この思想家たちにして、この議員たちなのである。
「
原子炉時限爆弾
」の第2章は、「地震と地球の基礎知識」と題して論じられている。歴史を含む地学の概説であり、広瀬隆の地震学である。この部分が実に面白い。大陸移動説とプレート運動、造山運動による日本列島の形成と変遷、縄文海進と原発立地地の地盤と、まるで博物館で展示パネルの説明を聞くように講義が進む。第2章は50頁の短い分量で、夢中になってすぐに読めるし、何度も読み返して掲載されている図表に見入ってしまう。この本は「原子炉時限爆弾」というセンセーショナルなタイトルが付けられていて、タイトルだけ見れば、原子炉の危険性に焦点が当てられた扇情的な書物のような印象を受ける。ところが、特にこの第2章などは、小中学生向けの理科(地学)の教科書の内容なのである。この第2章は、NHKの科学文化部がCGを駆使して番組を制作すればいいのにと思える中身であり、そういう作品が初等教育向けに存在して全く不思議ではない記述になっている。広瀬隆の原発論の説得力は、まさにこの地震学が中核になっている。この章を読むと、納得できる地震の解説を得て満足を覚え、地震のときには、専門家はこういう解説をすればいいのにと思う。地震があると、報道番組で専門家が解説するが、興味を感じたことは一度もない。気象庁や東大の地震研究所の官僚というのは、刺身のツマのように登場して、無駄で無味乾燥な情報でテレビ報道の時間を埋める。視聴者に何かを説明しようとする意思がない。解説という言葉の中身に含まれる、合法則性の仮説検証の要素が寸毫もない。
そういう不満を日頃持っている人は、この第2章を面白く読めるはずだ。私ぐらいの世代は、小学生の昔、月に一度の学研の「科学」を夢中になって読んだ体験を思い出すだろう。日本には多くの地震学者がいる。大学だけでなく、気象庁や文科省や国交省の天下り系研究機関があり、多額の国費が投入され、多数の研究官僚が地震の調査分析に従事して給料を取っている。しかし、彼らの中で、われわれが名前を知っている者はいないし、独自の学説や試論を打ち立て、国民に提示し啓発し、政府の政策に影響を与えている学者はいない。予算に見合う成果を上げておらず、国民に責任を果たしていない。原子力工学や放射線医学の御用学者ほど悪質ではないが、官僚仕事に胡座をかいて無駄飯を食っていると言わざるを得ず、給料と海外出張と退職金と天下りだけが目的で、目立たず、何もせず、無気力に椅子に座っているだけだと思わざるを得ない。専門家ではない広瀬隆の方が、はるかに合理的で腑に落ちる地震学の説明を展開する。日本は先進国の中で飛び抜けた地震国である。そしてアジア・太平洋地域には、プレート境界線上にある地震多発国が多い。フィリピン、インドネシア、パキスタン、イランなど。これらの途上国・新興国のためにも、先進国である日本が地震のメカニズムを発見し、有意味な理論研究を提供しなくてはならないはずである。アジア・太平洋地域の人々への責任も持っている。日本の官僚地震学は、地球規模での地震の関連について構造的に解析する視角と意思が欠如しているのである。
第2章では、海底に日本列島の土台が生まれた4億年前に遡り、そのときの陸地の形状から始まり、2億年前、6500万年前と太古を追いかけ、合計14枚の地図で現在に至る日本列島の変遷を辿っている。実に興味深い。西日本は比較的早い時期に海面から顔を出し、大陸と繋がったり離れたりするが、東北日本は海であった時期が長く、大陸の一部になったかと思えば、すぐに海底に沈んだりと激しく海岸線が変動する。本には将来の予想地図が記されてないが、あと5万年か10万年も経てば、現在の日本列島は全く違う形状になっていて、おそらく西日本は大陸と再び接合しているだろう。めまぐるしく姿かたちを変えた日本列島だが、世界最大の断層である中央構造線は6500万年前にできている。諏訪湖から天草諸島にかけて東西に走る線。第2章を読んで私が胸騒ぎを覚えたのは、佐田岬にある伊方原発である。5/10の勉強会では、広瀬隆は、浜岡の次に危ないのは若狭湾だと指摘し、ここは最近は地震がないが戦前は地震多発地帯だったと警告している。何と言っても、若狭湾には14基の原発が集中していて、しかも耐震設計が施されてない古い原子炉が多い。ここを指さすのは無理はないが、佐田岬半島も恐さは負けていない。この周辺も最近は全く大きな地震がなく、寺田寅彦の至言が不気味に響く場所である。さらに、四国には予想される南海大地震の危険がある。東海地震と南海地震は双子地震で、必ず連動して発生するのであり、30年以内に87%の確率というのは、単に静岡・愛知・三重の話ではないのである。和歌山・徳島・高知がやられる。
特に高知。つまり、四国は中央構造線と南海大地震の二つのリスクを背負っている。加えて三つ目に、愚かにも伊方はプルサーマルを稼働させているのだ。現在、プルサーマル発電しているのは、玄海3号機と伊方3号機と高浜3号機の国内で3基だけである。小出裕章と広瀬隆によれば、軽水炉でプルトニウム燃やす危険きわまりないプルサーマルは、東電も関電もリスクが恐くて腰が引け、田舎企業の玄海と伊方をモルモットにし、安全に動くかどうか狡猾にテストさせたのだと言う。人体実験を引き受けた九電と四電はどうかしている。5/10の朝日紙面(15面)に、愛媛県知事の中村時広の寄稿があり、こう言っている。「
伊方原発はプレートの境界から離れているうえ、瀬戸内海側にあるため、福島と同じような津波が来る確率は極めて低いと考えられます
」。この男は、愛媛県知事でありながら、中央構造線を知らないのだろうか。伊方原発の沖合6キロに巨大な活断層が走っている。高知大学の岡村真が1996年の調査で2本の活断層を発見、同時に動くとマグニチュード7.6の地震になると警告を発した(P.126)。この岡村真の調査結果を知った広瀬隆が、愛媛新聞に危険性を訴えて投稿し、愛媛県議会で問題になるのだが、何と、愛媛県議会は「広瀬隆はSF作家である」の一言で問題を決着させた(P.127)。笑うに笑えない田舎話だ。この1996年、中村時広は愛媛1区の衆院議員であり、伊方原発沖の活断層の件を知らなかったはずがない。朝日への寄稿の中で活断層に触れなかったのは、愛媛の人間は朝日など読んでいないと思ったからだろうか。愛媛県民もバカにされたものだ。
橋下徹の盟友の中村時広は、5/10の寄稿でも原発推進の意思を明確にしている。どうやら、伊方原発が止まるのは最後の最後だと悲観される。
by
thessalonike5
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2011-05-12 23:30
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東日本大震災
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