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【名古屋市長選】黒船襲来<中> 揺れる「対決路線」2009年4月28日
175センチ、82キロの大柄な体を軽自動車に押し込めて“黒船”はやって来た。名古屋の新市長に選ばれた河村たかしさん(60)。当選から一夜明けた27日午前、当選証書を受け取るため、市役所に到着した。 出迎えた職員に軽く手を挙げると「ありがたいこってすわ」。 選挙中、「税金で食っとる役人は極楽」「役所にはウミがたまっとる」と攻撃された職員らには、「私はウミか」「給料はどうなるのか」と反発と不安が入り交じる。幹部らと初顔合わせをした河村さんは早速、市長公用の高級車を売却し、軽ワゴン車に替えるよう指示。「庶民革命」を掲げた公約を早くも実行に移した。 ■ ■ 投開票日の夜。23万票の大差で敗れた細川昌彦さん(54)を支持した自民・公明は、市議会で28年ぶりの野党転落が決まった。自民の渡辺義郎団長は「われわれが野党というより、新市長対オール議会という形になるのでは」と、対決姿勢をあらわにした。自民県連幹部は「自公の結束を固めて対決路線でいくしかない。民主から離れて来る議員も取り込む」と手ぐすね引く。 河村さんを推薦した民主系は全75議席中28議席。対峙(たいじ)した自公は合わせて37。河村市政は就任早々の予算案を否決された本山政雄市政(1973−85年)と同じく、少数与党での船出となる。 ■ ■ 市長と議会が全面対立した場合はどうなるのか。地方自治法上、議会から不信任案を突きつけられない限り、市長に議会を解散する権利はない。だが、河村さんの脳裏には究極のシナリオがある。名古屋市の有権者数で計算すると、市民36万人の署名を集めれば、議会解散の是非を問う住民投票を実施できる。住民投票で過半数が同意すれば議会は解散となる。 当選後、報道陣に議会対策を問われた河村さんは自信ありげに語った。「私に投票した51万の市民が市民税減税をやってくれと言っているのに、議会も反対できんでしょう」。舌鋒(ぜっぽう)は徐々に鋭さを増す。「反対するなら、議会は庶民の味方じゃなくなってしまう」 自公の市議の間では「これだけ負けると何も言えない。むちゃな反対をすれば、こっちが悪役になっちゃう」「民意は否定できない」と、妥協点を探る空気も漂い始めた。 51万票。市長選で過去最高の得票という「錦の御旗」こそが、議会や職員を敵に回すことも恐れない河村さんの強みだ。 ただ、これまではその御旗を河村さん1人で担いできた。今後は2万5000人の市職員とともに担がなければならない。 PR情報
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