東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質による福島県内の校庭の汚染について、文部科学省は11日、有効な線量低減策として、表土と下層の土を入れ替える方法と、削った表土を1カ所に埋める方法の2通りを内閣府原子力安全委員会に報告した。安全委はいずれも一定の効果があるとしている。文科省は12日以降、同県教委などを通じて各学校に低減策を通知するが、実施するかどうかや、どちらの方法を選ぶかの判断は各学校に委ねるという。
同省などが8日に福島市内で実施した調査によると、放射性物質は表面から地下5センチ程度までの間に分布。土を入れ替える場合、10センチまで削った表土を深さ50センチの土と入れ替えると、表土の線量が約1割に下がった。校庭の1カ所に深く掘った穴に、削った表土をまとめて埋める方法では、穴をふさぐ土を踏み固めることで、遮蔽(しゃへい)効果が向上。厚さ40センチなら線量は99%低減できると試算している。
こうした対策にかかる費用について、笹木竜三副文科相は11日の会見で、国が全額または一部を補助するよう検討する考えを明らかにした。【岡田英、野田武】
毎日新聞 2011年5月12日 東京朝刊