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「利益誘導」の言葉もちらつく 菅とバイオマスの怪しい関係

【政治・経済】

2011年4月26日 掲載

復興予算でも3億円計上

 被災地復興の青写真すら満足に打ち出せない菅首相が唯一、こだわっているのが、バイオマス(生物資源)だ。震災後の会見で何度も、バイオマス活用によるエコタウン構想を表明。第1次補正予算にもバイオマス発電向けの補助金3億円を計上したが、菅とバイオマスの関係をひもとくと、キナ臭さが漂うのだ。

 復興予算の3億円は、震災で発生したガレキの再利用に振り分けられる。ガレキの山から木材を分別し、バイオマス発電の原料などに使うために、チップ化する。希望者にはチップ化に必要な破砕機の購入費の50%を補助する考えで、霞が関では「菅の肝いり予算」との声がしきりだ。
 菅がバイオマスに興味を持ちだしたのは、7年前。諫早市を視察し、地元大学と農水省の外郭団体が共同開発した「農林バイオマス3号機」を目の当たりにした。
「3号機は、木屑などから生成した高カロリーでクリーンなガスを熱源に電力を供給するシステムです。菅首相は一目見るなり、“画期的な発明だ”と感嘆したといいます」(農水省関係者)
 これを機に、菅は猛烈にバイオマスに肩入れしていく。06年4月に農政改革の基本法案を提出し、衆院農林委でこう力説した。
「地球上のエネルギーの大半をバイオマスに置き換えれば、地球環境と同時にエネルギー問題の根本的な解決になる」
 同じ年の12月に3号機を設計・販売する「バイオマスエナジー」(BME)という株式会社が設立されると、菅はナント、取締役に名を連ねた。翌年には弁理士として、BMEが取得した3号機に関する特許2件の代理人まで務めた。この年、菅は弁理士報酬約426万円を手にしていた。
 その後も菅の肩入れはエスカレート。09年2月の衆院予算委では、麻生内閣に「3号機の実用化に補助金を投入したらどうか」と提案。景気対策の補正予算に、助成事業を盛り込むことに成功したのだ。
 同時期にBMEの役員構成に変化があった。国会質問から1カ月後に、菅の役員退任が登記された。しかも、質問から9カ月前の前年6月には退任したことになっていた。何とも不自然な動きだが、政権交代後も助成事業は引き継がれ、62億円の予算が付いた。
「助成金の交付は『3号機などの新技術の導入』が条件。結果的に3号機の特許を持つBMEが潤う制度となりました」(農水省関係者)
 菅の振る舞いには「利益誘導」の言葉がちらつくが、復興予算について、BME会長で3号機の共同開発者でもある長崎総合科学大の坂井正康客員教授は「3号機にガレキの木材は不向き。津波で塩分が含まれているし、どんな不純物が混じっているか分からない。上等なガスが生成できない限り、ウチが手を出すことはない」と言う。
 しかし一度、予算が付けば事業は継続・拡大していくのが、霞が関の常識だ。予算を計上した林野庁木材利用課の担当者も「1次補正は緊急措置。首相がバイオマス活用を方向付けた以上、今後は3号機の普及に復興予算を費やすことは十分にあり得ます」と答えた。
 菅は原子力以上に「ガレキをカネに換える」システムに詳しいのかも知れない。
~2011年4月26日以前の記事~

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