神戸ハーバーランドの百貨店「神戸阪急」が2012年秋までに撤退する方針を固めたことが11日、関係者への取材で分かった。同店を傘下にする持ち株会社エイチ・ツー・オー・リテイリング(H2O、大阪市)は運営から撤退し、後継にはショッピングモールが検討されており、イオンをはじめとする流通大手の誘致に向け調整しているという。
神戸市内の百貨店の閉店は、ハーバーランドの「神戸西武百貨店」が1994年12月に撤退して以来となる。兵庫県内では、2000年12月に加古川市の「加古川そごう」が閉鎖し、04年5月に尼崎市の「つかしん西武」が閉店している。
神戸阪急は92年に開業した。地上6階〜地下1階で、売り場面積は約3万3千平方メートル。業績は阪神・淡路大震災で神戸・三宮、元町の商業施設が被災した95、96年度を除いて、赤字が続いている。最近の売上高は年約90億円の見込みで、ピーク時の半分という。閉店はビルの入居期限である12年秋までがめどとなる見通し。
百貨店業界は消費不況の影響を受け、東京の西武有楽町店や京都の四条河原町阪急など全国で閉店が相次いだ。一方、大阪では5月4日にJR大阪三越伊勢丹が開業し、大阪・梅田地区には大丸、阪急、阪神を含め四つの百貨店が並び立つ。また、大阪の高島屋大阪店や近鉄百貨店阿倍野本店も売り場面積を拡大している。東日本大震災の影響もあり、顧客の争奪戦が激化している。その中で、H2Oは、赤字の続く神戸阪急の存続は困難と判断したとみられる。
H2Oは昨年8月、四条河原町阪急を閉鎖。一方、今年3月には福岡市で博多阪急を開業したが、現在、建て替え中の阪急百貨店梅田本店は工事の難航で12年春の開業を延期している。(末永陽子、石沢菜々子、三宅晃貴)
(2011/05/12 07:23)
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